名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ダノンエアズロックのイメージビジュアル
ダノンエアズロックDanon Ayers Rock
Danon Ayers Rock

ダノンエアズロック

通算成績13戦3勝

獲得賞金7,508万円

生年月日 2021.02.26(令和3年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ダノンエアズロックの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
3 OPジューンS 東京 芝1800 1人気 D.レーン 1:46.2 上り33.8
4 L東風S 中山 芝1600 3人気 津村明秀 1:32.2 上り34.3
2 LニューイヤーS 中山 芝1600 2人気 津村明秀 1:32.2 上り34.0
3 LリゲルS 阪神 芝1600 6人気 F.ジェルー 1:31.9 上り33.5
5 OPジューンS 東京 芝1800 1人気 D.レーン 1:48.3 上り34.3
6 GIIIエプソムカップ 東京 芝1800 2人気 D.レーン 1:44.7 上り35.3映像
7 GIIIチャレンジカップ 京都 芝2000 1人気 R.ムーア 1:59.4 上り36.3映像
6 GII毎日王冠 東京 芝1800 6人気 鮫島克駿 1:45.4 上り33.3映像
14 GI東京優駿 東京 芝2400 5人気 J.モレイラ 2:25.6 上り34.1映像
1 LプリンシパルS 東京 芝2000 1人気 J.モレイラ 1:59.6 上り33.4
7 GII報知弥生ディープ記念 中山 芝2000 2人気 R.キング 2:00.7 上り35.7映像
1 LアイビーS 東京 芝1800 2人気 J.モレイラ 1:48.2 上り32.7
1 2歳新馬 東京 芝1800 1人気 D.レーン 1:48.1 上り35.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ダノンエアズロックの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
モーリスMauriceスクリーンヒーローScreen HeroグラスワンダーGrass Wonder
ランニングヒロイン
メジロフランシスカーネギーCarnegie
メジロモントレー
モシーンMosheenFastnet RockデインヒルDanehill
Piccadilly Circus
Sumehraストラヴィンスキー
Miss Priority
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの鹿毛の牡馬。父モーリス、母モシーン。

エアーズロック ― 名と血

オーストラリア大陸のほぼ中央に、赤い一枚岩がある。ウルル。かつてはエアーズロックと呼ばれた、平坦な地にただ一つ盛り上がる砂岩の丘だ。その名を、馬主ダノックスの冠名「ダノン」に重ねて授かったのが、この鹿毛の牡馬である。 名の由来は、血をたどれば腑に落ちる。母モシーンはオーストラリアの牝馬だった。2011年のクラウンオークスをフレミントンで9馬身ちぎり、明けて2012年にはオーストラリアンギニーで牡馬をまとめて負かし、ランドウィックギニーズも制した豪州GI4勝の一流馬である。その母に、GIを六つ勝った名マイラー、モーリスを配して生まれた。豪州の岩を名に負うのは、母がその大地の出だからだ。 半姉には、同じモシーンを母に持つプリモシーン(父ディープインパクト)がいる。フェアリーステークス、関屋記念、東京新聞杯とマイルの重賞を三つ勝った牝馬で、母系のたしかな器を先に証していた。2021年2月、その一族に牡馬が生まれ、美浦の堀宣行のもとへ送られる。デビューの手綱を取ったのは、母と母国を同じくするオーストラリアの名手、ダミアン・レーンだった。

二つの白星 ― 素質の証明

2023年6月、東京・芝1800m。新馬戦のダノンエアズロックは、レーンを背に前へつけると、直線で後続を突き放して1番人気に応えた。初陣から、ただの良血ではないと知れる勝ち方だった。 秋、同じ府中のアイビーステークス。今度はジョアン・モレイラが跨り、前めの二番手から抜け出す。上がり32秒7の切れ味で接戦を制し、デビューから二連勝。堀厩舎の期待は、クラシックの一頭へと膨らんでいった。名手モレイラも、この馬の先を頼もしげに見ていた。 血が呼ぶ舞台は、もう目の前にあるように思われた。

弥生賞の躓き、そしてダービー

2024年3月、報知弥生ディープ記念。2番人気に推されながら、直線で伸びを欠いて7着に沈む。のちに、右後肢の軽い骨折が判明した。順調なら皐月賞の一角に座っていたはずの馬は、クラシックの本流から外れる。 それでも堀は間に合わせた。5月、東京のプリンシパルステークス。モレイラの手綱で前めを進み、直線で反応すると、最後は持ったまま入線して1着。ダービーへの優先出走権を、遠回りの末にもぎ取った。 だが、五月最終週の府中は甘くなかった。5番人気で臨んだ東京優駿は14着。皮肉なことに、同じダノックスの勝負服はこの日ダービーを勝っている――9番人気で最内を突いたダノンデサイルが、横山典弘を背に栄冠をさらった。頂は同じ服色の、別の一頭の背にあった。骨折明けの三歳馬にとって、2400mの重みは大きすぎた。

支持され続けて ― 勝ち切れぬ日々

古馬になっても、素質への信頼は消えなかった。2024年秋、毎日王冠では6番人気ながら上がり33秒3の脚を使って6着。続くチャレンジカップは単勝1番人気に支持されたが、伸びきれず7着に終わる。明けて2025年、エプソムカップも2番人気で6着、夏のジューンステークスは1番人気に応えられず5着。 差す脚は、確かにあった。だが、前を捕まえきる最後のひと押しが、いつも少しだけ足りない。人気が背に重くのしかかるほど、勝利の二文字は遠ざかっていくようだった。この頃、手綱にはふたたびダミアン・レーンが戻っている。デビューを託した男が、勝ちあぐねる馬の背に、もう一度座った。 重賞のタイトルには、まだ手が届かない。だが、届かないことと、走れないことは、違う。

マイルへ ― 血の指し示す道

2025年の暮れ、陣営は距離を詰めた。阪神のリゲルステークスで芝1600mを3着、年明けのニューイヤーステークスでは2番人気に応えて2着。中山のマイルで、ようやく歯車が合いはじめる。 思えば、半姉プリモシーンもマイルの重賞を勝ち歩いた牝馬だった。母モシーンが豪州の1600mでギニーを制したように、この一族の芯にはマイルの器がある。遠回りをして、血の指し示す道へ戻ってきたのかもしれない。 2026年6月、東京のジューンステークス。1番人気に推されたダノンエアズロックは、レーンの手綱で上がり33秒8を伸ばして3着。勝ち切れはしない。それでも、府中の直線でまた確かに脚を使った。 豪州の赤い岩は、風雨に削られながら幾万年もそこに在り続ける。この鹿毛もまた、タイトルという頂には届かぬまま、それでも一戦ごとに脚を残して走っている。名の由来となった岩のように、動かず、消えず。また府中の長い直線を駆ける日を、静かに待っている。

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