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ダンシングプリンス
通算成績19戦11勝
獲得賞金3億3,302万円
生年月日 2016.05.17(平成28年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中 | JBCスプリント | 大井 ダ1200 | 7人気 | 岩田望来 | — | 映像 | ||
| 5 | JpnⅢ北海道スプリントカップ | 門別 ダ1200 | 2人気 | 落合玄太 | 1:12.5 | 上り38.8 | — | |
| 5 | GIIIリヤドダートスプリント | キングアブドゥル ダ1200 | 3人気 | D.レーン | 1:12.5 | — | 映像 | |
| 1 | JpnⅠJBCスプリント | 盛岡 ダ1200 | 3人気 | 三浦皇成 | 1:09.1 | 上り34.7 | 映像 | |
| 4 | JpnⅢクラスターカップ | 盛岡 ダ1200 | 1人気 | C.ルメール | 1:10.6 | 上り35.4 | — | |
| 1 | JpnⅢ北海道スプリントカップ | 門別 ダ1200 | 2人気 | 落合玄太 | 1:10.6 | 上り36.3 | — | |
| 1 | GIIIリヤドダートスプリント | キングアブドゥル ダ1200 | 1人気 | C.ルメール | 1:10.2 | — | 映像 | |
| 1 | GIIIカペラS | 中山 ダ1200 | 3人気 | 三浦皇成 | 1:09.5 | 上り36.4 | 映像 | |
| 1 | L京葉S | 中山 ダ1200 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:09.2 | 上り35.6 | — | |
| 6 | OP大和S | 阪神 ダ1200 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:11.9 | 上り37.2 | — | |
| 3 | GIIIカペラS | 中山 ダ1200 | 2人気 | 三浦皇成 | 1:09.9 | 上り36.5 | 映像 | |
| 1 | 外房S | 中山 ダ1200 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:10.4 | 上り36.7 | — | |
| 1 | 彦星賞 | 福島 ダ1150 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:06.1 | 上り35.4 | — | |
| 1 | 4歳以上1勝クラス | 中山 ダ1200 | 1人気 | 三浦皇成 | 1:10.3 | 上り36.7 | — | |
| 1 | イルミネーション行く | 船橋 ダ1200 | 1人気 | 落合玄太 | 1:13.0 | 上り37.8 | — | |
| 1 | 烈風スプリント | 船橋 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:13.8 | 上り38.3 | — | |
| 1 | 過去最大の煌めきで皆 | 船橋 ダ1200 | 1人気 | 御神本訓史 | 1:13.1 | 上り37.1 | — | |
| 11 | 3歳以上1勝クラス | 阪神 芝1600 | 4人気 | 三津谷隼人 | 1:33.7 | 上り34.4 | — | |
| 2 | 3歳未勝利 | 小倉 芝1200 | 3人気 | 三津谷隼人 | 1:09.0 | 上り34.2 | — | |
| 除 | 3歳未勝利 | 小倉 芝1200 | 北村友一 | — | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父パドトロワ | スウェプトオーヴァーボードSwept Overboard | エンドスウィープEnd Sweep |
| Sheer Ice | ||
| グランパドドゥ | フジキセキFuji Kiseki | |
| スターバレリーナ | ||
| 母リトルブレッシング | バブルガムフェローBubble Gum Fellow | サンデーサイレンスSunday Silence |
| バブルカンパニーBubble Company | ||
| サワヤカプリンセス | ノーザンテーストNorthern Taste | |
| スコッチプリンセスScotch Princess |
引退後・牧場での映像
ゴール板の先の時間旅程 — この馬の物語
2016年生まれの鹿毛の牡馬。父パドトロワ、母リトルブレッシング。主な勝ち鞍はカペラS・リヤドダートスプリン。
踊る名と、王女たちの牝系
2016年5月17日、千歳の社台ファームで一頭の鹿毛の牡馬が生まれた。父はパドトロワ。バレエ用語で三人の踊りを指す名である。その母はグランパドドゥ、さらにその母はスターバレリーナ――父方は、踊りの語で連なる一族だった。 母はリトルブレッシング。その母はサワヤカプリンセス、さらにその母はスコッチプリンセスと、母方には王女の名が並ぶ。踊りと、王子。登録された馬名の由来は「踊る王子」。踊りの語は父方に、王女の名は母方に――名の二つの音は、そのまま血統表の左右に並んでいた。 血は静かではない。母の母サワヤカプリンセスの仔には、2003年のスプリンターズステークスと2003・2004年のマイルチャンピオンシップを勝ったデュランダルがいる。鋭い切れ味で芝の短距離を支配した名馬は、この鹿毛の伯父にあたる。もっとも、受け継いだ速さが芝で花開くとは限らない。それを確かめるのに、この馬は少し時間を要した。
芝では、見つからなかった
デビューは遅かった。2019年8月18日、小倉の3歳未勝利に登録されながらゲートには立てず、除外。実際の初陣は13日後の8月31日、同じ小倉の芝1200mだった。見習いの三津谷隼人を背に3番人気で2着。勝ち馬の背中は、0秒2先にあった。 続く阪神の1勝クラスは芝1600mに距離を延ばして11着。3歳の夏はもう終わろうとしていて、栗東・鮫島一歩厩舎の管理馬は、まだ一つも勝てないままだった。 速さはあった。ただ、それは芝で勝ち切るための速さにはならなかった。秋、陣営はこの馬を砂へ、そして南関東へ送り出す。
船橋のC2から ― 三連勝
2019年11月、船橋・岡林光浩厩舎へ転入。最初の一戦は「過去最大の煌めきで皆様をお迎えしま賞」という、地方競馬らしい長い名を持つC2の条件戦だった。御神本訓史を背に、重馬場を2秒1突き放しての圧勝。12月の烈風スプリントも1秒7差、年が明けた1月11日、落合玄太に手綱の替わった一戦も1秒1差。三戦して三勝、いずれも1番人気で、いずれも後続を引き離しての勝ち方だった。 この頃の馬体重は490キロ台。のちの姿より30キロほど軽い。南関東の砂は、この馬に自分の走り方を教えた。前に行って、そのまま押し切る。芝で持て余していた速力は、ダート1200mでようやく形になった。
開業一年目の厩舎に来た馬
2020年4月、ふたたび中央へ。受け入れたのは美浦の宮田敬介――その年に開業したばかりの、まだ一つも勝ち星のない新人調教師だった。国枝栄厩舎の調教助手から独立して、厩舎を構えたばかりである。 4月5日、中山のダート1200m。鞍上は三浦皇成。1番人気に応え、2着に1秒6差をつけた圧勝が、そのまま宮田厩舎にとってJRAでの最初の勝利になった。のちに宮田は、この馬をこう呼んでいる。「JRA初勝利がこの馬。今年思ったほど勝ち星を伸ばせてない中で、いつも厩舎が苦しい時に助けてくれる宝物のような存在」[^1] 7月の福島・彦星賞は不良馬場を1分06秒1で駆け抜け、福島のダート1150mにレコードを刻んだ。10月の外房ステークスも押し切って、船橋から数えて六連勝。12月のカペラステークスで初めて重賞に挑み、ジャスティンの0秒1後ろで3着に敗れる。届かなかった。だが、届く場所にいることは分かった。
出典:中日スポーツ・東京中日スポーツ「【中山カペラS】昨年の借りは返した!ダンシングプリンス重賞初制覇 三浦皇成「大きい舞台で戦える」」2021年12月12日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/382523、閲覧日:2026年7月24日。
借りを返す ― 二〇二一年十二月十二日
2021年は躓きから始まった。2月の大和ステークス、1番人気に推されて6着。勝ったのはリュウノユキナだった。4月の京葉ステークスは1番人気に応えて快勝したが、重賞の舞台では、まだ何も証明していない。 12月12日、中山のカペラステークス。3番人気。前半3ハロン32秒8という、芝のレース並みの数字が刻まれる流れだった。三浦はスタートを決めて2番手につけ、残り200mを過ぎて先頭へ。あとは、この馬の絶対的な速さの問題だった。リュウノユキナを半馬身抑え、勝ち時計1分09秒5。初めての重賞であり、宮田厩舎にとっても初めての重賞だった。二月に取りこぼしたものを、十二月に取り返した形になる。 レース後、三浦はもう先を見ていた。「もっと大きい舞台で戦えると思います」[^1]
出典:中日スポーツ・東京中日スポーツ「【中山カペラS】昨年の借りは返した!ダンシングプリンス重賞初制覇 三浦皇成「大きい舞台で戦える」」2021年12月12日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/382523、閲覧日:2026年7月24日。
砂漠のハナ ― リヤドの五馬身
2022年2月26日、サウジアラビア・キングアブドゥルアジーズ競馬場。リヤドダートスプリントの鞍上はクリストフ・ルメール。ゲートを出るとためらいなくハナを切り、直線では後続を置き去りにした。2着グッドエフォートとの差は5馬身3/4。3着にチェーンオブラブが入り、前年このレースを勝ったコパノキッキングは4着に沈んだ。 海外初挑戦での勝利であり、日本調教馬にとってはコパノキッキングに続く2年連続の制覇だった。砂漠の砂も、船橋の砂も、この馬のやることは変わらない。前に行って、誰にも前を譲らない。
盛岡、二〇二二年十一月三日
帰国後の6月、門別の北海道スプリントカップ。手綱を任されたのは落合玄太――船橋で三連勝目を挙げたときの鞍上である。重馬場のダート1200mを制し、JpnIIIを一つ加えた。8月のクラスターカップは1番人気に推されながら、不良馬場の盛岡で4着。ゲートの出が悪かった。 11月3日、同じ盛岡。JBCスプリント。三浦皇成が手綱に戻った。前走の出遅れを警戒していたと三浦はのちに語っているが、心配は無用だった。好スタートからハナを奪い、直線でも脚色は衰えない。リュウノユキナに4分の3馬身、3着ヘリオスまではさらに3馬身。1分09秒1。 三浦皇成にとって、これは2014年の全日本2歳優駿以来、8年ぶり2度目のJpnI制覇だった。2008年のデビュー年に91勝を挙げて武豊の新人記録を塗り替えた男は、2016年8月の札幌で落馬し、肋骨9本と骨盤を折り、肺と副腎まで傷めている。一年近い休養を経て戻ってからも、大きなタイトルは遠かった。宮田敬介にとっても、これが初めてのGI・JpnI制覇である。開業一年目に厩舎最初の勝利を運んだ馬が、そのまま最初の大きな旗も立てた。
最後のゲート、そして
2023年、7歳。2月のリヤドは5着、勝ったのはブリーダーズカップスプリントを制したエリートパワーだった。6月の門別も5着。そして11月3日、大井のJBCスプリント――連覇のかかった一戦である。だがゲートが開いた直後、鞍上の岩田望来が落馬し、競走中止。走り切ることのないまま、これが最後のレースになった。5日後、11月8日付で競走馬登録は抹消されている。 通算19戦11勝、獲得賞金3億3302万円。芝で一つも勝てなかった馬が、船橋のC2から六つ勝ち続け、中山で、門別で、盛岡で、そして砂漠でタイトルを獲った。いまは日高、新ひだか町のレックススタッドで種牡馬として繋養され、毎年の展示会にその鹿毛の姿を見せている。 そして、二年後の秋。2025年9月28日、中山のスプリンターズステークス。三浦はウインカーネリアンでゴール板を先頭で通過した。デビューから18年、JRAのGIに127回騎乗しての、初めての戴冠だった。距離は1200m――盛岡でこの馬と駆け抜けたのと、同じ道のりである。あの中山の暮れに、この馬はもっと大きい舞台で戦えると言った男が、いま自ら、その舞台のいちばん高いところに立っていた。
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