名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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コスタノヴァのイメージビジュアル
コスタノヴァCosta Nova
Costa Nova

コスタノヴァ

通算成績15戦8勝

獲得賞金43,454万円

生年月日 2020.04.03(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
コスタノヴァの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 2人気 D.レーン 1:39.5 上り38.2映像
1 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 2人気 C.ルメール 1:35.4 上り35.2映像
2 GIII武蔵野S 東京 ダ1600 1人気 C.ルメール 1:35.8 上り34.8映像
11 JpnⅠさきたま杯 浦和 ダ1400 2人気 C.ルメール 1:25.8 上り35.8映像
3 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 1人気 D.レーン 1:39.3 上り36.2映像
1 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 2人気 R.キング 1:35.5 上り35.6映像
1 GIII根岸S 東京 ダ1400 2人気 横山武史 1:22.6 上り35.9映像
6 JpnⅢクラスターカップ 盛岡 ダ1200 2人気 C.ルメール 1:10.9 上り34.4
1 OP欅S 東京 ダ1400 2人気 C.ルメール 1:21.9 上り34.8
1 白嶺S 東京 ダ1600 1人気 C.ルメール 1:36.5 上り36.5
1 アプローズ賞 東京 ダ1600 1人気 C.ルメール 1:36.3 上り36.6
2 両津湾特別 新潟 ダ1800 1人気 C.ルメール 1:52.5 上り39.3
1 3歳以上1勝クラス 東京 ダ1600 3人気 C.ルメール 1:35.1 上り36.1
1 3歳未勝利 中山 ダ1800 4人気 杉原誠人 1:53.7 上り39.2
11 2歳新馬 中山 芝1600 4人気 T.マーカンド 1:38.2 上り37.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
コスタノヴァの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ロードカナロアLord KanaloaキングカメハメハKing KamehamehaKingmambo
マンファスManfath
レディブラッサムStorm Cat
サラトガデューSaratoga Dew
カラフルブラッサムハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
トロピカルブラッサムTropical BlossomサンダーガルチThunder Gulch
Barbara Sue
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牡馬。父ロードカナロア、母カラフルブラッサム。主な勝ち鞍はフェブラリーS・根岸S。

彩りの海岸 ― 芝で負けた始まり

コスタノヴァ――ポルトガル北部、アヴェイロの潟に面した漁村の名である。かつて漁師が網を仕舞った木造の小屋は、霧の立つ潟からも見分けられるよう鮮やかな縦縞に塗り分けられ、いまは彩り豊かな家並みが続く海辺のリゾートになった。母の名はカラフルブラッサム。彩りの花という響きが、縞模様の海岸の名とどこかで通じ合う。 2020年4月3日、ノーザンファーム生まれの鹿毛。父は芝の短距離を制した快速の王ロードカナロア。馬主は吉田勝己、預けられたのは美浦・木村哲也の厩舎である。 2022年12月25日、中山の芝1600メートルの新馬戦。だが、快速の血を継ぐこの馬は芝では走らなかった。11着の惨敗。ターフは、彼の海ではなかった。

砂で見つけた居場所 ― ルメールの手作り

年が明けて3歳。舞台をダートに移した初戦、中山のダート1800メートルの未勝利戦を杉原誠人で勝ち上がると、芝で沈んでいた馬は、砂の上で初めて自分の居場所を見つけた。 次の東京ダート戦から、手綱はクリストフ・ルメールに渡る。ここからが、この物語の背骨になる。1勝クラス、アプローズ賞、白嶺ステークス――府中のダートを、ルメールは一つずつ勝たせて階段を上らせた。新潟の両津湾特別で2着に取りこぼした一戦を除けば、東京のダートで負けは無い。2024年5月には欅ステークスも制してオープンの身になった。デビューの惨敗から、この馬はルメールの手で作り替えられていった。

府中の王者 ― 戴冠の日、主戦は府中にいなかった

2025年2月2日、根岸ステークス。だが鞍上にルメールの姿はなく、手綱は横山武史に託された。府中のダート1400メートルを、コスタノヴァは直線で豪快に抜け出し、2着ロードフォンスに4馬身の差をつけて重賞初制覇。東京のダートは、これで無傷の5勝目になった。 勝った横山は、手柄を自分のものにしなかった。ここまでルメールがこの馬を作り上げてくれた、その仕事を壊さないように乗るだけだった――勝利のあと、彼はそう繰り返した。作り上げた男は、その日、府中にいなかった。 三週間後の2月23日、フェブラリーステークス。ルメールは海外に遠征しており、鞍上はサウジ帰りのレイチェル・キングだった。好位から抜け出し、追いすがるサンライズジパングを抑えてGI初制覇を果たす。これはキングにとって、そして日本競馬にとって、女性騎手による初めてのJRA平地GI制覇だった。歴史的な戴冠。だがその鞍上に、二年をかけて馬を作った主戦の姿はなかった。

影の一年 ― 府中を出た代償

頂点のあとに、長い影が差した。 府中では無類のコスタノヴァも、小回りの地方場では別の顔を見せる。5月、船橋のかしわ記念。ダミアン・レーンを背に、前が壁になってキックバックをまともに浴び、3着に沈む。6月、浦和のさきたま杯。戻ってきたルメールを乗せながら、今度は大きく出遅れて11着。ルメールは、こういう小さな競馬場は合わない、と漏らした。 秋、府中に帰った武蔵野ステークスでは2着。走ってはいるが、勝ちきれない。木村哲也はのちに、去年は使い倒してしまった、つらい一年だった、と振り返っている。頂を知った馬の一年は、勝てないレースの連なりだった。

二〇二六年二月二十二日 ― 連覇と、芝馬のような脚

2026年2月22日、フェブラリーステークス。鞍上に、ようやくルメールが戻ってきた。 課題は、ゲートだった。前年のさきたま杯で大きく出遅れた馬に、この日はブリンカーが着けられている。ルメールが最も注意を払ったのも、そのスタートだった。ゲートが開くと、コスタノヴァは五分に出た。好きな位置を、自分で取れた。 直線、大外へ持ち出して坂を上りきってから伸びる。1番人気ダブルハートボンドウィルソンテソーロとの三頭の叩き合いを、上がり最速の35秒2で差し切った。半馬身、前に出ていたのはコスタノヴァだった。コパノリッキーカフェファラオに次ぐ、史上3頭目のフェブラリーステークス連覇である。 レースのあと、ルメールはその末脚を「芝馬みたいです」と評した[^1]。芝の新馬戦で沈んだ馬が、砂の頂点で、芝馬のような脚を使って勝った。二年前、戴冠の場に居合わせなかった主戦は、今度は自らの手で連覇を掴んでいた。 その後、船橋のかしわ記念では4着に敗れ、いまは放牧に出ている。半弟には、ドゥラメンテ産駒で2026年の目黒記念を勝ったファイアンクランツがいる。母カラフルブラッサムの彩りは、兄弟それぞれの舞台で花をつけた。コスタノヴァはまだ現役。府中の砂に、次の一戦を待っている。

出典:スポーツナビ「【フェブラリーS】「良かった、出た」ルメール騎手もホッ…目覚めた府中の鬼コスタノヴァ史上3頭目の連覇」2026年2月23日配信、https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/2026022300008-spnaviow、閲覧日:2026年7月17日。

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