名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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コパノリッキーのイメージビジュアル
コパノリッキーCopano Rickey
Copano Rickey

コパノリッキー

通算成績33戦16勝

獲得賞金99,514万円

生年月日 2010.03.24(平成22年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
コパノリッキーの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 GI東京大賞典 大井 ダ2000 3人気 田辺裕信 2:04.2 上り37.1
3 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 9人気 田辺裕信 1:50.2 上り36.3映像
2 JpnⅠJBCスプリント 大井 ダ1200 1人気 森泰斗 1:11.4 上り36.6映像
1 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 1人気 田辺裕信 1:34.9 上り34.6
1 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 2人気 武豊 1:39.9 上り38.0
14 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 6人気 武豊 1:36.5 上り37.3映像
5 GI東京大賞典 大井 ダ2000 3人気 戸崎圭太 2:07.5 上り38.0
13 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 3人気 C.ルメール 1:51.6 上り38.8映像
5 JpnⅠJBCクラシック 川崎 ダ2100 1人気 田辺裕信 2:16.0 上り39.3映像
1 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 1人気 田辺裕信 1:33.5 上り35.2
1 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 5人気 武豊 2:03.5 上り36.1
1 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 3人気 武豊 1:39.2 上り37.2
7 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 4人気 武豊 1:34.6 上り35.6映像
4 GI東京大賞典 大井 ダ2000 2人気 武豊 2:04.5 上り39.3
7 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 1人気 武豊 1:51.2 上り38.7映像
1 JpnⅠJBCクラシック 大井 ダ2000 3人気 武豊 2:04.4 上り37.0映像
3 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 1人気 武豊 1:52.2 上り40.1
1 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 1人気 武豊 1:36.3 上り36.2映像
1 GII東海テレビ杯東海S 中京 ダ1800 1人気 武豊 1:50.9 上り37.5映像
2 GI東京大賞典 大井 ダ2000 2人気 田辺裕信 2:03.8 上り37.8
12 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 1人気 田辺裕信 1:52.2 上り36.9映像
1 JpnⅠJBCクラシック 盛岡 ダ2000 3人気 田辺裕信 2:00.8 上り35.7映像
2 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 1人気 田辺裕信 2:03.9 上り36.4
1 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 2人気 田辺裕信 1:39.2 上り36.5
1 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 16人気 田辺裕信 1:36.0 上り35.3映像
9 OPフェアウェルS 中山 ダ1800 3人気 戸崎圭太 1:52.3 上り38.1
10 OP霜月S 東京 ダ1400 1人気 内田博幸 1:24.8 上り37.1
1 JpnⅡ兵庫チャンピオンシップ 園田 ダ1870 1人気 福永祐一 1:58.4 上り37.5
1 OP伏竜S 中山 ダ1800 1人気 福永祐一 1:53.6 上り38.1
3 OPヒヤシンスS 東京 ダ1600 1人気 福永祐一 1:36.8 上り38.1
1 3歳500万下 東京 ダ1400 1人気 C.ルメール 1:25.5 上り36.2
1 3歳未勝利 京都 ダ1800 8人気 川須栄彦 1:52.4 上り36.7
8 2歳新馬 阪神 ダ1800 8人気 鮫島良太 1:55.2 上り37.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
コパノリッキーの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ゴールドアリュールGold AllureサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ニキーヤNikiyaNureyev
Reluctant Guest
コパノニキータティンバーカントリーTimber CountryWoodman
Fall Aspen
ニホンピロローズトニービンTony Bin
ウェディングブーケ

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2010年生まれの栗毛の牡馬。父ゴールドアリュール、母コパノニキータ。主な勝ち鞍はフェブラリーS・東京大賞典競走・東海テレビ杯東海S。

黄色い勝負服 ― 二〇一〇年、日高の春

2010年3月24日、北海道日高町のヤナガワ牧場に、栗毛の牡馬が生まれた。父ゴールドアリュール、母コパノニキータ。 馬主は小林祥晃。風水の第一人者「Dr.コパ」として知られるこの人は、午年の2002年に馬主になっている。黄を基調に赤の一本輪を回した勝負服も、金運を高める色として選ばれたものだ。母コパノニキータもまた、その黄色い勝負服で中央を22戦走った牝馬だった。3勝。重賞には届かなかったが、小林はこの牝馬にゴールドアリュールを繰り返し配した。リッキーは母の三番仔で、そのゴールドアリュール産駒としては二頭目にあたる。 牝系をさかのぼれば、4代母は輸入牝馬アリーウイン。同じヤナガワ牧場の生産で産経大阪杯を二度制したサンライズペガサスも、この牝馬の血を引いている。 2012年12月22日、阪神のダート1800m。鮫島良太を背に8番人気で8着。デビュー戦の着順としては、ごく平凡な数字である。この栗毛がやがて日本調教馬の最多記録を書き換えることを、この日はまだ誰も知らない。

園田の六馬身 ― 折れた三歳の春

年が明けた2013年1月12日、京都のダート1800m。8番人気の低評価をひっくり返して、川須栄彦を背に初勝利を挙げる。2週間後の東京・500万下はクリストフ・ルメールが乗って完勝。このとき2着に敗れていたのがサウンドトゥルーだった。以後、大井でも中京でも幾度となく顔を合わせることになる相手と、キャリア二勝目の時点ですでにすれ違っている。 ヒヤシンスSで1番人気3着と足踏みしたあと、福永祐一に手綱が渡ると流れが変わった。3月31日、中山の伏竜Sを制し、5月2日には園田の兵庫チャンピオンシップJpnIIを6馬身差で圧勝して重賞初勝利。2着はベストウォーリアだった。 陣営は日本ダービーを口にした。ダートしか使っていない馬を、それでも府中の芝へ連れて行くつもりだった。だが直後、右前脚の橈骨骨折が判明する。全治6か月。 秋に戻ってきた馬は、11月の霜月Sで1番人気に推されて10着、暮れのフェアウェルSで9着。素質馬の看板は、二戦で剥がれ落ちた。

二分の一 ― 二〇一四年二月二十三日

2014年のフェブラリーステークスは、登録が定員を超えていた。最後の一枠は抽選で決まる。コパノリッキーはケイアイレオーネとの二分の一を引き当て、東京のダート1600mに立つ資格を得た。16頭立ての16番人気、単勝272.1倍。 鞍上の田辺裕信も、本来この鞍にいるはずではなかった。彼が乗る予定だったのは同じ村山明厩舎のテスタマッタ――2012年にこのレースを勝った馬である。その馬が直前に屈腱炎を発症して引退し、騎乗馬を失った田辺に、最低人気の手綱が回ってきた。 スタートを決めた田辺は、内から主張したエーシントップを行かせて2番手に控える。「オーナーには“ホッコータルマエをマークしろ”と言われたんですが、そこは無視しました」[^1]。強い馬同士が牽制し合っている間に、先に行ってしまおうという判断だった。残り400mで早々と先頭に立ち、残り200mでもう後続を突き放している。唯一食い下がったホッコータルマエは、馬体を並べたところで脚色が同じになった。半馬身差、1分36秒0。 単勝2万7210円。1989年エリザベス女王杯のサンドピアリスに次ぐ、JRAのGI史上2番目の高配当である。最低人気馬による平地GI制覇は史上3度目だった。そしてこれが、デビュー13年目の田辺裕信にとって初めてのGIだった。

出典:スポニチアネックス「【フェブラリーS】最低人気コパノリッキー仰天V!単勝G1歴代2位」2014年2月24日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/02/24/kiji/K20140224007652420.html 、閲覧日:2026年7月29日。

フロックではない ― 五月五日の船橋

勝った直後、村山明が口にしたのはテスタマッタの名前だった。「思うように勝たせてあげられなかったテスタマッタの分も、この馬で頑張っていきたい」[^1]。前脚の骨折で低迷していた馬を、坂路主体の調整に、より負荷のかかるウッドチップコースでの追い切りを足して作り直していた。人気はなくとも能力は通用すると思っていた、と村山は言った。 それでも世間はフロックと見ていた。答えは2か月半後に出る。5月5日、船橋のかしわ記念。出遅れながら馬群の外を回り、3コーナーで動いて4コーナーには先頭集団に並びかけ、直線で突き放した。ムチは2発しか入っていない。統一GI・JpnIの二つ目を、田辺は落ち着いて手に入れた。 5月5日は、小林祥晃の誕生日でもある。この馬はこの日この舞台で、生涯に三度勝つことになる。 6月の帝王賞は1番人気で2着。秋、盛岡のJBCクラシックを2分0秒8のレコードで勝ち、フロック視は年内に消えた。ただし12月のチャンピオンズカップは1番人気で12着、暮れの東京大賞典はホッコータルマエの2着。大井の暮れは、この時点ではまだ遠い場所だった。

出典:スポニチアネックス「【フェブラリーS】最低人気コパノリッキー仰天V!単勝G1歴代2位」2014年2月24日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/02/24/kiji/K20140224007652420.html 、閲覧日:2026年7月29日。

連覇 ― 二度目のフェブラリーステークス

2015年、手綱は武豊に渡った。1月25日、中京の東海ステークスを4馬身差で圧勝。新コンビは初戦から噛み合った。 2月22日、フェブラリーステークス。今度は1番人気である。前年と同じように2番手で運び、逃げるアドマイヤロイヤルをかわして先頭に立つと、追い込んできたインカンテーションを半馬身抑えた。1分36秒3。フェブラリーステークス史上初の連覇だった。 数日後、JRAが故障を発表する。左前脚の橈骨遠位端骨折。あの1600mの道中のどこかで、脚は折れていた。全治6か月。 秋に戻り、船橋の日本テレビ盃で3着と一度叩いてから、11月3日の大井でJBCクラシックを連覇する。2着はまたサウンドトゥルーだった。暮れのチャンピオンズカップは7着、東京大賞典は4着。それでもこの年、JRA賞最優秀ダートホースはこの馬のものになった。

逃げない王者 ― 六歳の作り直し

コパノリッキーには弱みがあった。前で運ぶ馬は、前で運ぶぶんだけ狙われる。2016年のフェブラリーステークスは内枠から馬群に包まれ、7着。三連覇は消えた。 そこで陣営が作り直したのは、脚質そのものだった。5月のかしわ記念は2番手、6月の帝王賞は3番手、10月のマイルチャンピオンシップ南部杯も3番手から。逃げる王者ではなく、控えて差す王者として、6歳の春から秋にかけてJpnIを三つ続けて獲った。盛岡の南部杯は1分33秒5のレコード。2年前に同じ盛岡の2000mで刻んだ数字の隣に、1600mの数字が並んだ。 そこから四連敗する。川崎のJBCクラシック5着、チャンピオンズカップ13着、東京大賞典5着、明けて2017年のフェブラリーステークスは14着。7歳になっていた。 5月5日、船橋。武豊を背に、かしわ記念を三度目に勝つ。これが、武豊がこの馬で走った最後の実戦になった。10月には盛岡の南部杯を連覇。11月、大井のJBCスプリントで初めて1200mを使い、森泰斗を背にニシケンモノノフのアタマ差2着。7歳にして、まだ試していない距離が残っていた。

四度目の大井 ― 二〇一七年十二月二十九日

東京大賞典に、この馬は四度出走している。2014年2着、2015年4着、2016年5着。年ごとに一つずつ下がっていく着順は、そのまま晩年の下り坂に見えた。 四度目。鞍上は田辺裕信に戻っていた。3番人気。 好スタートからハナを奪うと、道中は誰にも絡まれない。直線で後続を引き離し、追ってきたサウンドトゥルーに3馬身。1番人気のケイティブレイブは3着。2分4秒2。四年前に府中で見せた押し切りを、大井の暮れでもう一度、今度は誰にも並ばれずにやってのけた。 GI・JpnI通算11勝。それまでの最多は、2016年の川崎記念で日本競馬史上初の10勝に達したホッコータルマエだった――あの日の府中で、半馬身差で退けた相手である。その数字を、コパノリッキーは最後の一走で越えた。1着賞金は8000万円。そして、これが引退レースだった。 レース後、田辺はこの馬について、初めてGIを勝たせてもらったこと、しかも16番人気という形で自分の名前を広めてもらったことを振り返っている。二分の一の抽選を引き当てた馬と、乗るはずの馬を失った男。偶然そこで組み合わされた二人は、最後も同じ組み合わせで終わった。 2018年1月6日、京都競馬場で引退式。武豊を背に、砂ではなく芝のコースを駆けた。1月10日、競走馬登録抹消。

砂を継ぐ ― 種牡馬コパノリッキー

日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入り。初年度の種付は194頭、生まれた仔の血統登録は138頭で、その年の新種牡馬では最も多かった。ダートで11のタイトルを獲った馬に、生産者はまとまった数の繁殖牝馬を預けた。 2021年、産駒が走り出す。 2024年3月、中山のダート1800m、伏竜ステークス。テーオーパスワードという鹿毛の牡馬が、好スタートからハナを奪い、追い込むアラレタバシルを頭差で振り切って無傷の2連勝を決めた。父が2013年に勝ったのと同じ舞台を、同じように前で押し切った勝ち方だった。その2か月後、この馬はチャーチルダウンズのゲートに入り、ケンタッキーダービーで5着に走っている。 東京大賞典のあと、田辺はこの馬の仔で結果を残したいと語っていた。 2026年のいまも、コパノリッキーは日高で種牡馬として繋養されている。抽選の最後の一枠に滑り込んだ16番人気の栗毛が、日本のダートで誰よりも多くの大きなレースを勝った――その事実は、毎年掻き均される砂の上で、産駒が走るたびに新しく確かめ直される。

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