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カンパニー
通算成績35戦12勝
獲得賞金9億3,969万円
生年月日 2001.04.24(平成13年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 1人気 | 横山典弘 | 1:33.2 | 上り33.5 | 映像 | |
| 1 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 5人気 | 横山典弘 | 1:57.2 | 上り32.9 | 映像 | |
| 1 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 4人気 | 横山典弘 | 1:45.3 | 上り33.0 | 映像 | |
| 4 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 7人気 | 岩田康誠 | 2:11.7 | 上り35.1 | 映像 | |
| 4 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 4人気 | 横山典弘 | 1:33.8 | 上り35.5 | 映像 | |
| 2 | GII読売マイラーズカップ | 阪神 芝1600 | 3人気 | 横山典弘 | 1:33.9 | 上り33.0 | — | |
| 1 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 1人気 | 横山典弘 | 1:49.2 | 上り34.9 | 映像 | |
| 4 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 2人気 | 横山典弘 | 1:32.9 | 上り34.1 | 映像 | |
| 4 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 11人気 | 横山典弘 | 1:57.2 | 上り33.5 | 映像 | |
| 5 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 4人気 | 横山典弘 | 1:45.1 | 上り33.2 | — | |
| 8 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 7人気 | 横山典弘 | 2:16.2 | 上り37.9 | 映像 | |
| 1 | GII読売マイラーズカップ | 阪神 芝1600 | 1人気 | 横山典弘 | 1:33.6 | 上り34.3 | 映像 | |
| 1 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 2人気 | 横山典弘 | 1:47.3 | 上り34.9 | 映像 | |
| 4 | GIII東京新聞杯 | 東京 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:33.0 | 上り33.6 | — | |
| 5 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 3人気 | 福永祐一 | 1:33.0 | 上り33.7 | 映像 | |
| 3 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 6人気 | 福永祐一 | 1:58.8 | 上り34.6 | 映像 | |
| 1 | GIII関屋記念 | 新潟 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:31.8 | 上り33.3 | 映像 | |
| 16 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 9人気 | 福永祐一 | 2:01.4 | 上り35.9 | 映像 | |
| 5 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 4人気 | 福永祐一 | 1:45.7 | 上り34.0 | 映像 | |
| 5 | GI宝塚記念 | 京都 芝2200 | 6人気 | 福永祐一 | 2:14.1 | 上り35.8 | 映像 | |
| 11 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 6人気 | 内田博幸 | 1:33.8 | 上り34.8 | 映像 | |
| 1 | GII産経大阪杯 | 阪神 芝2000 | 3人気 | 福永祐一 | 2:04.5 | 上り36.8 | 映像 | |
| 4 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 2人気 | 福永祐一 | 1:50.0 | 上り36.0 | — | |
| 1 | GIII京阪杯 | 京都 芝1800 | 1人気 | 福永祐一 | 1:44.8 | 上り33.9 | 映像 | |
| 7 | GII毎日王冠 | 東京 芝1800 | 3人気 | 福永祐一 | 1:47.2 | 上り32.9 | — | |
| 5 | GI安田記念 | 東京 芝1600 | 11人気 | 福永祐一 | 1:32.6 | 上り34.3 | 映像 | |
| 4 | GII読売マイラーズカップ | 阪神 芝1600 | 2人気 | 安藤勝己 | 1:33.8 | 上り33.4 | — | |
| 2 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 2人気 | 安藤勝己 | 1:46.6 | 上り33.8 | — | |
| 2 | GIII京阪杯 | 京都 芝1800 | 4人気 | 安藤勝己 | 1:46.5 | 上り32.8 | — | |
| 9 | GI菊花賞 | 京都 芝3000 | 11人気 | 柴原央明 | 3:06.3 | 上り35.4 | 映像 | |
| 2 | GIIIラジオたんぱ賞 | 福島 芝1800 | 3人気 | 柴原央明 | 1:47.1 | 上り34.1 | — | |
| 1 | OPベンジャミンS | 中山 芝1800 | 3人気 | 柴原央明 | 1:47.3 | 上り34.1 | — | |
| 1 | あざみ賞 | 中京 芝1800 | 2人気 | 柴原央明 | 1:49.3 | 上り34.9 | — | |
| 7 | GIIIきさらぎ賞 | 京都 芝1800 | 6人気 | 小牧太 | 1:49.3 | 上り36.2 | — | |
| 1 | 3歳新馬 | 京都 芝1600 | 3人気 | 柴原央明 | 1:39.3 | 上り34.5 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ミラクルアドマイヤ | トニービンTony Bin | カンパラKampala |
| Severn Bridge | ||
| バレークイーンBallet Queen | Sadler's Wells | |
| Sun Princess | ||
| 母ブリリアントベリー | ノーザンテーストNorthern Taste | Northern Dancer |
| Lady Victoria | ||
| クラフテイワイフCrafty Wife | Crafty Prospector | |
| Wife Mistress |
旅程 — この馬の物語
2001年生まれの鹿毛の牡馬。父ミラクルアドマイヤ、母ブリリアントベリー。主な勝ち鞍は天皇賞・マイルチャンピオンS・京阪杯。
優良会社になりますように
2001年4月24日、北海道早来町のノーザンファーム。鹿毛の牡馬が生まれた。父ミラクルアドマイヤ、母ブリリアントベリー。どちらも近藤英子の持ち馬である。 父は三戦一勝で競走生活を終えた馬だった。脚部に不安が出て走れなくなった。ただ、血統表だけは飛び抜けている。父はトニービン、母はダービー馬フサイチコンコルドを産んだバレークイーン。この馬を種牡馬にしようと言い出したのが英子で、反対されると、自分の繁殖牝馬に付けるからと言って押し切った。そうして種付けされた一頭が、ブリリアントベリーだった。 名は「カンパニー」。会社を意味する英語を、そのまま持ってきた。英子は大阪で夫と会社を興した経営者だが、馬主としての収支は当時まだ赤字だった。優良会社のような馬主生活を送れますように——その願いが、そのまま馬の名になっている。願掛けの名は珍しくないが、ここまで身も蓋もなく正直な名前はあまりない。 母のブリリアントベリー自身は重賞に手が届かなかった。それでも産む仔は走った。半兄ニューベリーは中央のオープンまで上がって九勝を挙げ、もう一頭の半兄レニングラードは、カンパニーがデビューした2004年にアルゼンチン共和国杯を勝って、英子に初めての重賞をもたらしている。祖母クラフテイワイフから枝分かれした一族はさらに広い。母の全弟にはマイラーズカップのビッグショウリと、中山グランドジャンプのビッグテースト。いとこには、のちに天皇賞・秋を勝つトーセンジョーダンがいた。父が三戦一勝では血統表は地味に見える。実際にはこの馬、よく走る一族のまんなかにいた。 2004年1月17日、京都の芝1600メートル。新馬戦を柴原央明が三番人気で勝った。翌月のきさらぎ賞は七着。そこから中京のあざみ賞、中山のベンジャミンステークスと連勝してオープン入りし、夏の福島でラジオたんぱ賞二着。秋には菊花賞のゲートにも入っている。3000メートルは長かった。九着。最初のGIは、そうやって静かに終わった。
重賞の馬
四歳の初戦、中山記念を安藤勝己の手綱で二着。そこから勝ち切れない春が続いた。読売マイラーズカップ四着、安田記念五着、毎日王冠七着。11月26日、当時は京都の芝1800メートルで行われていた京阪杯を一番人気で勝ち、ようやく重賞のタイトルを手にする。前年に二着していたレースだった。 五歳の春には産経大阪杯を制して重賞二勝目。福永祐一とのコンビになっていた。だがGIは違った。安田記念十一着、宝塚記念五着、そして天皇賞・秋は十六着。ダイワメジャーの勝った秋の東京で、見せ場をつくれないまま終わっている。 六歳の夏、休み明けの関屋記念を勝った。新潟の1600メートルを1分31秒8。これで重賞三勝。秋の天皇賞では中団から馬群の間を割って伸び、進路を狭められながらも三着まで押し上げた。続くマイルチャンピオンシップでは、上がり三ハロン——最後の600メートル——を出走馬中もっとも速く駆けて五着。強い。ただ、GIでは足りない。年齢だけが積み上がっていく。 同じ年の春、英子の勝負服はすでにGIを勝っていた。ヴィクトリーの皐月賞である。その母グレースアドマイヤは、カンパニーの父ミラクルアドマイヤの全姉だった。近い血が先にクラシックを獲り、この馬はまだ重賞馬のままだった。
七歳の乗り替わり
2008年の初戦、東京新聞杯。一番人気に推されて四着に敗れた。次の中山記念から、鞍上が横山典弘に替わる。 替わったのは鞍上だけではなかった。それまで後ろから脚を溜める馬だったカンパニーが、前で競馬をするようになる。中山記念を勝ち、四月の読売マイラーズカップも勝った。上がりはどちらも34秒台。切れ味ではなく、位置取りで勝つ形である。七歳になって、走り方を変えた。 春のGIには出られなかった。放牧から戻ったあと、6月1日の朝に目の傷が見つかり、陣営は安田記念の回避を決めている。秋の始動は毎日王冠。だが放牧先から体重を大きく減らして帰ってきており、調整は最後まで詰め切れなかった。二年前と同じ、五着だった。
1分57秒2
11月2日、東京競馬場。十七頭立ての天皇賞・秋で、カンパニーは十一番人気だった。近走の着順と、七歳という数字が、そう読ませた。 スタートで行き脚がつかない。二コーナーを回るときには十六番手にいた。三コーナーでも、四コーナーでも、位置は動かない。前ではダイワスカーレットが1000メートルを58秒7で飛ばし、直線に向いてウオッカとディープスカイが馬体を並べて襲いかかっていく。競馬史に残る、あの一戦である。 その最後方付近から、カンパニーは馬群を割って出てきた。上がり三ハロンは33秒5。十七頭のなかで、いちばん速い。 長い写真判定のあとに掲示された順位は、一着ウオッカ、二着ダイワスカーレット、三着ディープスカイ、四着カンパニー。ウオッカとダイワスカーレットの差が2センチ、ディープスカイとカンパニーの差がハナ。そして四頭の走破時計は、すべて1分57秒2だった。五年前のレコードを0秒8縮める決着である。 勝ち馬とまったく同じ時計で走って、四着。レース後、横山はもう少し我慢させていれば結果は違ったかもしれないと悔やんだ。三週間後のマイルチャンピオンシップも四着。七歳の秋は、そうやって終わった。
内埒沿いの八歳
八歳になっても、この馬は同じ場所に立っていた。3月1日の中山記念は小雨。ゴール前でキングストレイルを捉え、追ってきたドリームジャーニーを抑えて連覇する。読売マイラーズカップは後方から追い上げて二着、安田記念は四着。六月の宝塚記念では横山がスクリーンヒーローに騎乗することになり、手綱は岩田康誠に渡った。先行して、直線で伸びず、四着。 秋、横山が戻ってきた。10月11日の毎日王冠。前年のような体重の減りはなく、状態は整っていた。この日、逃げたのはウオッカである。カンパニーはその背中を射程に入れて内埒沿いの五、六番手を進み、直線で33秒0を使った。ゴール前でウオッカを捉え、重賞七勝目。 そのまま八歳の秋、天皇賞・秋へ向かうことになった。ただしこの馬は、まだGIをひとつも勝っていない。
残り600メートル
11月1日、東京競馬場。晴、芝は良。第140回天皇賞・秋には十八頭が集まり、その全部が重賞勝ち馬で、九頭はGIを勝っていた。カンパニーは五番人気だった。 ゲートが開く。エイシンデピュティが気合をつけられて先頭に立つ。だがペースは上がらない。最初の1ハロンが13秒0。そこからは11秒台と12秒台がゆるやかに続き、五つ目の12秒2で流れがもっとも緩んだ。十八頭は塊のまま、東京の広い向正面を流れていく。 カンパニーは中団の内にいた。二コーナーで九番手あたり。三コーナーでも九番手あたり。四コーナーでも九番手あたり。三つの通過順位を並べても、この馬の位置はほとんど動かない。動かさなかった、というほうが近いだろう。外を回れば距離を損する。内で待てば、前が壁になるかもしれない。それでも横山は内を選び、二つのコーナーをそこでやり過ごした。 四コーナーを回って、十八頭が一斉に動いた。残り600メートルから400メートルまでの200メートルが、10秒8。この日いちばん速い区間である。12秒台で流れていた馬群が、ここで一息に伸び上がった。直線は525メートル余り。長い。 先に抜け出したのはスクリーンヒーローだった。前年のジャパンカップ馬が、得意の東京で先頭に立つ。その直後、内の一頭が動く。 残り200メートル。カンパニーが先頭に出た。 そこからさらに突き放している。内から遅れて伸びたウオッカがスクリーンヒーローに並びかける頃には、差は一馬身四分の三に開いていた。上がり三ハロンは32秒9。 走破時計は1分57秒2。一年前、この馬が同じ東京で、同じ数字を出して四着に沈んだときの時計である。今度は、その1分57秒2の先頭にいた。 JRAの平地GIを八歳で勝った馬は、それまでいなかった。2004年の菊花賞から前走の宝塚記念まで、この馬はGIで一度も勝てないまま来ていた。 「8歳なのに、とんでもないデキ」[^1]。レース後の横山はそう言い、完璧に仕上げてくれた厩舎スタッフを称えた。だからウオッカを気にせず自分の競馬に徹することができたのだ、と。調教師の音無秀孝は、この馬と付き合ってもう六年になると数え、この日を夢見ていたと語っている。
出典:日本中央競馬会「第140回 天皇賞(秋)」レース結果・回顧、2009年11月1日、https://www.jra.go.jp/datafile/seiseki/g1/akiten/result/akiten2009.html 、閲覧日:2026年8月2日。
雨の京都
天皇賞のあと、音無秀孝は有馬記念か香港をラストランにしてはどうかと馬主に持ちかけた。近藤英子はそうしなかった。潔く辞めさせたいと言い、11月22日のマイルチャンピオンシップを最後の一戦とすることが発表される。八歳でGIを勝った馬に、もう一走をねだらない決め方だった。 当日の京都は、午後から雨になった。単勝2.3倍の一番人気。この馬がGIで一番人気に推されたのは、これが初めてである。 逃げたのはマイネルファルケ。二馬身後ろにキャプテントゥーレ、その周りにヒカルオオゾラ、イギリスのエヴァズリクエスト、フランスのサプレザが並ぶ。誰も前を突きに行かず、ペースは上がらない。カンパニーは好スタートから中団の内。三週間前と同じ場所だった。 直線、エヴァズリクエストとヒカルオオゾラの間が空いた。そこを割って出て、外のキャプテントゥーレを抜き、逃げ粘るマイネルファルケを捉える。二着争いを一馬身四分の一うしろに置いての一着。三十五戦目にして、最後の一戦だった。 スタンドから大きな拍手が送られた。「本当に素晴らしい馬です」[^1]と横山典弘。GIで十度以上跳ね返されてきた馬が、最後の二戦を続けて勝ってターフを去った。この年のJRA賞で、カンパニーには特別賞が贈られている。
出典:スポーツナビ「カンパニー有終V走! GI連勝でターフを去る=マイルCS」2009年11月22日配信、https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/200911230003-spnavi 、閲覧日:2026年8月2日。
紡がれるもの
翌2010年、カンパニーは社台スタリオンステーションで種牡馬になった。父ミラクルアドマイヤが集めた繁殖牝馬は初年度こそ三十九頭いたが、その後は減り続け、一頭しか付かない年もあった。GIを二つ勝ったこの馬は、その初年度の産駒である。 種牡馬になってからも、カンパニーは一つの場所にとどまらなかった。2014年にブリーダーズ・スタリオン・ステーションへ移り、翌年の秋には熊本の牧場へ移る。その夏に亡くなった種牡馬の後を引き受ける形の移動だった。2018年5月、産駒のウインテンダネスが目黒記念を勝つ。中央の重賞で、カンパニーの仔が勝った最初の一鞍である。同じ年の12月29日、カンパニーは腹内腫瘍による腎不全で死んだ。十七歳だった。 母のブリリアントベリーは、その後もよく走る仔を産み続けた。ディープインパクトとの仔ヒストリカルが2012年の毎日杯を勝ち、半妹ビバリーヒルズの仔ロデオドライブが2026年のNHKマイルカップを勝っている。カンパニーが去ってからも、この一族は勝ち続けている。 近藤英子は、自分の持っていた牝馬から仔が生まれ、それが育っていくのを見るのは物語を紡いでいくような楽しみだ、と語ったことがある。優良会社になりますように、という名は、たしかに馬主業の収支から出てきた願いだった。けれど彼女が楽しみだと言ったのは、収支のほうではない。 ブリリアントベリーの腹から出て、六年走り、最後の二つを勝って去った馬。京都のスタンドが最後に送った拍手は、八歳になってなお間に合った一頭に向けられていた。何年も待って、それでもまだ待っていた人たちの拍手だった。
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