名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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チュウワウィザードのイメージビジュアル
チュウワウィザードChuwa Wizard
Chuwa Wizard

チュウワウィザード

通算成績26戦11勝

獲得賞金105,219万円

生年月日 2015.04.19(平成27年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
チュウワウィザードの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
2 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 3人気 川田将雅 2:03.3 上り36.6映像
3 GIドバイワールドカップ メイダン ダ2000 3人気 川田将雅 映像
1 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 1人気 川田将雅 2:14.9 上り38.3映像
2 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 3人気 戸崎圭太 1:50.7 上り36.2映像
3 JpnⅠJBCクラシック 金沢 ダ2100 3人気 戸崎圭太 2:13.4 上り35.9映像
6 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 2人気 戸崎圭太 2:04.0 上り38.0映像
2 GIドバイワールドカップ メイダン ダ2000 4人気 戸崎圭太 映像
9 サウジカップ キングアブドゥル ダ1800 5人気 戸崎圭太
1 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 4人気 戸崎圭太 1:49.3 上り36.4映像
3 JpnⅠJBCクラシック 大井 ダ2000 3人気 C.ルメール 2:03.4 上り38.1映像
3 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 3人気 C.ルメール 2:05.9 上り36.5
1 JpnⅠ川崎記念 川崎 ダ2100 1人気 川田将雅 2:14.1 上り39.0
4 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 5人気 福永祐一 1:48.8 上り35.5映像
1 JpnⅠJBCクラシック 浦和 ダ2000 1人気 川田将雅 2:06.1 上り37.0映像
2 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 2人気 川田将雅 2:04.6 上り37.7
1 GIII平安S 京都 ダ1900 1人気 川田将雅 1:58.1 上り36.5映像
1 JpnⅡダイオライト記念 船橋 ダ2400 1人気 川田将雅 2:37.3 上り37.9
2 GII東海テレビ杯東海S 中京 ダ1800 2人気 川田将雅 1:50.1 上り35.8映像
1 JpnⅡ名古屋グランプリ 名古屋 ダ2500 2人気 川田将雅 2:40.7 上り37.4
2 OP師走S 中山 ダ1800 2人気 田辺裕信 1:51.3 上り36.7
1 オークランドRCT 阪神 ダ1800 1人気 川田将雅 1:50.7 上り35.7
1 麒麟山特別 新潟 ダ1800 1人気 戸崎圭太 1:53.7 上り36.9
3 インディアT 中京 ダ1900 1人気 福永祐一 1:57.9 上り36.9
1 3歳以上500万下 阪神 ダ1800 1人気 川田将雅 1:52.0 上り37.5
3 3歳500万下 阪神 ダ1800 2人気 川田将雅 1:53.7 上り38.0
1 3歳新馬 京都 ダ1800 1人気 岩田康誠 1:55.1 上り37.3

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
チュウワウィザードの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キングカメハメハKing KamehamehaKingmamboMr. Prospector
Miesque
マンファスManfathラストタイクーンLast Tycoon
Pilot Bird
チュウワブロッサムデュランダルDurandalサンデーサイレンスSunday Silence
サワヤカプリンセス
オータムブリーズティンバーカントリーTimber Country
セプテンバーソング

引退後・牧場での映像

ゴール板の先の時間
STORY

旅程 — この馬の物語

2015年生まれの青鹿毛の牡馬。父キングカメハメハ、母チュウワブロッサム。主な勝ち鞍はJBCクラシック・チャンピオンズカップ・川崎記念。

魔術師の名 ― 母の厩舎に生まれて

2015年4月19日、北海道安平町のノーザンファーム生まれ。父キングカメハメハ、母チュウワブロッサム。名は馬主・中西忍の冠名に、魔術師を意味する語を重ねたものだった。 母チュウワブロッサムは、父にスプリントとマイルを極めたデュランダルを持つ牝馬である。2007年のセレクトセールで取引され、栗東・大久保龍志厩舎から中央と地方を22戦して4勝を挙げた。つまりこの青鹿毛は、母と同じ勝負服を背負い、母が走った厩舎の馬房に入ってきたことになる。仔が母の轍をなぞる場所から、旅は始まった。 血の周りには、砂の匂いが濃かった。2代母オータムブリーズの娘には、2018年のクイーン賞を勝ったアイアンテーラーがいる。生まれは1歳違い、続柄でいえば叔母にあたる牝馬だ。そして同じオータムブリーズを2代母に持つ同い年の牡馬が、もう一頭いた。ルヴァンスレーヴ――2018年のJRA賞最優秀ダートホースである。いとこが先に、ダートの頂へ登っていた。

川田将雅と、砂を昇る

2018年2月17日、京都のダート1800m。岩田康誠を背にした3歳新馬戦を1番人気で勝ち上がる。翌走から手綱を取ったのが川田将雅だった。初コンビとなった阪神の500万下は3着。すぐに結果が出たわけではない。 6月の阪神で同条件を勝ち上がると、夏の新潟では戸崎圭太を背に麒麟山特別を制し、秋には再び川田とオークランドRCTを完勝した。暮れの中山、師走ステークスは田辺裕信で2着。そして年の瀬、名古屋グランプリ。2500mの長丁場で、グリムとミツバをゴール前で捕まえ、初めて重賞のゴール板を先頭で通過する。 3歳の12月だった。砂の王道へ向かう切符が、一枚手に入った。

浦和、十一月四日

2019年は中京の東海ステークス2着から始まった。3月の船橋・ダイオライト記念はスローの2番手で折り合い、直線で楽に抜け出して2着に4馬身差。5月の京都では平安ステークスを中団後方から差し切り、モズアトラクションとの叩き合いをハナ差で制してJRAの重賞を手にする。6月の帝王賞はオメガパフュームに屈して2着。この年の古馬ダート戦線で、その一頭が壁だった。 11月4日、浦和。JBCクラシックは、その壁との再戦である。先行集団から離れた4番手で脚を溜め、2周目の向こう正面から進出し、最終コーナーで先頭に立つ。並びかけてきたオメガパフュームとの攻防は写真判定に持ち込まれ、首の上げ下げでチュウワウィザードがハナ差先着した。JpnI初制覇。四か月あまり前に自分を退けた相手を、今度はハナ差で退け返したことになる。 同じ日、同じ浦和の砂で、一人の騎手が落馬している。JBCレディスクラシックで戸崎圭太が右肘を開放骨折した。2度の手術とリハビリを経て彼が競馬場に戻るのは、翌年の5月23日である。この日の浦和は、一頭にとって最初の栄光の日であり、一人にとっては最も長い冬の入口だった。

消えたドバイ

2019年12月の中京。チャンピオンズカップは福永祐一が手綱を取って4着に終わった。勝ったのは無敗のクリソベリル、その鞍上に川田将雅がいた。 年が明けて1月29日、川崎記念。12頭立ての大外枠から好スタートを切って先団につけ、最終コーナーを楽な手応えのまま先頭で回る。直線で後続を突き放し、2着に6馬身差をつけた。次はドバイ――陣営はそう青写真を描いていた。 だが2020年の春、新型コロナウイルスの感染拡大で、ドバイの舞台そのものが消えた。行き先を失った一年が始まる。6月の帝王賞はルメールを背に3着、11月のJBCクラシックも同じくルメールで3着。いずれも前を行ったのはクリソベリルだった。そして川田は、その背にいた。かつて条件戦から引き上げた馬を、今度は前から突き放す側にいたことになる。砂の上では、こういうことが起こる。

クリソベリルを競り落とす ― 二〇二〇年十二月六日

中京のダート1800m、4番人気。鞍上に戻ってきたのは戸崎圭太だった。この馬に跨るのは、2018年8月の新潟・麒麟山特別以来、2年3か月ぶりである。浦和で右肘を砕いた男が、浦和で栄冠を掴んだ馬の背にいた。 戸崎はクリソベリルをマークできる位置を取った。4コーナーで追い通しの進出になりながら、直線半ばで並びかけ、競り落とす。前で粘るインティを差し切り、2着ゴールドドリームに2馬身半差。勝ち時計1分49秒3。 JpnIはすでに二つ勝っていたが、JRAのGIは、これが初めてだった。そして落馬から1年1か月、戸崎にとっては復帰後初めてのGIでもあった。レース後、戸崎は自分の腕ではなく馬の力で勝たせてもらったのだと繰り返している。年末のJRA賞では283票中186票を集めて最優秀ダートホースに選出された。いとこのルヴァンスレーヴが2018年に受け取ったのと同じ称号を、2年遅れで、この馬も手にした。

メイダンの砂

2021年2月、サウジカップ。9着。スタートで滑るように出て、道中の進みも良くなかったと戸崎は振り返っている。 3月27日、メイダン。ドバイワールドカップ。好スタートから先団の内に入り、最終コーナーで手応えが怪しくなりながら、直線で最後まで伸びた。優勝したミスティックガイドから3馬身3/4差の2着。日本の砂で積み上げてきたものが世界の砂でも通じることを、6歳の春に証明してみせた。 帰国してからは、勝てなかった。6月の帝王賞は2番人気で6着。11月の金沢・JBCクラシックは3着。12月の中京では前年の覇者としてチャンピオンズカップに戻り、テーオーケインズの2着に食い下がった。勝ち鞍のないまま、一年が過ぎていった。

二年越しの手綱 ― 二〇二二年

2022年2月2日、川崎記念。出馬表の鞍上欄に、川田将雅の名が戻っていた。1番人気。好スタートから他馬に包まれない位置に収まり、道中は折り合うことだけに専念した。最終コーナー手前で流れが速くなっても手応えは変わらず、直線はほとんど追う必要すらなかった。2着エルデュクラージュに4馬身差。7歳での、2年ぶり2度目の川崎記念だった。 レースのあと、川田はこう言った。「2年前はコロナでドバイは中止。また手綱を任せてもらえましたし、頑張ります」[^1]。消えた遠征から2年、同じ川崎の砂の上で、同じ男が同じ馬の手綱を握り直していた。 3月26日、メイダン。ドバイワールドカップは直線で追い上げて3着。勝ったのはカントリーグラマーだった。2年続けて、世界の一線と同じ画面に映り続けたことになる。 6月29日、大井の帝王賞。ドバイ帰りの体で3番人気に支持され、メイショウハリオの2着。これが、この馬の最後の一戦になった。

出典:中日スポーツ「1番人気チュウワウィザードが圧勝 川田将雅「相変わらず元気いっぱい」ドバイ遠征に弾み【川崎記念】」2022年2月2日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/411227 、閲覧日:2026年7月25日。

新冠の丘、二〇二六年の初夏

2022年10月13日、競走馬登録を抹消。秋のJBCクラシックを目指している最中の、突然の引退だった。行き先は北海道新冠町、優駿スタリオンステーション。 26戦11勝。地方の大レースを転戦し、海外へ3度出て、7歳まで一線で走り続けた馬について、大久保龍志はこう振り返っている。「本当にいい馬でした。最後に馬運車で栗東を旅立つ時もすごくかっこよく見えましたよ」[^1]。パフォーマンスが落ちての引退ではない、まだ走れると思っていた、とも師は言った。 ひとつだけ、悔いが残っていた。5歳の春、状態が最も良かったあの年に、ドバイへ行けなかったこと。2着と3着では届かなかった世界の頂を、師は産駒に託した。 そして2026年、初年度産駒がデビューを迎えた。6月18日、川崎の2歳新馬戦。母コスモウィローとの間に生まれたサンバルカンが、4コーナーで馬なりのまま逃げ馬に並びかけ、直線で突き放して9馬身の差をつけた。 新冠の丘で草を食む青鹿毛は、もう走らない。だが、メイダンへ続く道はまだ閉じていない。魔術師の名は、次の代の脚に預けられた。

出典:中日スポーツ「大久保師「楽しみです」引退したチュウワウィザードで果たせなかったドバイ制覇の夢を産駒に託す」2022年10月18日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/565502 、閲覧日:2026年7月25日。

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