名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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チャックネイトのイメージビジュアル
チャックネイトChuck Nate
Chuck Nate

チャックネイト

通算成績25戦5勝

獲得賞金2235万円

生年月日 2018.05.08(平成30年)毛色 鹿毛セン

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
チャックネイトの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GIII函館記念 函館 芝2000 14人気 鮫島克駿 1:58.3 上り35.1映像
8 GII日経賞 中山 芝2500 8人気 大野拓弥 2:31.7 上り36.5映像
13 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 8人気 R.キング 2:12.2 上り35.3映像
7 GIIステイヤーズS 中山 芝3600 4人気 佐々木大輔 3:47.6 上り33.8映像
5 GI宝塚記念 阪神 芝2200 14人気 D.レーン 2:11.8 上り35.8映像
2 GII日経賞 中山 芝2500 5人気 J.モレイラ 2:36.1 上り36.5映像
13 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 8人気 R.キング 2:13.4 上り37.9映像
8 GII札幌記念 札幌 芝2000 8人気 佐々木大輔 2:00.5 上り35.6映像
6 GIII函館記念 函館 芝2000 6人気 佐々木大輔 2:00.1 上り35.5映像
14 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 9人気 鮫島克駿 3:19.0 上り39.4映像
1 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 3人気 R.キング 2:16.6 上り37.6映像
3 GIIアルゼンチン共和国杯 東京 芝2500 2人気 大野拓弥 2:30.1 上り34.7映像
1 六社S 東京 芝2400 3人気 三浦皇成 2:24.0 上り35.2
3 江の島S 東京 芝2000 3人気 三浦皇成 2:00.3 上り33.4
3 早春S 東京 芝2400 2人気 田辺裕信 2:25.5 上り34.1
1 長良川特別 中京 芝2200 7人気 松山弘平 2:12.9 上り34.4
3 札幌日刊スポーツ杯 札幌 芝2600 3人気 C.ルメール 2:44.8 上り38.2
5 箱根特別 東京 芝2400 4人気 横山武史 2:26.2 上り35.1
3 4歳以上2勝クラス 中山 芝2200 2人気 M.デムーロ 2:16.9 上り35.2
1 3歳以上1勝クラス 中京 芝2200 6人気 藤岡康太 2:13.8 上り36.0
4 ルスツ特別 札幌 芝2600 4人気 藤岡佑介 2:41.7 上り38.0
1 3歳未勝利 函館 芝2600 1人気 C.ルメール 2:43.1 上り35.6
3 3歳未勝利 中山 芝2200 1人気 石橋脩 2:15.6 上り35.3
2 3歳未勝利 中山 芝2200 3人気 石橋脩 2:18.9 上り35.4
3 3歳新馬 東京 芝1800 4人気 石橋脩 1:48.2 上り34.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
チャックネイトの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
アイリッシュダンストニービンTony Bin
ビューパーダンスBuper Dance
ゴジップガールGozzip GirlDynaformerRoberto
Andover Way
Temperence GiftKingmambo
Shapiro's Mistress
STORY

旅程 — この馬の物語

2018年生まれの鹿毛のせん馬。父ハーツクライ、母ゴジップガール。主な勝ち鞍はアメリカジョッキーC。

血の名 ― アメリカンオークス馬の子

2018年5月8日、社台ファーム千歳。金子真人ホールディングスの勝負服を継ぐ一頭として、鹿毛の牡馬は生まれた。父はハーツクライ、母はゴジップガール――2009年のアメリカンオークスを制したアメリカ生まれの牝馬である。母の名は英語の「噂話の娘」をわずかに綴り替えたもの。ダービー馬を送る父に、米GIを勝った母の底力。血の格だけを言えば、府中や中山の大舞台で名を呼ばれてもおかしくない配合だった。 やがてこの馬は去勢され、種牡馬としての未来を持たないせん馬となる。馬名は人の名に由来する――チャック、そしてネイト。血ではなく、走った記録だけを競馬に残す身になった。 2021年2月、東京の芝1800m。石橋脩を背にした新馬戦は3着。続く未勝利戦も勝ち切れず、勝ち上がりは4戦目までもつれた。ようやく初勝利を挙げたのは、その年の7月、函館の芝2600m。鞍上はルメールだった。長い距離で、じわりと伸びる。晩成の匂いのする一勝だった。この馬に初めての重賞をもたらす手綱が、まだ海の向こうにいたことを、このときは誰も知らない。

一段ずつ ― オープンまでの道のり

チャックネイトの上がり方は、派手さとは無縁だった。2021年暮れ、中京の1勝クラスを藤岡康太で。明けて2023年、中京の長良川特別を松山弘平で。同年秋には東京の六社ステークスを三浦皇成で抜け出し、ようやくオープンの扉を開く。デビューからの二年余り、手綱はルメール、藤岡佑介、横山武史、田辺裕信と次々に替わった。それでも崩れず、距離が延びるほど味を増した。 初めて重賞に挑んだのは2023年秋、東京のアルゼンチン共和国杯。2番人気に推され、大野拓弥を背に3着。勝ちはしないが、重賞でも足りる――そのことを、上がり34秒7の脚が静かに証明した。堅実な古馬が、一段ずつ、確かに階段を上っていた。

不良のAJCC ― 海を越えた手綱

2024年1月21日、中山の芝2200m。前夜からの雨で馬場は不良に沈み、時計はかかった。手綱を取ったのは、オーストラリアを拠点とする女性騎手レイチェル・キング。短期免許で日本に腰を据えた彼女にとって、チャックネイトはまだJRA重賞を勝たせてくれていない一頭だった。 道中は3番手。直線、外から追い上げたボッケリーニに一度は前へ出られる。決まったかに見えた。だが不良馬場の底で、母から受けた米GIの粘りが顔を出す。ゴール寸前、チャックネイトはもう一度伸びてボッケリーニを差し返した。着差はハナ。2分16秒6、泥の決着だった。 重賞初制覇。そしてこれは、レイチェル・キングにとってJRAで初めての重賞勝ちでもあった。海の向こうから来た手綱が、晩成のせん馬とめぐり合って、ひとつの扉をこじ開ける。「素晴らしいスタミナを見せてくれた」[^1]。キングは、泥まみれの相棒をそう讃えた。

出典:東スポ競馬「【アメリカジョッキークラブカップ結果&コメント】チャックネイトが不良馬場での接戦を制す キング「素晴らしいスタミナを見せてくれた」」2024年1月21日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/41207、閲覧日:2026年7月20日。

頂の先の影 ― GIの舞台で

栄冠のあとには、長い坂が待っていた。2024年春の天皇賞は3200mが長く、14着。夏の函館記念6着、札幌記念8着と、重賞では歯が立たない日が続く。明けて2025年、連覇を狙ったアメリカジョッキークラブカップは13着。頂の一勝が、遠い日のことのように思えた。 それでも、この古豪は終わっていなかった。3月の日経賞ではモレイラを背に2着に粘り、6月の宝塚記念では14番人気の低い評価をものともせず、GIの一線級を相手に5着まで押し上げた。勝ち切る力はもう遠くとも、大舞台で通用する足腰は、まだ確かに残っていた。 そして、チャックネイトが開いた扉は、思わぬ広がり方をする。あの不良のAJCCでJRA初の重賞勝ちを挙げたレイチェル・キングは、翌2025年2月、フェブラリーステークスをコスタノヴァで制し、女性騎手として初めてJRAの平地GIを勝った。日本での快進撃の、その最初の重賞制覇を刻ませた馬――それが、このせん馬だった。

まだ、走っている

8歳になっても、チャックネイトは走っている。2026年、三度目のアメリカジョッキークラブカップにキングとともに戻り、春の日経賞を走り、6月の函館記念にも駒を進めた。かつて泥の中で頂を掴んだ中山へ、この馬は幾度も帰ってきた。勝った日の再現は、まだ訪れていない。 せん馬のこの馬が競馬に残せるのは、血ではなく、走り続けた記録そのものだ。晩成で、堅実で、ひとりの騎手の歴史を動かした一頭。派手な連勝も、GIのタイトルもない。それでも、母から受け継いだ米GIの粘りを泥の底で証明したあの一日は、確かに刻まれている。 25戦を越えてなお、鹿毛のせん馬は次の一戦を待っている。名の由来となった人の名が誰のものであれ、この馬の名は、もう自分自身の走りで意味を持ってしまった。

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