名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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クリソライトのイメージビジュアル
クリソライトChrysolite
Chrysolite

クリソライト

通算成績39戦9勝

獲得賞金(海外含む・概算)約43,913万円

生年月日 2010.02.02(平成22年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
クリソライトの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
11 GI東京大賞典 大井 ダ2000 6人気 戸崎圭太 2:09.3 上り41.9
3 JpnⅡ浦和記念 浦和 ダ2000 3人気 武豊 2:06.5 上り38.1
15 GIJBCクラシック 京都 ダ1900 9人気 武豊 1:59.3 上り38.6
2 GIコリアカップ 韓国 ダ1800 1人気 武豊 1:51.4 映像
2 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 5人気 戸崎圭太 2:04.7 上り37.9
2 GIII平安S 京都 ダ1900 6人気 武豊 1:56.4 上り36.3映像
1 JpnⅡダイオライト記念 船橋 ダ2400 1人気 武豊 2:37.8 上り41.3
2 JpnⅡ浦和記念 浦和 ダ2000 3人気 藤井勘一郎 2:07.7 上り39.6
11 JpnⅠJBCクラシック 川崎 ダ2100 6人気 藤井勘一郎 2:19.4 上り42.5映像
1 GIコリアカップ 韓国 ダ1800 1人気 藤井勘一郎 1:52.3 映像
8 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 6人気 川田将雅 2:08.2 上り40.8
3 GIII平安S 京都 ダ1900 4人気 川田将雅 1:57.0 上り37.6映像
4 GIIIアンタレスS 阪神 ダ1800 4人気 川田将雅 1:50.5 上り37.4映像
1 JpnⅡダイオライト記念 船橋 ダ2400 1人気 武豊 2:36.4 上り38.3
4 JpnⅠJBCクラシック 大井 ダ2000 2人気 川田将雅 2:05.2 上り37.5映像
2 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 2人気 川田将雅 1:50.8 上り38.6
2 JpnⅠ帝王賞 大井 ダ2000 4人気 武豊 2:02.9 上り38.9
4 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 3人気 武豊 1:38.8 上り38.4
1 JpnⅡダイオライト記念 船橋 ダ2400 2人気 武豊 2:33.6 上り39.5
8 GI東京大賞典 大井 ダ2000 5人気 戸崎圭太 2:05.2 上り38.7
14 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 6人気 W.ビュイック 1:52.9 上り38.1映像
2 JpnⅠJBCクラシック 盛岡 ダ2000 1人気 C.ルメール 2:01.3 上り35.7映像
1 JpnⅡ日本テレビ盃 船橋 ダ1800 1人気 戸崎圭太 1:50.1 上り36.9
2 JpnⅢマーキュリーカップ 盛岡 ダ2000 3人気 内田博幸 2:02.0 上り37.8
11 OP大沼S 函館 ダ1700 1人気 三浦皇成 1:45.6 上り37.2
4 OPブリリアントS 東京 ダ2100 3人気 C.ウィリアムズ 2:11.9 上り35.8
7 GIIIアンタレスS 阪神 ダ1800 10人気 A.シュタルケ 1:52.1 上り36.7
14 GIIIマーチS 中山 ダ1800 4人気 A.シュタルケ 1:54.7 上り40.8
15 GIジャパンカップダート 阪神 ダ1800 8人気 内田博幸 1:52.1 上り37.9映像
5 JpnⅠJBCクラシック 金沢 ダ2100 3人気 内田博幸 2:15.7 上り39.2映像
1 JpnⅠジャパンダートダービー 大井 ダ2000 1人気 内田博幸 2:04.8 上り37.4
1 OP昇竜S 京都 ダ1800 1人気 北村友一 1:51.6 上り36.8
1 3歳500万下 阪神 ダ1800 1人気 A.シュタルケ 1:51.2 上り37.1
2 黒竹賞 中山 ダ1800 1人気 松岡正海 1:56.0 上り37.9
2 樅の木賞 阪神 ダ1800 1人気 北村友一 1:52.7 上り37.8
2 もちの木賞 京都 ダ1800 1人気 C.スミヨン 1:52.1 上り37.4
2 プラタナス賞 東京 ダ1600 1人気 松岡正海 1:38.9 上り36.5
1 2歳未勝利 阪神 ダ1800 1人気 北村友一 1:56.1 上り37.4
2 2歳新馬 中京 ダ1400 3人気 北村友一 1:25.1 上り37.0

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
クリソライトの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ゴールドアリュールGold AllureサンデーサイレンスSunday SilenceHalo
Wishing Well
ニキーヤNikiyaNureyev
Reluctant Guest
クリソプレーズエルコンドルパサーEl Condor PasaKingmambo
サドラーズギャルSaddlers Gal
キャサリーンパーCatherine ParrRiverman
Regal Exception
STORY

旅程 — この馬の物語

2010年生まれの鹿毛の牡馬。父ゴールドアリュール、母クリソプレーズ。主な勝ち鞍はジャパンダートダービー・コリアカップ・日本テレビ盃。

緑の石の名を継いで

2010年2月2日、北海道安平町のノーザンファームに一頭の鹿毛が生まれた。母クリソプレーズは緑玉髄を意味する名の牝馬で、栗東・音無秀孝厩舎から23戦して3勝。走ったのは芝ばかりで、ダートには生涯一度も出走していない。重賞への挑戦は3歳秋のローズステークス一度きり、結果は8着だった。 その第2仔に与えられた名は、ペリドットの別名「クリソライト」。母と同じ緑の石の名であり、キャロットファームの緑の勝負服、そして母を預かったのと同じ音無秀孝の厩舎という、母の道をなぞるような出発だった。一口7万5000円を400口、総額3000万円で出資者が募られている。違っていたのは、走る場所だけだった。

四度、一番人気の二着

デビューは2012年7月7日、中京のダート1400m。3番人気で中団から最も速い上がりを繰り出したが、前を捉えきれずに2着。勝ったのは、のちに中山大障害を制するアップトゥデイトだった。 二か月の間を置いて臨んだ阪神の未勝利戦は、2着に5馬身差をつける圧勝。ここから奇妙な季節が始まる。東京のプラタナス賞、京都のもちの木賞、阪神の樅の木賞、年が明けて中山の黒竹賞。四度続けて1番人気に推され、四度続けて2着に敗れた。差はいずれも僅か。入れ替わったのは、勝ち馬の名前だけだった。 三歳の春、阪神の500万下を2着に7馬身差で勝ち、京都の昇竜ステークスも制する。惜敗の連続は終わったが、「勝ち切れない」という言葉は、この馬の六年半に薄く付いて回ることになる。

大井、父が勝った場所

2013年7月10日、大井2000m、ジャパンダートダービー。1番人気に応えたクリソライトは4コーナーで先頭に立ち、そのまま後続を突き放した。2着との差は7馬身。 このレースは、11年前に父ゴールドアリュールが勝っている。同じ競走を父と子で制したのは、ジャパンダートダービーの歴史では初めてのことだった。母が一度も走らなかったダートで、父が勝った舞台を、息子が同じように押し切った。 デビュー戦の2着から数えて、連対はこれで9戦連続。三歳のダート路線に、これ以上ないほど分かりやすい主役が立っていた。

連対が途切れる

夏を休養にあて、秋は古馬の一線級に挑んだ。11月、金沢のJBCクラシックは5着。勝ったのはホッコータルマエで、デビューから続いた連対の記録は9でここに止まった。続く阪神のジャパンカップダートは15着。この秋にトモを痛めていたことが、翌年の不振の説明になる。 四歳になると、JpnIを勝った馬に課される重い斤量が牙を剥いた。中山のマーチステークスは14着。勝ったのは、かつて黒竹賞でこの馬に先着したソロルである。59kgを背負った阪神のアンタレスステークスは、前が壁になりながらも7着。東京のブリリアントステークス4着、1番人気に推された函館の大沼ステークスは11着。一年前に7馬身ちぎった馬が、夏の北海道で置いていかれた。

盛岡の三馬身

潮目が変わったのは盛岡だった。7月のマーキュリーカップ、59kgを背負ってレコード決着の半馬身差2着。そして9月23日、船橋の日本テレビ盃。戸崎圭太が早めに先頭へ押し出す強気の競馬で、7馬身差の圧勝。ジャパンダートダービー以来1年2か月ぶりの勝利であり、重賞2勝目だった。 11月、再び盛岡のJBCクラシック。1番人気に支持され、鞍上はルメール。だが逃げたコパノリッキーがレコードで押し切り、クリソライトは3馬身差の2着に終わる。このとき使った上がり3ハロン35秒7は、39戦のキャリアで最も速い数字である。生涯でいちばん鋭く追い上げた日に、なお届かなかった。 年末は中京のチャンピオンズカップ14着、大井の東京大賞典8着。JRAの大レースは、この馬にとって最後まで遠いままだった。

船橋二四〇〇という居場所

五歳の2015年3月11日、船橋のダイオライト記念で武豊が初めて手綱を取った。ダート2400m、ダートグレード競走でも屈指の長丁場である。2周目の向正面で先頭に立つと、そのまま押し切って重賞3勝目を挙げた。 そこから先の一年は、また勝ちの隣が続く。船橋のかしわ記念4着、大井の帝王賞はホッコータルマエの2着、秋は日本テレビ盃2着、JBCクラシック4着。翌春、六歳の3月に再び船橋へ向かうと、単勝1.3倍の支持に応えてクリノスターオーを退け、連覇を果たす。JRA所属馬としては初の連覇であり、武豊もJRA所属騎手として初、音無秀孝もJRA所属調教師として初だった。 春から夏は阪神のアンタレスステークス4着、京都の平安ステークス3着、大井の帝王賞8着。どこへ行っても壁があったが、船橋の二四〇〇だけは、いつもこの馬のものだった。

ソウル、初代の王

2016年9月11日、ソウル競馬場。この年に新設されたコリアカップに、日本から遠征した。鞍上は藤井勘一郎。奈良県御所市に生まれ、15歳で単身オーストラリアへ渡り、現地の競馬学校を経て騎手になった男で、この時点ではまだ日本の競馬場を主戦場にしていない。 1番人気に応えた勝ち方は、6馬身差の圧勝だった。2着も日本から遠征したクリノスターオー。新設の国際競走は日本馬のワンツーで幕を開け、初代優勝馬の欄にはクリソライトの名が刻まれた。 藤井はこの年の10月から大井で期間限定騎乗を始め、川崎のJBCクラシックと浦和記念でも手綱を取った。JBCは11着、浦和記念はケイティブレイブの2着。海の向こうで一番になった馬は、国内ではまた勝ち馬の一つ後ろに戻っていた。

三度目の三月

2017年3月15日、船橋。単勝1.6倍の一番人気で、クリソライトはダイオライト記念を三度続けて勝った。1956年に始まったこの競走で、同じ馬による3連覇は史上初。武豊は騎手として2人目、音無秀孝は調教師として史上初の3連覇だった。この日は鞍上の誕生日でもある。 七歳になっても、船橋の2400mでだけは負けなかった。だが季節が進むと、また勝者の背中が続く。京都の平安ステークスは上がり36秒3を使って2着、大井の帝王賞はケイティブレイブの2着、連覇を狙って向かったソウルのコリアカップもロンドンタウンの2着。三戦続けて、勝ち馬のすぐ後ろでゴールした。 ソウルから戻ると、左前脚の種子骨靱帯を痛めていることが分かった。七歳の秋がまるごと消え、そのまま一年以上、レースから遠ざかることになる。

海を渡る

復帰は2018年11月4日、京都のJBCクラシック。一年二か月ぶりの実戦で15着に沈んだが、三週間後の浦和記念では八歳の馬が3着に食い込み、まだ走れることを示した。武豊がこの馬に乗った、最後の一戦だった。暮れの東京大賞典は戸崎圭太で11着。オメガパフュームが勝った大井の2000mを最後に、39戦のキャリアは終わった。 2019年1月10日、競走馬登録が抹消される。行き先は韓国だった。かつて自分が初代王者になった国の、京畿道チサンファームで種牡馬となり、のちに生産の盛んな済州島にも渡った。2023年7月1日には、産駒のマイセンターが韓国で初勝利を挙げた。 海を渡ったその年、一族には節目が続いた。6月20日、母クリソプレーズが17歳で世を去る。7月10日、六つ下の全弟クリソベリルが大井のジャパンダートダービーを勝ち、兄弟制覇が成った。六年前に兄が7馬身差で勝ったのと同じ競走を、同じ音無厩舎、同じ緑の勝負服で。半妹マリアライトはエリザベス女王杯と宝塚記念を勝ち、半弟リアファルは神戸新聞杯を勝っている。条件戦を3勝しただけの母は、GI級を勝つ子を三頭送り出して逝った。 39戦9勝、そして13度の2着。勝った回数より、勝ち馬のすぐ後ろでゴールした回数のほうが多い馬だった。それは裏を返せば、六年半にわたって勝負の最前列に立ち続けたということでもある。母を預かった調教師はその子を預かり、さらに弟を預かって、2025年に定年で厩舎を閉じた。ダイオライト記念を三年続けて勝った馬は、いまのところこの馬だけである。春先の船橋の記録欄には、三年分、同じ名前が並んでいる。

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