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クリソベリル
通算成績11戦8勝
獲得賞金3億7,960万円
生年月日 2016.02.10(平成28年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6 | JpnⅡ日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:54.3 | 上り40.4 | — | |
| 4 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:49.9 | 上り37.3 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 1人気 | 川田将雅 | 2:02.5 | 上り36.8 | 映像 | |
| 1 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 2人気 | 川田将雅 | 2:05.3 | 上り36.2 | — | |
| 6 | サウジカップ | キングアブドゥル ダ1800 | 4人気 | C.スミヨン | — | — | ||
| 1 | GIチャンピオンズカップ | 中京 ダ1800 | 2人気 | 川田将雅 | 1:48.5 | 上り35.4 | 映像 | |
| 1 | JpnⅡ日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:52.1 | 上り36.9 | — | |
| 1 | JpnⅠジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 1人気 | 川田将雅 | 2:06.1 | 上り37.4 | — | |
| 1 | JpnⅡ兵庫チャンピオンシップ | 園田 ダ1870 | 1人気 | C.ルメール | 1:57.3 | 上り36.6 | — | |
| 1 | 3歳500万下 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:52.2 | 上り37.0 | — | |
| 1 | 2歳新馬 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 川田将雅 | 1:55.3 | 上り38.0 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ゴールドアリュールGold Allure | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ニキーヤNikiya | Nureyev | |
| Reluctant Guest | ||
| 母クリソプレーズ | エルコンドルパサーEl Condor Pasa | Kingmambo |
| サドラーズギャルSaddlers Gal | ||
| キャサリーンパーCatherine Parr | Riverman | |
| Regal Exception |
旅程 — この馬の物語
2016年生まれの鹿毛の牡馬。父ゴールドアリュール、母クリソプレーズ。主な勝ち鞍はジャパンダートダービー・チャンピオンズカップ・帝王賞。
宝石の名を継ぐ ― 母と兄たち
2016年2月10日、北海道安平町のノーザンファームに一頭の鹿毛の牡馬が生まれた。名は金緑石を意味するクリソベリル。母の名が玉髄の一種であるクリソプレーズだったことからの連想で、親子に宝石の名が並んだ。 その母が送り出した仔たちの名簿は、すでに賑やかだった。全兄クリソライトはジャパンダートダービーを勝ち、半姉マリアライトはエリザベス女王杯と宝塚記念を制し、半兄リアファルは神戸新聞杯を勝っている。母の全弟にあたるアロンダイトは、3歳でジャパンカップダートを奪った砂の強者だった。芝の大レースもダートの頂点も、この一族はすでに知っていた。 キャロットクラブが総額5600万円で募集し、育成はノーザンファーム空港牧場のB2厩舎。全兄クリソライトや半兄リアファルが同じ厩舎で育っている。全兄クリソライトより体が柔らかく、芝でも走れるのではないかと見られていた。気性は落ち着き、調教で折り合いを欠くこともなかった。入った厩舎も兄と同じ、栗東の音無秀孝である。 ただ、父はもういなかった。ゴールドアリュールは2017年2月18日、心臓疾患のため18歳で世を去っている。この鹿毛が1歳になった、わずか八日後のことだった。父は、この息子が走るところを見ていない。
七馬身、そして五か月
2018年9月17日、阪神のダート1800m。デビュー戦の鞍上は川田将雅だった。スタートで後手を踏みながら道中は好位を進み、4コーナーで先頭に立つと、そのまま2着ハギノオムイデアルに7馬身の差をつけて突き抜けた。 ところが、その後に飛節を痛める。実戦から遠ざかること5か月余り。明けて3歳の3月2日、阪神の500万下で戻ってきた馬は、中団のやや後ろから直線で後続を突き放し、またしても7馬身差で勝った。半年近い空白は、この馬から何も奪っていなかった。 この日から、川田は11戦のうち9度この背に跨ることになる。
園田の代打 ― ルメールの見立て
5月2日、園田。兵庫チャンピオンシップ。主戦の川田が騎乗停止となり、初めて手綱を取ったのはルメールだった。 544キロの大型馬にとって、小回りの地方コースは狭かったはずだ。だがゲートを速く出て3番手を追走し、3コーナー過ぎには無理なく先頭に立つ。いったん迫ったヴァイトブリックをラスト100mで突き放し、5馬身差で重賞初制覇を果たした。デビューからの2戦でスタートを気に掛けていた音無の心配は、杞憂に終わった。 レース後、初めて跨った名手は短くこう評した。「ダートで大きなレースを勝てる馬」[^1]。その見立ては、同じ年の暮れに現実になる。
出典:デイリースポーツ「【地方競馬】ルメールが絶賛!クリソベリルが無傷の3連勝で重賞初制覇」2019年5月3日配信、https://www.daily.co.jp/horse/local/2019/05/03/0012295541.shtml 、閲覧日:2026年7月25日。
兄と同じ盃
7月10日、大井。ジャパンダートダービー。単勝1.2倍の圧倒的な支持を集め、川田とのコンビが戻った。中団から進み、直線で外に持ち出すと、先行していたデルマルーヴルを並ぶ間もなく交わし去る。 6年前、同じ大井の同じレースを勝っていたのが全兄クリソライトである。父も母も同じ兄弟が、世代のダート王の座を分け合った。 新馬から数えて4連勝。着差は7馬身、7馬身、5馬身、3馬身、合わせて22馬身。3歳の夏、この馬は同世代に競う相手を失っていた。
中京、三頭の叩き合い
秋は船橋の日本テレビ盃から始まった。ノンコノユメやアポロケンタッキーといった7歳のGI馬を相手に、逃げるロンドンタウンを直線半ばで楽に交わして完勝。古馬との初対戦は、関門にすらならなかった。陣営はJBCクラシックを見送り、暮れのチャンピオンズカップへ直行する。 12月1日、中京。GI・JpnIの勝ち馬6頭が顔を揃えた一戦で、クリソベリルはゴールドドリームに次ぐ2番人気。デビュー以来はじめて1番人気を譲った。 馬番4から武豊のインティが逃げ、隣の5番から出たクリソベリルは差のない3番手の内につけた。直線、インティが完全に抜け出す。後ろの自分は置かれ気味になり、前は塞がりかけていた。それでも川田は追うのをやめなかった。「インティが止まることはありませんから」[^1]。前走のみやこステークスでその逃げ馬に自ら跨り、能力を知っていたからこその判断だった。 外のロンドンタウンが下がり、右前方に隙間が開く。川田は右ステッキを入れたまま、手綱の操作と重心の移動だけで馬を外へ運んだ。そこへ外からゴールドドリームが凄まじい脚で伸びてくる。内に武豊、真ん中に川田、外にルメール。3頭が併せ馬のような形で叩き合い、先頭でゴール板を過ぎたのはクリソベリルだった。ゴールドドリームとの差はクビ。勝ち時計1分48秒5は、従来の記録を1秒6も更新するレースレコードである。 デビューから6戦6勝でのGI制覇だった。6戦無敗で古馬混合のGIを勝ったのは2002年のファインモーション以来2頭目、無敗でJRAのダートGIを制したのは史上初。前身のジャパンカップダートを含めてこのレースを3歳で勝ったのは歴代5頭で、そのうちの一頭が母の全弟アロンダイトである。血は、同じ舞台に二度戻ってきた。 年が明けたJRA賞の投票では、有効274票のうち270票がこの3歳馬の名を書いた。最優秀ダートホース。
出典:Number Web「クリソベリルが無傷の6連勝で戴冠。チャンピオンズカップ直線の大迫力。」2019年12月2日配信、https://number.bunshun.jp/articles/-/841662 、閲覧日:2026年7月25日。
砂漠へ、そして帰還
4歳の初戦に選んだのは、この年に創設されたばかりのサウジカップだった。総額21億円、世界最高賞金のレースである。鞍上にスミヨンを迎えてキングアブドゥルアジーズ競馬場のゲートに入ったが、中団の後ろから追い上げても世界の一線との差は詰まらず、7着に終わった(この一戦は後年、1位入線馬の失格によって着順が繰り上がり、記録上は6着となっている)。デビュー以来の連勝は6で止まった。 続いて招かれたドバイワールドカップは、現地に着いた後で開催中止が決まる。感染症の世界的な拡大が、遠征を走らせないまま終わらせた。 帰国初戦は6月24日、大井の帝王賞。連覇を狙うオメガパフュームに次ぐ2番人気で、道中は好位の3番手。直線で早めに先頭へ立つと、そのまま2馬身差で押し切った。海外帰りの体で、国内の連勝は7に伸びた。
国内八戦八勝、その先で止まった時計
11月3日、大井のJBCクラシック。単勝1.3倍。先行する2頭を見ながら3番手を進み、直線では楽な手応えのまま前を交わして、2着オメガパフュームに2馬身半をつけた。国内8戦8勝。川田はこのレースを連覇している。この年の地方ダートグレード競走での戦いぶりには、NARグランプリのダートグレード競走特別賞が贈られた。 12月6日、中京のチャンピオンズカップ。単勝1.4倍。連覇と国内9連勝が懸かった一戦で、直線は伸びを欠き、勝ったチュウワウィザードから0秒6差の4着に終わる。国内では初めての敗戦だった。 レースの後、右後肢繋ぎの輪状靭帯を傷めていることが判明する。年が明けて2月2日に手術。だが2月19日、術後に感染性の腱鞘炎を起こして再手術となり、復帰までに10か月近くを要した。 2021年9月29日、船橋の日本テレビ盃。長い休養明けにもかかわらず単勝1.5倍の支持を集めたが、道中は掛かり気味に進み、直線で失速。逃げ切ったサルサディオーネから0秒8差の6着だった。放牧先のノーザンファームしがらきで受けた内視鏡検査で、ステージ4の喘鳴症と診断される。完全に回復する見通しは立たなかった。10月13日、競走馬登録抹消。5歳の秋である。
安平へ帰る
2022年、クリソベリルは社台スタリオンステーションで種牡馬となった。生まれたノーザンファームと同じ、勇払郡安平町である。旅は、出発した町に戻ってきた。 初年度の種付料は300万円。現役の種牡馬のまま世を去った父ゴールドアリュールの後を継ぐ役目を、この馬は最初から背負っていた。 初年度産駒がデビューしたのは2025年。8月10日、札幌のダート1700mでチャーリーが勝ち、父に最初のJRA勝利をもたらす。その世代からはこれまでに106頭が実戦に出て、52頭が勝ち上がった(2026年7月時点)。重賞の大輪は、これから咲く。 11戦8勝。敗れたのは三度だけである。砂漠での初めての遠征、故障が後から判明した師走の一戦、そして喉を病んでいた復帰戦。国内では10戦8勝、そのうち8連勝。無敗のままJRAのダートGIを制した最初の馬でありながら、その頂に立つ姿を長くは見せずに去った。 安平の放牧地に、宝石の名を持つ鹿毛が立っている。母から兄へ、兄から弟へと渡ってきた血は、いま父の側から流れ出している。次にこの名を継ぐのは、まだ名前を持たない一頭かもしれない。
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