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カルストンライトオ
通算成績36戦9勝
獲得賞金4億2,204万円
生年月日 1998.05.03(平成10年)毛色 黒鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 8人気 | 大西直宏 | 1:08.0 | 上り35.1 | 映像 | |
| 4 | GIIIアイビスサマーD | 新潟 芝1000 | 1人気 | 大西直宏 | 0:54.5 | 上り32.7 | — | |
| 4 | GI高松宮記念 | 中京 芝1200 | 3人気 | 大西直宏 | 1:08.9 | 上り35.6 | 映像 | |
| 2 | GIII阪急杯 | 阪神 芝1200 | 3人気 | 大西直宏 | 1:08.5 | 上り34.8 | — | |
| 14 | GI香港スプリント | 香港 芝1000 | 大西直宏 | 1:00.1 | — | 映像 | ||
| 1 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 5人気 | 大西直宏 | 1:09.9 | 上り36.3 | 映像 | |
| 1 | GIIIアイビスサマーD | 新潟 芝1000 | 1人気 | 大西直宏 | 0:53.9 | 上り31.9 | — | |
| 3 | GIII函館スプリントS | 函館 芝1200 | 5人気 | 芹沢純一 | 1:09.7 | 上り36.0 | — | |
| 2 | OPバーデンバーデンC | 福島 芝1200 | 5人気 | 大西直宏 | 1:07.3 | 上り35.2 | — | |
| 10 | GIICBC賞 | 中京 芝1200 | 5人気 | 小池隆生 | 1:09.5 | 上り36.7 | — | |
| 1 | OPアンドロメダS | 京都 芝1200 | 5人気 | 小池隆生 | 1:10.3 | 上り35.6 | — | |
| 5 | OP福島民友カップ | 福島 芝1200 | 3人気 | 大西直宏 | 1:07.6 | 上り34.8 | — | |
| 13 | GIスプリンターズS | 中山 芝1200 | 11人気 | 村田一誠 | 1:09.6 | 上り36.1 | 映像 | |
| 12 | GIIIセントウルS | 阪神 芝1200 | 7人気 | 武幸四郎 | 1:09.4 | 上り36.0 | — | |
| 13 | GII毎日放送賞スワンS | 京都 芝1400 | 11人気 | 熊沢重文 | 1:21.9 | 上り36.1 | — | |
| 3 | OP福島民報杯 | 福島 芝1200 | 1人気 | 大西直宏 | 1:08.3 | 上り35.4 | — | |
| 3 | GIIIセントウルS | 阪神 芝1200 | 2人気 | 大西直宏 | 1:07.8 | 上り34.7 | 映像 | |
| 1 | GIIIアイビスサマーD | 新潟 芝1000 | 2人気 | 大西直宏 | 0:53.7 | 上り31.9 | — | |
| 3 | OP小倉日経OP | 小倉 芝1200 | 1人気 | 熊沢重文 | 1:08.3 | 上り35.0 | — | |
| 7 | OPNSTOP | 新潟 芝1400 | 5人気 | 大西直宏 | 1:19.6 | 上り35.5 | — | |
| 1 | TUF杯 | 福島 芝1200 | 1人気 | 大西直宏 | 1:08.4 | 上り35.4 | — | |
| 13 | OPテレビ愛知OP | 中京 芝1200 | 10人気 | 武幸四郎 | 1:09.9 | 上り35.4 | — | |
| 9 | GIICBC賞 | 中京 芝1200 | 2人気 | 河内洋 | 1:10.2 | 上り36.8 | — | |
| 6 | OPアンドロメダS | 京都 芝1200 | 1人気 | 河内洋 | 1:08.4 | 上り34.9 | — | |
| 2 | OP福島民友カップ | 福島 芝1200 | 1人気 | 芹沢純一 | 1:08.5 | 上り35.7 | — | |
| 3 | GIIIセントウルS | 阪神 芝1200 | 1人気 | 熊沢重文 | 1:08.2 | 上り34.4 | — | |
| 3 | GIIIアイビスサマーD | 新潟 芝1000 | 1人気 | 熊沢重文 | 0:54.2 | 上り32.2 | — | |
| 1 | OP北九州短距離S | 小倉 芝1200 | 3人気 | 熊沢重文 | 1:07.9 | 上り34.9 | — | |
| 4 | OP菩提樹S | 阪神 芝1600 | 5人気 | 熊沢重文 | 1:34.5 | 上り35.6 | — | |
| 3 | GIII中スポ賞ファルコンS | 中京 芝1200 | 1人気 | 熊沢重文 | 1:09.1 | 上り35.8 | — | |
| 1 | OP葵S | 京都 芝1200 | 1人気 | 熊沢重文 | 1:07.4 | 上り34.2 | — | |
| 2 | OPマーガレットS | 阪神 芝1400 | 5人気 | 熊沢重文 | 1:21.2 | 上り35.1 | — | |
| 10 | OPバイオレットS | 京都 ダ1400 | 1人気 | 熊沢重文 | 1:26.4 | 上り38.1 | — | |
| 10 | GI朝日杯3歳S | 中山 芝1600 | 8人気 | 小池隆生 | 1:35.7 | 上り37.3 | 映像 | |
| 1 | かえで賞 | 京都 芝1200 | 2人気 | 熊沢重文 | 1:08.9 | 上り35.0 | — | |
| 1 | 3歳新馬 | 京都 芝1200 | 3人気 | 小池隆生 | 1:09.5 | 上り35.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ウォーニングWarning | Known Fact | In Reality |
| Tamerett | ||
| Slightly Dangerous | Roberto | |
| Where You Lead | ||
| 母オオシマルチア | クリスタルグリッターズCrystal Glitters | Blushing Groom |
| Tales to Tell | ||
| オオシマスズラン | カウアイキング | |
| ネバージョオー |
旅程 — この馬の物語
1998年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ウォーニング、母オオシマルチア。主な勝ち鞍はスプリンターズS・アイビスサマーD。
軽い石
1998年5月3日、北海道浦河町の大島牧場で黒鹿毛の牡馬が生まれた。父はウォーニング、母はオオシマルチア。母の父にクリスタルグリッターズ。牧場の名を負った「オオシマ」の牝系である。母の半姉オオシマダリアの孫には、のちに根岸ステークスを勝つメイショウマシュウがいる。 この一頭を見つけてきたのは、栗東の大根田裕也という調教師だった。馬主の清水貞光が生まれて初めて馬を預けたのが、この厩舎である。裕也には数年後に定年が控えていた。清水は裕也に、好きな馬を選んでくれと申し出た。そうして選ばれたのが、大島牧場のこの黒鹿毛だった。清水は1999年のサマーセールでこれを買っている。 名前は三つの言葉でできている。カルストンは清水の冠名で、本業で扱う軽石——「軽」い「ストーン」から来ている。ライトは清水自身の名、貞光の「光」。最後のオは「王」である。ただし馬名には字数の決まりがあって、「オー」と伸ばす余地がなかった。棒を一本削って、カルストンライトオになった。 軽石は、石でありながら水に浮く。 2000年11月5日、京都の芝1200メートル、新馬戦。小池隆生が乗って3番人気。4馬身差で勝った。3週間後のかえで賞は熊沢重文に替わり、今度は6馬身差である。 12月10日、中山の朝日杯3歳ステークス。芝1600メートル。外枠から楽に先手は取ったが、直線の坂の下で後ろに飲み込まれ、10着に終わった。距離の答えは、最初の年のうちに出ていた。
一番人気の三着
年が明けて最初の一戦は、京都のダート1400メートルだった。1番人気で10着。砂は向かなかった。 芝に戻すと形になる。4月のマーガレットステークスは1400メートルで2着。5月の葵ステークスは1200メートルに戻り、単勝2.0倍に応えて逃げ切った。7月の北九州短距離ステークスも、同じように前へ行って押し切っている。 足りないのは、重賞になってからの一押しだった。6月のファルコンステークスは1番人気で3着。8月、新潟に新設された直線1000メートルの重賞アイビスサマーダッシュも1番人気で3着。9月のセントウルステークスも1番人気で3着。三度支持されて、三度とも3着で終わった。10月の福島民友カップは1番人気の2着、11月のアンドロメダステークスは1番人気の6着。オープン特別なら勝てて、重賞になると足りない。速いが、それだけの馬。そう見られても仕方のない一年だった。 12月のCBC賞で9着に敗れると、そのまま休みに入る。 その冬に、厩舎が変わった。2002年2月28日、大根田裕也が定年で調教師を退いたのである。管理はそのまま息子の大根田裕之へ移った。裕之が自分の厩舎を開いたのは1999年3月で、まだGIには手が届いていない。父が選んだ馬を、息子が預かることになった。
九秒六
新潟競馬場に芝の直線1000メートルができたのは、2001年の夏である。改装された競馬場の初日、日本で初めてその直線を使ったレースを勝ったのは、大西直宏だった。美浦の騎手で、1997年にサニーブライアンで皐月賞と東京優駿を続けて逃げ切った男である。 カルストンライトオと大西が組んだのは、翌2002年6月29日の福島だった。半年の休養明け2戦目、条件戦まで下りた一鞍を、力の差だけで勝っている。 8月18日、新潟。アイビスサマーダッシュ。前の年に3着だったレースへ、今度は2番人気で戻ってきた。枠は8枠12番。この直線コースでは、外の柵に近い枠ほど有利とされる。 スタートしてからの200メートルは12秒0。どうということのない数字である。大西が軽く気合をつけると、次の200メートルが9秒8になった。3ハロン目も10秒2。後ろとの差は、そこでもう開いていた。 残り400メートル。ここから、この馬はもう一段速くなる。その200メートルに要した時間は9秒6だった。時速に直せば75キロに近い。日本の競馬でそれまでに刻まれた1ハロンに、これより速いものはない。 最後の200メートルは12秒1かかった。それでも時計は53秒7。前の年の勝ち馬メジロダーリングを0秒2縮めた、日本レコードである。 韋駄天。現役のころ、この馬はそう呼ばれた。
速いだけの馬
勢いは続かなかった。9月のセントウルステークスは3着。10月の福島民報杯も3着。1400メートルのスワンステークスは13着で、この距離では走らないという答えがまた出た。 そこから11か月、レースから遠ざかる。脚部不安が伝えられた。 2003年9月に戻ってきたセントウルステークスは12着。10月のスプリンターズステークスは11番人気の13着で、勝ったのは最後方から差してきたデュランダルである。前へ行って沈んだ側に、この馬はいた。 夏のアイビスサマーダッシュには出られなかった。コズミ——筋肉のこわばりが出て、回避している。連覇の機会は、走らないまま流れた。 1年3か月ぶりの勝ち星は11月30日、京都のアンドロメダステークスだった。雨で不良になった馬場である。この年に勝ったのは、その一つきりだった。 翌2004年6月、福島で復帰して2着。7月の函館スプリントステークスは3着。脚は、まず戻っていた。
雨の中山
8月、二年ぶりにアイビスサマーダッシュへ戻った。内寄りの枠から出るとすぐ外の柵まで馬を寄せ、二年前をなぞるように逃げ切っている。 そして10月3日、中山。 雨が降っていた。芝は不良。水を含んで、蹄の沈む馬場である。 ゲートが開くと、いつもどおりこの馬が前に出た。もう一頭、ナムラビッグタイムが同じところまで上がってくる。 前半の600メートルが33秒6。この芝で出していい数字ではない。追いかける側は、それでいいと思ったはずである。重い馬場をこの速さで飛ばした逃げ馬は、坂の手前で止まる。ふつうはそう読む。 三つ目の角では、二頭が並んでいた。 四つ目の角を回ったとき、隣が消えていた。 沈んだのは、追いかけた側だった。坂を下るあたりで、後ろとの差は五つ、六つに広がっている。 直線。中山の坂を上がる。この日、最後の200メートルには13秒0かかった。数字の上では、全部の馬が止まっている。止まりながら、一頭だけが前にいた。 差は4馬身。後方から追い上げたデュランダルが二番手まで来たときには、ゴール板はもう後ろにあった。
三十年ぶんの一勝
この一勝で、いくつもの初めてが同時に届いた。 清水貞光が馬主の資格を取ったのは1974年、三十歳のときである。1983年にカルストンテスコで重賞を勝ち、1985年にカルストンイーデン、1987年にカルストンファストで京都大障害を勝った。障害の強い馬を何頭も持ちながら、GIだけが三十年間なかった。 大根田裕之には、開業から六年目で初めてのGIだった。父の裕也が定年を前に選び、息子が仕上げた馬である。 大西直宏には、七年ぶりのJRAのGIだった。1997年にサニーブライアンで皐月賞と東京優駿を逃げ切ったあと、その相棒は左前脚を骨折し、ダービーを最後に引退している。以来、中央のGIには手が届いていない。逃げてタイトルを獲る騎手と見られながら、もともとは差しと追い込みを得意にする乗り手である。逃げていると、いつ捕まるかと気が気ではない、心臓に悪い——ダービーを勝ったあとの雑誌の取材に、そう答えている。 もうひとつ。その年の春、中京の高松宮記念を勝ったサニングデールも、父はウォーニングだった。イギリスのマイラーで、産駒が走りはじめた2000年に心不全で死んでいる。十五歳だった。父を亡くした二頭が、2004年の春と秋、短距離のGIを分け合ったことになる。 12月、香港へ渡った。シャティンの芝1000メートル。相手は連勝を重ねていたサイレントウィットネスで、14着に終わっている。
最後の百メートル
2005年は斤量との戦いになった。2月の阪急杯は59キロを背負って2着。3月の高松宮記念は4着。8月のアイビスサマーダッシュも59キロで、いちばん内の枠に入り、単勝1.8倍の1番人気で4着だった。 10月2日、中山。前の年と同じレースである。晴れて、馬場は良。7歳になっていた。 最初の200メートルが12秒1、次が10秒1、その次が10秒7。前半600メートルは32秒9で、前の年より0秒7速い。それでも三つ目の角でも四つ目の角でも、先頭にいたのはこの馬だった。四角では、二番手のギャラントアローとのあいだにはっきりした間隔がある。 直線で、いったんは抜け出している。残り100メートル、外からサイレントウィットネスが並びかけてきた。前の年の暮れ、香港で置き去りにされた相手である。 10着。ただし1着から10着までが、0秒7のあいだに収まっていた。 これが最後の一戦になった。11月2日、競走馬登録を抹消。
二十四年
2006年から静内のレックススタッドで種牡馬になり、2010年に安平の橋本牧場へ移った。重賞を勝った産駒は3頭。ヒメカイドウ、ブレイヴコール、トゥリパで、三頭とも母はシーフェアリー、同じ父と母から生まれたきょうだいである。2024年2月7日、繋養先の日西牧場で老衰のため死んだ。26歳だった。 同じ年の9月29日、清水貞光が80歳で亡くなっている。息子の久詞は栗東の調教師で、キタサンブラックを管理してGIを七つ勝った。父が軽石の冠名で三十年かけて一つに届き、息子は同じ栗東で、一頭の馬に七つを勝たせたことになる。大西直宏のほうは2006年の暮れに騎手を退き、教える側へ回った。2012年には美浦の郊外に育成牧場を立ち上げている。 新潟の53秒7には、長いあいだ誰も届かなかった。2025年にピューロマジックが同じ時計で並び、2026年8月2日、その同じ馬が53秒5で走って、ようやく数字が動いた。あいだに、二十四年ぶんの夏が挟まっている。 破られたのは時計である。2004年10月3日、水を吸って重くなった中山の芝で、追いかけた馬がみな沈んでいったあの日、先頭の一頭だけが沈まなかった。軽石の名を持つ馬だった。
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