名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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ビザンチンドリームのイメージビジュアル
ビザンチンドリームByzantine Dream
Byzantine Dream

ビザンチンドリーム

通算成績13戦4勝

獲得賞金45,944万円

生年月日 2021.01.28(令和3年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ビザンチンドリームの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
15 GI宝塚記念 阪神 芝2200 7人気 西村淳也 2:15.1 上り37.1映像
7 GIIアミールT カタール 芝2400 C.デムーロ 映像
5 GI凱旋門賞 パリロンシャン 芝2400 4人気 O.マーフィー 映像
1 GIIフォワ賞 パリロンシャン 芝2400 6人気 O.マーフィー 2:28.3 映像
2 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 6人気 A.シュタルケ 3:14.0 上り34.9映像
1 GIIレッドシーターフH キングアブドゥル 芝3000 7人気 マーフィ 3:06.6 映像
6 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 5人気 A.ルメートル 2:12.8 上り36.5映像
5 GI菊花賞 京都 芝3000 9人気 A.シュタルケ 3:04.6 上り35.4映像
6 GII神戸新聞杯 中京 芝2200 9人気 幸英明 2:12.9 上り35.4映像
17 GI東京優駿 東京 芝2400 10人気 西村淳也 2:25.8 上り33.7映像
13 GI皐月賞 中山 芝2000 8人気 B.ムルザバエフ 1:58.5 上り34.7映像
1 GIIIきさらぎ賞 京都 芝1800 1人気 R.ピーヒュレク 1:46.8 上り33.7映像
1 2歳新馬 阪神 芝2000 2人気 B.ムルザバエフ 2:01.4 上り33.9

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ビザンチンドリームの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
エピファネイアEpiphaneiaシンボリクリスエスSymboli Kris SKris S.
Tee Kay
シーザリオCesarioスペシャルウィークSpecial Week
キロフプリミエールKirov Premiere
ジャポニカーラジャングルポケットJungle PocketトニービンTony Bin
ダンスチャーマーDance Charmer
グリッターカーラフレンチデピュティFrench Deputy
フサイチエアデール
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの栗毛の牡馬。父エピファネイア、母ジャポニカーラ。主な勝ち鞍はきさらぎ賞・レッドシーターフH・フォワ賞。

名と血 ― 東と西を繋ぐ夢

ビザンチン帝国。東ローマの版図は、コンスタンティノープルという一つの都で東と西を結び、千年ものあいだ大陸の架け橋であり続けた。その帝国の名に「夢」を添えて、一頭の栗毛は名づけられた。ビザンチンドリーム――のちにこの馬がサウジアラビア、フランス、カタールへと蹄跡を伸ばしていくことを思えば、名はほとんど予言だった。 2021年1月28日、ノーザンファーム生まれ。父は菊花賞とジャパンカップを制したエピファネイア、母はジャポニカーラ。牝系をたどると芯は太い。3代母フサイチエアデールはシンザン記念など重賞を4勝し、桜花賞とエリザベス女王杯で2着に泣いた実力派。その産駒で祖母グリッターカーラの半兄にあたるフサイチリシャールは、朝日杯フューチュリティステークスを勝った2歳GI馬だった。馬主は吉田和美、預かるのは栗東の坂口智康。まだ重賞に手の届いていない若い厩舎に、この血は託された。

きさらぎ賞 ― 夢の出発点

2023年12月、阪神・芝2000mの新馬戦を、ムルザバエフを背に勝ち上がる。続く一戦も連勝で飾り、明けて2024年2月、単勝1番人気に推されてきさらぎ賞へ向かった。京都の直線、逃げ粘る馬、内を突く馬、そして外から伸びるビザンチンドリーム――三頭が横並びのまま叩き合い、ハナ差、前に出たのはこの栗毛だった。手綱をとったピーヒュレクにとって価値ある重賞勝ちであり、坂口智康にとってはJRA平地重賞の初制覇。まだ何者でもない若駒と若い厩舎が、同じ日にひとつ扉を開けた。夢という名にふさわしい、まぶしい出発点だった。

閉ざされた扉 ― クラシックの季節

だが三冠への扉は、なかなか開かなかった。皐月賞は出遅れと直線の不利が重なって13着。西村淳也と新たに手を組んだ東京優駿では17着に敗れる。それでも、その日に刻んだ上がりは全体でも屈指の33秒7だった。走れないのではない、どこかで噛み合わないのだ――そう思わせる数字だけが残った。秋は神戸新聞杯6着、菊花賞5着。世代の頂点を争う舞台で、きさらぎ賞のまぶしさはいつしか遠のいていた。国内のクラシック戦線に、この馬の居場所はついに見つからなかった。

海を渡る ― 才能の在り処

転機は、地図を広げることでやってきた。2025年、坂口厩舎はこの馬の鼻先を海の向こうへ向ける。アメリカジョッキークラブカップで年を明けると、2月、砂漠の国サウジアラビアへ。マーフィーを背にしたレッドシーターフハンデキャップ、芝3000mを完勝し、重賞2勝目を異国の地で手にした。長い距離、広い舞台で、この馬は水を得たように伸びた。名の予言が、静かに動き出していた。 帰国して臨んだ5月の天皇賞(春)。シュタルケのビザンチンドリームは京都の3200mでヘデントールと馬体を併せ、最後の最後、アタマ差だけ届かなかった。相手にGI初制覇を許した2着。それでも、国内で最も高い頂に、この馬はこの日いちばん近づいていた。

凱旋門賞 ― 日本の先頭で

秋、舞台はパリへ移る。9月のフォワ賞、マーフィーとのコンビで好敵手ソジーとの競り合いを制して1着。ソジーはこの一か月後、凱旋門賞で3着に入る一線級だった。前哨戦を勝ち切ったビザンチンドリームは、本番の前売りで3番人気に推される。 10月5日、パリロンシャンの凱旋門賞。4番人気で発走し、勝ち馬ダリズには届かなかったものの、5着でゴールを駆け抜けた――出走した日本馬の、先頭だった。より高く評価されていた同胞が後方に沈むなか、国内のクラシックで着順を落とし続けたあの馬が、世界の大舞台で日本のいちばん前にいた。閉ざされていた扉は、海の外で開いていた。

旅は続く

凱旋門賞のあと、左前のフレグモーネで暮れの有馬記念を回避する。明けて2026年、旅はなお続いた。2月、カタールのアミールトロフィーで7着。6月、阪神の宝塚記念は15着。世界を巡った脚が、いまは一度、ゆっくりと息を整えている。 ビザンチン――東と西を結んだ帝国の名を負って、この馬はほんとうに大陸を越えていった。サウジの砂漠、パリの森、カタールの光。成績表に並ぶ地名の一つひとつが、あの名の意味を裏書きしている。旅の途中で足を休めることはあっても、地図はまだ閉じていない。この栗毛の旅は、まだ終わっていない。

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