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ブエナビスタ
通算成績23戦9勝
獲得賞金(海外含む・概算)約14億9,573万円
生年月日 2006.03.14(平成18年)毛色 黒鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 2人気 | 岩田康誠 | 2:36.5 | 上り34.1 | 映像 | |
| 1 | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 2人気 | 岩田康誠 | 2:24.2 | 上り33.9 | 映像 | |
| 4 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:56.4 | 上り34.7 | 映像 | |
| 2 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 1人気 | 岩田康誠 | 2:10.3 | 上り34.5 | 映像 | |
| 2 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:31.9 | 上り34.0 | 映像 | |
| 8 | GIドバイワールドカップ | アラブ首長国連邦 ダ2000 | R.ムーア | — | 映像 | |||
| 2 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 1人気 | C.スミヨン | 2:32.6 | 上り33.8 | 映像 | |
| 2(降) | GIジャパンカップ | 東京 芝2400 | 1人気 | C.スミヨン | 2:24.9 | 上り33.5 | 映像 | |
| 1 | GI天皇賞(秋) | 東京 芝2000 | 1人気 | C.スミヨン | 1:58.2 | 上り34.1 | 映像 | |
| 2 | GI宝塚記念 | 阪神 芝2200 | 1人気 | 横山典弘 | 2:13.1 | 上り36.3 | 映像 | |
| 1 | GIヴィクトリアマイル | 東京 芝1600 | 1人気 | 横山典弘 | 1:32.4 | 上り33.5 | 映像 | |
| 2 | GIドバイシーマクラシック | アラブ首長国連邦 芝2410 | O.ペリエ | — | 映像 | |||
| 1 | GII京都記念 | 京都 芝2200 | 1人気 | 横山典弘 | 2:14.4 | 上り33.4 | 映像 | |
| 2 | GI有馬記念 | 中山 芝2500 | 1人気 | 横山典弘 | 2:30.1 | 上り35.8 | 映像 | |
| 3 | GIエリザベス女王杯 | 京都 芝2200 | 1人気 | 安藤勝己 | 2:13.9 | 上り32.9 | 映像 | |
| 3(降) | GI秋華賞 | 京都 芝2000 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:58.2 | 上り34.3 | 映像 | |
| 2 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 1人気 | 安藤勝己 | 2:00.7 | 上り35.1 | 映像 | |
| 1 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 1人気 | 安藤勝己 | 2:26.1 | 上り33.6 | 映像 | |
| 1 | GI桜花賞 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:34.0 | 上り33.3 | 映像 | |
| 1 | GIIIチューリップ賞 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:36.5 | 上り34.7 | 映像 | |
| 1 | GI阪神ジュベナイルフィリーズ | 阪神 芝1600 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:35.2 | 上り34.8 | 映像 | |
| 1 | 2歳未勝利 | 京都 芝1600 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:34.9 | 上り34.5 | — | |
| 3 | 2歳新馬 | 京都 芝1800 | 1人気 | 安藤勝己 | 1:52.0 | 上り33.5 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父スペシャルウィークSpecial Week | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| キャンペンガール | マルゼンスキーMaruzensky | |
| レディーシラオキ | ||
| 母ビワハイジ | Caerleon | Nijinsky |
| Foreseer | ||
| アグサンAghsan | Lord Gayle | |
| Santa Luciana |
旅程 — この馬の物語
2006年生まれの黒鹿毛の牝馬。父スペシャルウィーク、母ビワハイジ。主な勝ち鞍は阪神ジュベナイルF・桜花賞・優駿牝馬。
絶景の名 ― 血と出発
ブエナビスタ――スペイン語で「素晴らしい眺め、絶景」を意味する名である。その走りは、いつも見る者に絶景を見せた。 父はスペシャルウィーク。1998年の日本ダービーを制し、翌年に天皇賞の春秋とジャパンカップを加えた名馬だ。母ビワハイジは、1995年の阪神3歳牝馬ステークス(当時のGI)を勝った2歳女王であり、希代の名繁殖牝馬でもあった。その牝系――いわゆるビワハイジ一族には、阪神ジュベナイルフィリーズを制した半妹ジョワドヴィーヴル、京都記念と弥生賞を勝った半兄アドマイヤオーラ、京成杯の半兄アドマイヤジャパン、フローラステークスの半妹サングレアルが連なる。良血という言葉が、これほど似合う一頭もいない。 2006年3月14日、ノーザンファームに生まれた黒鹿毛の牝馬は、サンデーレーシングの所有馬として、栗東・松田博資厩舎に入った。鞍上を任されたのは、安藤勝己。2008年秋、京都――その新馬戦が、のちに語り草となる。
伝説の新馬戦
2008年10月26日、京都・芝1800m。菊花賞デーの新馬戦に、安藤勝己を背にした1番人気のブエナビスタが現れた。だが、スタートで出遅れる。後方からの競馬になり、スローペースは末脚型に厳しい流れだった。それでも直線、ブエナビスタは鋭く伸び、先に抜け出したアンライバルドに2馬身ほどまで詰め寄って、3着でゴールした。 勝ったのは、そのアンライバルド――翌2009年の皐月賞馬である。2着リーチザクラウンはのちの重賞馬、4着スリーロールスは同じ2009年の菊花賞を制する。たった一つの新馬戦から、翌年のクラシックホースが何頭も巣立っていった。のちに「伝説の新馬戦」と呼ばれる一戦である。勝てなかったブエナビスタの末脚は、その豪華な一群の中でも、ひときわ鮮烈な印象を残した。続く未勝利戦を危なげなく勝ち上がると、舞台はすぐ、世代の頂へと移っていく。
二歳女王から、牝馬二冠へ
2008年12月、阪神ジュベナイルフィリーズ。デビュー3戦目のブエナビスタは、後方から目の覚めるような末脚で差し切り、2歳女王に輝いた。 明けて2009年。チューリップ賞を快勝すると、桜花賞、そして優駿牝馬(オークス)。安藤勝己とのコンビで、ブエナビスタは牝馬二冠を駆け抜けた。いずれも、直線で後方から繰り出す絶景の末脚での勝利である。春のクラシックでライバル・レッドディザイアを二度しりぞけ、世代の女王の座は揺るがないかに見えた。残るは、三冠目だけだった。
三冠、成らず ― 秋華賞2009
2009年10月、京都。牝馬三冠の最終戦、秋華賞。1番人気のブエナビスタは、直線で春の宿敵レッドディザイアと壮絶な叩き合いを演じた。だが――わずか7センチ、鼻の差。写真判定はレッドディザイアの先着を告げ、ブエナビスタは2位で入線した。春に二度しりぞけた相手に、最後の一冠を懸けた一騎打ちで、ついに差されたのだ。 さらに、不運が重なる。4コーナーでの斜行が、3位入線していたブロードストリートの進路を妨げたと裁定され、ブエナビスタは3着に降着。確定は、1着レッドディザイア、2着ブロードストリート、3着ブエナビスタ。三冠は、ゴール線でレッドディザイアに差され、降着でさらに遠のいた。鞍上の安藤勝己には騎乗停止が科される。完璧に見えた女王の物語は、ここで初めて、影を負った。
二着の女王、世界へ
鞍上は横山典弘に替わった。暮れの有馬記念、3歳牝馬で古馬の一線に挑んで2着。明けて2010年、京都記念を勝ち、海を渡ってドバイシーマクラシックでも2着。ヴィクトリアマイルを制する一方、宝塚記念ではまた2着。 1番人気に推されながら、勝ち切れない。だが、負けてなお、ブエナビスタの末脚は誰よりも鋭く、その存在感は古馬の牡馬たちを呑み込んでいた。勝っても負けても、府中の、阪神の、中山の直線は、いつもこの牝馬の絶景で締めくくられた。
もう一度、ゴールの先で ― 2010年の光と影
2010年秋、転機が重なる。夏に横山典弘が落馬で戦列を離れ、手綱はクリストフ・スミヨンへ渡った。その新コンビで、ブエナビスタは天皇賞(秋)を制する。前年に涙をのんだ三冠の無念を晴らすかのような、堂々のGIだった。 だが、続くジャパンカップで明暗が分かれる。直線、ブエナビスタは1位でゴール板を駆け抜けた――が、その過程で大きく内へ切れ込み、追い込むローズキングダムの前をふさいでいた。検量室前での長い審議の末、降着2着。繰り上がりの優勝は、ローズキングダム。先頭でゴールしながら、自らの斜行が勝利を手放させたのだ。前年の秋華賞は線上で差されたうえでの降着だったが、今度は、勝ち切ったはずの末に、自分の走りがそれを取り消した。二度目の降着は、一度目よりはるかに重く、苦かった。 それでも――いや、それでもなお、この年ブエナビスタは年度代表馬に選ばれた。牝馬が、その年の日本競馬の頂点に立ったのだ。勝ち負けの数字を超えて、彼女は誰の目にも最強だった。
悲願 ― ジャパンカップ2011
2011年。鞍上は岩田康誠に替わった。春、未知の砂に挑んだドバイワールドカップは8着。世界の砂は、芝の女王には遠かった。帰国後もヴィクトリアマイル2着、宝塚記念2着と、勝利は手の先をすり抜け続ける。 そして11月、ジャパンカップ。一年前、先頭でゴールしながら自らの斜行で勝利を手放した、この同じ舞台である。直線、ブエナビスタは伸びた。天皇賞(秋)を勝ったばかりのトーセンジョーダンとの叩き合いを、クビ差――今度は誰の前もふさがず、まっすぐに抑え切った。1位でゴール板を駆け抜け、そして、その1着が動くことはなかった。一年前、自らの走りで取りこぼしたこの府中の勝利を、ブエナビスタはついに、文句のつけようのない形で掴み取ったのだ。GI6勝目。岩田は、これでこの馬が現役最強馬であることを証明できた、と声を弾ませた。 レース後、引退が発表される。最後の有馬記念は7着。だが、その偉大さは、もう揺るがなかった。
絶景の血
23戦9勝、GI6勝。牝馬二冠、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、そして2010年の年度代表馬。獲得賞金は、当時のJRAの牝馬として歴代最高に達した。二度の降着に泣き、先頭でゴールした一戦さえ自らの斜行で取りこぼし、数えきれない2着を積みながら、それでもブエナビスタは、紛れもなく一時代の女王だった。 引退後はノーザンファームで繁殖牝馬となり、初仔コロナシオンをはじめ、母として血をつないでいる。母ビワハイジから受け継ぎ、半妹ジョワドヴィーヴルらとともに彩ったあの名牝系を、今度は自らが母として下の世代へ手渡していく。 後方からただ一完歩ずつ、前の馬を呑み込んでいくあの末脚――栄光の一歩手前で幾度も涙をのみながら、ブエナビスタが府中の直線で見せたものは、いつも、名のとおりの絶景だった。
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