名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

この世代(生まれ年)

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ブエナオンダのイメージビジュアル
ブエナオンダBuena Onda
Buena Onda

ブエナオンダ

通算成績23戦5勝

獲得賞金13,776万円

生年月日 2021.01.20(令和3年)毛色 青鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ブエナオンダの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
4 GIII関屋記念 新潟 芝1600 14人気 田口貫太 1:33.4 上り34.4映像
7 GIIIしらさぎS 阪神 芝1600 13人気 田口貫太 1:33.5 上り34.1映像
12 GIIマイラーズC 京都 芝1600 10人気 田口貫太 1:32.2 上り33.0映像
6 GIIIダービー卿CT 中山 芝1600 7人気 佐々木大輔 1:33.7 上り34.9映像
15 GIII東京新聞杯 東京 芝1600 8人気 横山武史 1:33.0 上り34.6映像
1 GIII京都金杯 京都 芝1600 4人気 川田将雅 1:33.7 上り33.8映像
3 LキャピタルS 東京 芝1600 6人気 川田将雅 1:32.0 上り33.9
2 LまほろばS 京都 芝1600 2人気 浜中俊 1:32.5 上り33.5
1 三年坂S 京都 芝1600 3人気 川田将雅 1:32.1 上り33.5
1 石和特別 東京 芝1800 2人気 J.モレイラ 1:45.8 上り33.5
4 4歳以上2勝クラス 阪神 芝1800 3人気 佐々木大輔 1:45.6 上り33.8
3 4歳以上2勝クラス 中山 芝1600 2人気 川田将雅 1:34.4 上り36.3
3 渥美特別 中京 芝2000 4人気 M.デムーロ 2:02.1 上り35.1
4 フォーチュンC 京都 芝2000 4人気 M.デムーロ 1:51.3 上り34.9
7 霞ヶ浦特別 中山 芝1800 2人気 C.デムーロ 1:47.7 上り36.7
5 3歳以上2勝クラス 京都 芝2000 2人気 川田将雅 2:01.7 上り34.8
4 国立特別 東京 芝1600 5人気 佐々木大輔 1:33.7 上り32.9
1 3歳以上1勝クラス 京都 芝1800 1人気 A.シュタルケ 1:46.0 上り34.0
12 3歳1勝クラス 阪神 ダ1800 8人気 戸崎圭太 1:35.1 上り40.3
5 フローラルウォーク賞 中京 芝1600 2人気 吉田隼人 1:35.1 上り34.3
7 GIIIきさらぎ賞 京都 芝1800 7人気 武豊 1:47.3 上り34.8映像
3 L若駒S 京都 芝2000 2人気 川田将雅 2:03.4 上り36.9
1 2歳新馬 京都 芝2000 2人気 川田将雅 2:01.4 上り34.4

血統

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ブエナオンダの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
リオンディーズ 黒鹿毛キングカメハメハ 鹿毛Kingmambo
マンファス
シーザリオ 青毛スペシャルウィークSpecial Week
キロフプリミエール
オーサムウインドディープインパクトDeep Impactサンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
オーサムフェザーAwesome of Course
Precious Feather
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの青鹿毛の牡馬。父リオンディーズ 黒鹿毛、母オーサムウインド。主な勝ち鞍は京都金杯。

「良き波」の血 ― 無敗の女王と、遅れてきた良血

2021年1月20日、北海道安平・ノーザンファームに生まれた青鹿毛の牡馬。馬主は金子真人ホールディングス。ブエナオンダという名は、スペイン語で「良い波」、転じて「気のいい奴」ほどの意味を持つ。 その血は、はなやかだった。母の母オーサムフェザーは、2010年のアメリカで無傷の6連勝のままブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズを制し、その年の最優秀2歳牝馬に選ばれた女王である。生涯11戦10勝、唯一の黒星を喫するのは4歳の秋まで待たねばならなかった。2013年、ノーザンファームの吉田勝己がおよそ190万ドルで競り落として日本へ渡らせ、金子真人の生んだ名馬ディープインパクトを配する。その仔が、母オーサムウインドだ。 父リオンディーズは、2015年の朝日杯フューチュリティステークスを最後方から差し切った快速馬。その母は、優駿牝馬とアメリカンオークスを制した名牝シーザリオ――全弟にサートゥルナーリア、半兄にエピファネイアを持つ、王家の一員である。無敗の女王と、日本近代を築いた父系と、シーザリオの王統。ブエナオンダは、それらを一身に集めて生まれた。ただ、血の格と出世の早さは、いつも同じ足並みで進むとは限らない。

川田将雅 ― 素質を感じた背中

デビューは2023年10月28日、京都の芝2000m新馬戦。手綱を取ったのは川田将雅。2番人気に応え、上がり34秒4の脚で危なげなく勝ち上がった。良血の名にふさわしい滑り出しだった。 明けて3歳、目指すのはクラシックだった。若駒ステークス3着、そして武豊を背にきさらぎ賞へ。だが7番人気の7着に沈む。皐月賞やダービーへと続く街道から、青鹿毛は静かに外れていった。若い頃からその背中に素質の高さを感じていた――と、鞍上の川田が語るのは、ずっと後のことになる。

長い回り道

そこから、歯車がなかなか噛み合わない。芝で勝ち切れず、一度だけ試したダートは12着と大敗した。モレイラ、デムーロ兄弟、戸崎圭太、浜中俊、シュタルケ――一流の手綱が入れ替わり跨っても、勝ち星はなかなか増えない。2024年の秋にようやく1勝クラスを、翌春には石和特別を勝つが、良血の出世としては、あまりに遅かった。 転機は、距離をマイルに絞ってから訪れた。2025年秋、川田将雅が再び手綱に戻る。三年坂ステークスを快勝すると、まほろばステークス2着、キャピタルステークス3着。長くいい脚を使うこの馬の型が、マイルで固まっていく。デビューを託した男が戻ってきて、噛み合わずにいた歯車が、ようやく回り始めた。

京都金杯 ― 五歳の重賞初制覇

2026年1月4日、京都の芝1600m。4番人気のブエナオンダに、川田はいいポジションを取りに行った。長く脚を使える組み立てで直線を迎え、抜け出す。ファーヴェントをアタマ差、さらにクビ差の3着にショウナンアデイブ――3頭が鼻面を並べた大接戦を、半歩先で制した。 デビューから18戦目、5歳での重賞初制覇だった。デビュー勝ちを届けた川田が、そのまま最初のタイトルまで導いた。若い頃から素質を感じる背中でありながら、出世には時間がかかった。それでもここまで成長してくれた――川田はそう振り返り、「勝ち切ってくれたことを褒めてあげたい」[^1]と言った。最初に素質を見抜いた男の、これは答え合わせだった。

出典:東スポ競馬「【京都金杯結果&コメント】ブエナオンダ重賞初V 川田将雅「勝ち切ってくれたことを褒めてあげたい」」2026年1月4日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/67118、閲覧日:2026年7月16日。

良き波を探して

栄冠のあとに待っていたのは、また試練だった。東京新聞杯15着、ダービー卿チャレンジトロフィー6着、読売マイラーズカップ12着、そして6月のしらさぎステークスは7着。マイルの重賞の一線では、金杯の走りがなかなか顔を出さない。 それでも旅は途切れていない。7月26日の関屋記念、不良馬場の新潟。14番人気という数字は、年明けの京都金杯を勝った馬への評価としてはあまりに低い。だが田口貫太を背にしたブエナオンダは、その評価のまま4着へ走り込んだ。時計は1分33秒4、勝ったアンパドゥから1秒差である。重い芝でも、脚は止まらなかった。無敗の女王オーサムフェザーの血と、名牝シーザリオの王統を引く青鹿毛は、遅れて花開いた分だけ、まだ引き切っていない線を残している。名のとおり、良き波を探して。次の一戦を、また探しに行く。

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