名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

スライダーを動かすと、その世代に生まれた馬を獲得賞金の多い順で表示します。

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ベストウォーリアのイメージビジュアル
ベストウォーリアBest Warrior
Best Warrior

ベストウォーリア

通算成績36戦9勝

獲得賞金48,156万円

生年月日 2010.03.07(平成22年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
ベストウォーリアの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
6 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 6人気 北村友一 1:36.9 上り37.8
9 JpnⅡさきたま杯 浦和 ダ1400 3人気 戸崎圭太 1:28.4 上り39.8
5 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 5人気 福永祐一 1:40.3 上り38.4
10 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 8人気 C.ルメール 1:37.6 上り38.3映像
GIII根岸S 東京 ダ1400 ルメール 映像
7 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 3人気 C.ルメール 1:36.1 上り36.1映像
6 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 4人気 戸崎圭太 1:35.9 上り35.6
3 JpnⅡさきたま杯 浦和 ダ1400 1人気 戸崎圭太 1:26.9 上り37.6
4 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 1人気 戸崎圭太 1:40.7 上り39.0
2 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 5人気 戸崎圭太 1:35.1 上り35.7映像
2 GIII根岸S 東京 ダ1400 3人気 戸崎圭太 1:23.2 上り35.6映像
2 JpnⅠJBCスプリント 川崎 ダ1400 1人気 戸崎圭太 1:27.8 上り38.5映像
2 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 2人気 戸崎圭太 1:33.8 上り35.3
2 JpnⅡさきたま杯 浦和 ダ1400 1人気 戸崎圭太 1:26.2 上り36.3
3 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 5人気 戸崎圭太 1:40.2 上り38.0
4 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 3人気 戸崎圭太 1:34.2 上り35.0映像
3 JpnⅠJBCスプリント 大井 ダ1200 2人気 川田将雅 1:11.4 上り36.2映像
1 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 1人気 福永祐一 1:36.8 上り38.7
1 GIIIプロキオンS 中京 ダ1400 4人気 福永祐一 1:22.5 上り35.6映像
2 JpnⅠかしわ記念 船橋 ダ1600 1人気 福永祐一 1:37.6 上り37.4
3 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 3人気 戸崎圭太 1:36.5 上り36.1映像
11 GIチャンピオンズカップ 中京 ダ1800 9人気 戸崎圭太 1:52.0 上り36.9映像
5 JpnⅠJBCクラシック 盛岡 ダ2000 5人気 戸崎圭太 2:01.9 上り36.7映像
1 JpnⅠマイルチャンピオンシップ 盛岡 ダ1600 1人気 戸崎圭太 1:35.9 上り35.5
1 GIIIプロキオンS 中京 ダ1400 1人気 戸崎圭太 1:22.6 上り35.4
2 OPアハルテケS 東京 ダ1600 1人気 戸崎圭太 1:34.6 上り35.4
1 OPオアシスS 東京 ダ1600 1人気 戸崎圭太 1:35.8 上り36.4
13 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 3人気 浜中俊 1:36.9 上り35.7映像
1 OPすばるS 京都 ダ1400 1人気 浜中俊 1:21.7 上り34.9
3 GIII東京中日S杯武蔵野S 東京 ダ1600 7人気 戸崎圭太 1:35.4 上り35.9
5 JpnⅠジャパンダートダービー 大井 ダ2000 3人気 戸崎圭太 2:06.8 上り39.3
1 GIIIユニコーンS 東京 ダ1600 3人気 戸崎圭太 1:36.0 上り35.0
2 JpnⅡ兵庫チャンピオンシップ 園田 ダ1870 3人気 岩田康誠 1:59.4 上り38.3
1 3歳500万下 東京 ダ1600 2人気 福永祐一 1:38.3 上り36.9
2 はこべら賞 中京 ダ1400 4人気 北村友一 1:25.9 上り37.9
7 ポインセチア賞 阪神 ダ1400 4人気 福永祐一 1:26.6 上り40.4
1 2歳新馬 京都 ダ1200 2人気 福永祐一 1:12.7 上り36.6

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
ベストウォーリアの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
マジェスティックウォリアーMajestic WarriorA.P. IndySeattle Slew
Weekend Surprise
Dream SupremeSeeking the Gold
Spinning Round
フラーテイシャスミスMr. GreeleyGone West
Long Legend
Seductive SmileSilver Hawk
Exit Smiling
STORY

旅程 — この馬の物語

2010年生まれの栗毛の牡馬。父マジェスティックウォリアー、母フラーテイシャスミス。主な勝ち鞍はマイルチャンピオンシップ・ユニコーンS・プロキオンS。

最高の戦士 ― ケンタッキーから来た栗毛

2010年3月7日、アメリカ・ケンタッキー州のBuck Pond Farmで一頭の栗毛が生まれた。父マジェスティックウォリアーはA.P. Indyの子、母フラーテイシャスミスの父はMr. Greeley。5代の内側にはMr. Prospectorが4×4、Secretariatが4・5×5で畳み込まれている。 母の名は「思わせぶりな娘」、その母はSeductive Smile。微笑みばかりが並ぶ牝系に、父の側から一語だけ「戦士」が渡された。馬名の由来は、最高の戦士。 海を渡って栗東・石坂正厩舎に入り、馬主は馬場幸夫、日々の背中に乗ったのは持ち乗り調教助手の古泉博英だった。2012年11月10日、京都のダート1200m。福永祐一を背に2番人気で新馬戦に出て、2馬身半差で勝ち上がる。 戦士の名を負った馬の、最初の一勝である。その名が本当は何を指していたのかは、これから六年かけて明かされていく。

地方から来た男 ― 二〇一三年六月十六日

3歳になったベストウォーリアは、中京のはこべら賞で2着に敗れたあと、東京の3歳500万下をハナ差で拾って2勝目を挙げた。そして初めての重賞挑戦が、園田の兵庫チャンピオンシップだった。3着のソロルを9馬身も突き放しながら、前を行くコパノリッキーには6馬身離されての2着。同じ2010年生まれのこの馬とは、以後も何度となく同じゲートに入ることになる。 6月16日、東京のユニコーンステークス。3番人気。鞍上には戸崎圭太が座った。内へ潜り込んで脚を溜め、直線で一気に突き抜けて重賞初制覇。 戸崎はこの年の3月1日付でJRAへ移籍したばかりだった。1998年に大井でデビューし、南関東から全国リーディングまで駆け上がり、それでも中央の騎手免許試験には二度落ちて、三度目でようやく通った男である。移籍から三か月半、移籍後はじめての重賞タイトルを運んできたのが、この3歳のダート馬だった。 続くジャパンダートダービーは5着、秋の武蔵野ステークスは0秒1差の3着。

盛岡の四馬身 ― 四歳の頂

2014年はレコードから始まった。京都のすばるステークスを1分21秒7で勝ち、勢いのままフェブラリーステークスへ。3番人気に推されたが13着、勝ったのはまたコパノリッキーだった。 立て直しは早かった。東京のオアシスステークスを単勝1.5倍で完勝、同じ条件のアハルテケステークスは1.6倍でクビ差の2着、そして中京のプロキオンステークスは1.9倍。三戦続けて1倍台の支持を受け、最後は並びかけたキョウワダッフィーをクビだけ前に出て重賞2勝目を挙げた。 10月13日、盛岡。マイルチャンピオンシップ南部杯。単勝1.2倍という圧倒的な支持に応え、直線で逃げるポアゾンブラックを捕らえると、そのまま4馬身突き放した。GI級の初制覇。鞍上は戸崎だった。 その足で同じ盛岡のJBCクラシック(2000m)へ向かったが5着、暮れの中京・チャンピオンズカップ(1800m)は二桁着順に沈む。距離が延びると、この馬の刃はわずかに鈍った。1400mとマイル――間合いは、この秋にはっきりと定まった。

五十九キロ ― 連覇の年

2015年、5歳。フェブラリーステークスは中団から伸びて3着。船橋のかしわ記念は1番人気に推されながら、ワンダーアキュートに1馬身交わされて2着に終わった。手綱は福永祐一に戻っていた。 連覇のかかった中京のプロキオンステークスでは、59キロを背負わされた。それでも逃げるコーリンベリーを捕まえ、2馬身突き放して勝ち切る。 10月12日、また盛岡。単勝1.3倍。好位の外を進み、3コーナーから4コーナーにかけて前に取りつくと、直線で抜け出してタガノトネールに2馬身差をつけた。南部杯連覇、JpnI2勝目である。 この馬は生涯で17回、地方の競馬場のゲートに入っている。そのうち勝ったのは二度だけだ。そして、その二度がどちらも南部杯だった。数を稼ぎに遠征していたのではない。獲るべき一日にだけ、きっちり獲った。 続くJBCスプリントは大井の1200m。距離を詰めた一戦は3着に敗れた。

五度の二着 ― 半馬身の内側

2016年、6歳。フェブラリーステークス4着、かしわ記念3着。そこから、長い連続が始まる。 浦和のさきたま杯は58キロを背負って2着。三度目の南部杯はコパノリッキーに1馬身3/4離されて2着。川崎のJBCスプリントは単勝1.9倍の1番人気に推されたが、逃げ切ったダノンレジェンドの2着。年が明けて根岸ステークスもまた58キロで2着。そして2017年2月19日、7歳で迎えたフェブラリーステークスは、ゴールドドリームとクビ差の2着――五戦続けての2着だった。 五度とも、鞍上は戸崎圭太である。 その年の秋、戸崎はこう語っている。「GIをひとつふたつ取っても、ぼくはリーディングのほうに強い思いがあるんです」[^1]。一発の栄光より、積み上げのほうに執着する男だった。半馬身の内側に立ち続けたこの馬と、たしかに似ていた。

出典:Number Web「[スポーツ名言集] 戸崎圭太の名言」Number937号(2017年10月12日)、https://number.bunshun.jp/articles/-/829194 、閲覧日:2026年7月29日。

四度目の盛岡 ― 幕

2017年の後半から、歯車はゆっくりと緩んでいった。かしわ記念4着、さきたま杯3着、四度目の南部杯は6着。東京の武蔵野ステークスはC.ルメールを背に7着。 2018年の根岸ステークスは出走を取り消した。フェブラリーステークスは8番人気の10着。船橋のかしわ記念5着、浦和のさきたま杯9着。このさきたま杯が、戸崎圭太と走った21度目にして最後の一戦になった。 10月8日、盛岡。二度勝ったダート1600m。単勝102.6倍の6番人気で、鞍上は北村友一。デビュー3戦目、2013年1月の中京・はこべら賞で手綱を取っていたのと同じ男だった。結果は6着。勝ったのは、この年のダート路線を制圧していく3歳馬ルヴァンスレーヴである。 10月19日付で競走馬登録を抹消。通算36戦9勝、2着9回。中央19戦7勝、地方17戦2勝、獲得賞金は4億8156万円。三着以内で終えたのは、36回のうち23回だった。

新冠の朝 ― 父になった戦士

2019年、新冠の優駿スタリオンステーションで種牡馬になった。初年度の種付料は30万円。それでも158頭の繁殖牝馬が集まった。 2022年に初年度産駒がデビューすると、その世代は35勝を挙げて地方競馬の新種牡馬チャンピオンになる。翌2023年には大井のゴールドジュニアをクルマトラサンが制し、初めての重賞産駒が出た。盛岡のネクストスター盛岡をポマイカイ、園田のネクストスター西日本をリケアサブル、大井のジェムストーン賞をプリムスパールス。父が二度しか勝てなかった地方の砂の上で、仔たちは勝ち鞍を積み上げていった。 2026年、フラフが園田の兵庫大賞典を勝つ。父が3歳の春、コパノリッキーに6馬身離されて2着に沈んだ、あの園田である。同じ年、ジョージテソーロが京成盃グランドマイラーズを勝ち、船橋のかしわ記念にも駒を進めた。父が四年続けて走り、2着、3着、4着、5着と一段ずつ順位を下げながら、ついに勝てなかった一戦である。 最高の戦士。9勝という数字だけを見れば、この名はいくらか大きすぎるかもしれない。だが戦士とは、勝った回数で決まるものではないだろう。36回ゲートに入って23回を三着以内で終え、59キロを背負って重賞を勝ち、58キロを背負って二度も二着に踏みとどまり、7歳の東京でなおクビ差まで詰め寄った馬を、ほかにどう呼べばいいのか。 新冠に、16歳になった栗毛がいる。2026年度の種付料は受胎確認後50万円。走った記録はもう増えない。増えていくのは、砂の上を走る仔たちの勝ち鞍のほうだ。

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