名馬の記憶を、
再生する。

年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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アラタのイメージビジュアル
アラタArata
Arata

アラタ

通算成績34戦7勝

獲得賞金23,195万円

生年月日 2017.03.16(平成29年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アラタの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
10 GIII函館記念 函館 芝2000 12人気 大野拓弥 1:58.4 上り34.7映像
10 GII東海テレビ杯金鯱賞 中京 芝2000 14人気 横山典弘 1:58.7 上り34.3映像
15 GI有馬記念 中山 芝2500 15人気 大野拓弥 2:32.8 上り35.9映像
4 GIII福島記念 福島 芝2000 9人気 横山典弘 2:00.4 上り34.3映像
3 GII札幌記念 札幌 芝2000 13人気 浜中俊 2:01.8 上り35.0映像
15 GI天皇賞(春) 京都 芝3200 13人気 大野拓弥 3:20.4 上り40.9映像
9 GII日経賞 中山 芝2500 12人気 大野拓弥 2:36.5 上り37.1映像
14 GIIアメリカジョッキークラブカップ 中山 芝2200 13人気 大野拓弥 2:13.4 上り36.6映像
1 GIII福島記念 福島 芝2000 7人気 大野拓弥 2:00.7 上り36.3映像
7 GIII七夕賞 福島 芝2000 6人気 横山典弘 1:58.6 上り35.1映像
5 GII金鯱賞 中京 芝2000 9人気 横山典弘 1:58.7 上り35.0映像
13 GIII中山金杯 中山 芝2000 7人気 横山和生 1:59.6 上り33.9映像
13 GII産経賞オールカマー 中山 芝2200 11人気 田辺裕信 2:13.1 上り35.6映像
9 GIII函館記念 函館 芝2000 3人気 横山武史 2:02.0 上り36.2映像
1 OP巴賞 函館 芝1800 2人気 横山武史 1:48.0 上り35.1
3 GII金鯱賞 中京 芝2000 6人気 横山典弘 2:00.1 上り34.6映像
4 GIII中山金杯 中山 芝2000 5人気 横山武史 2:00.2 上り35.2映像
3 GIII福島記念 福島 芝2000 1人気 大野拓弥 2:00.6 上り35.5映像
4 GII札幌記念 札幌 芝2000 12人気 横山武史 2:01.5 上り36.9映像
6 GIII函館記念 函館 芝2000 2人気 横山武史 2:04.7 上り38.5映像
5 L都大路S 中京 芝2000 2人気 浜中俊 2:00.8 上り34.9
8 GII金鯱賞 中京 芝2000 8人気 大野拓弥 1:58.1 上り34.5映像
3 GIII福島記念 福島 芝2000 1人気 大野拓弥 1:59.9 上り35.3映像
1 OPケフェウスS 中京 芝2000 2人気 大野拓弥 2:01.2 上り34.0
1 STV杯 函館 芝2000 3人気 大野拓弥 1:59.3 上り36.1
1 駒ケ岳特別 函館 芝2600 3人気 大野拓弥 2:42.1 上り36.5
1 4歳以上1勝クラス 中山 芝2200 1人気 大野拓弥 2:14.2 上り35.3
2 4歳以上1勝クラス 中京 芝2200 9人気 大野拓弥 2:18.3 上り35.9
10 4歳以上1勝クラス 東京 ダ2100 5人気 大野拓弥 2:15.5 上り39.7
14 GIIテレビ東京杯青葉賞 東京 芝2400 15人気 大野拓弥 2:25.2 上り35.6映像
6 GII報知弥生ディープ記念 中山 芝2000 10人気 大野拓弥 2:03.7 上り37.0映像
1 3歳未勝利 中山 芝2000 7人気 大野拓弥 2:05.5 上り36.9
5 2歳未勝利 中山 芝2000 9人気 大野拓弥 2:03.4 上り36.6
8 2歳新馬 東京 芝2000 7人気 大野拓弥 2:03.3 上り35.5

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アラタの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キングカメハメハKing KamehamehaKingmamboMr. Prospector
Miesque
マンファスManfathラストタイクーンLast Tycoon
Pilot Bird
サンシャインハーツクライHeart's CryサンデーサイレンスSunday Silence
アイリッシュダンス
バルドウィナBaldwinaPistolet Bleu
Balioka
STORY

旅程 — この馬の物語

2017年生まれの鹿毛の牡馬。父キングカメハメハ、母サンシャイン。主な勝ち鞍は福島記念。

あの手綱と、上がっていく ― 大野拓弥という縦糸

キングカメハメハ、母父ハーツクライ。叔母に桜花賞馬ジュエラーを持つ血で、社台ファームに生まれた鹿毛の牡馬。だが血の華やかさとは裏腹に、アラタの戦歴は地を這うように始まった。2019年10月、東京の新馬戦。鞍上は大野拓弥。8着。続く未勝利も5着、勝ち上がりまで三戦を要した。弥生賞6着、青葉賞14着――クラシックの本流からは早々に外れ、しばらく1勝クラスに足止めされる。 その間、ずっと背に大野拓弥がいた。2021年、函館の駒ケ岳特別・STV杯を連勝し、秋にはケフェウスSを勝ってオープン入り。勝ち鞍のほとんどに、この手綱が寄り添っていた。重賞では足りない、人気でも応えきれない。それでも乗り替わらず、ひとりの騎手と一頭が、長い坂道をゆっくり上がっていく。物語の縦糸は、最初からこの一本だった。

みちのくの直線 ― 三度目の福島記念で

福島記念は、アラタにとって因縁の舞台だった。2021年と2022年、いずれも1番人気に推されながら、勝ち切れずに3着。期待を背負っては、半歩届かない。その繰り返しだった。 2024年11月10日、第60回福島記念。七歳になったアラタは、もう7番人気に下がっていた。鞍上はやはり大野拓弥。トップハンデを背負い、道中は後方に控える。直線、外へ持ち出すと力強く伸びた。1番人気ドクタードリトルが沈むなか、フェアエールングを1馬身、半馬身先のダンディズムを差し切って、先頭でゴールを駆け抜ける。2分00秒7。デビューから五年、26戦目での重賞初制覇だった。 大野は言った。「トップハンデで、外を回して、強い競馬をしてくれた」。そして声を詰まらせるように続けた。「二回は1番人気で期待を裏切るような競馬になってしまったので、結果を出すことができて良かった」「福島はおそらく初めての重賞制覇だと思うので、すごく嬉しいです」。届かなかった二度の3着を、同じ騎手と同じ馬が、三度目の福島で塗り替えた。長く上がってきた坂の、頂のひとつだった。

老雄の一閃 ― 十三番人気の札幌記念

福島の頂は、坂の終わりではなかった。七歳の暮れに掴んだ重賞初制覇のあとも、アラタは走り続けた。2025年、明けて八歳。大野拓弥を背に、アメリカジョッキークラブカップ、日経賞、そして初めての天皇賞(春)へ。京都の三二〇〇メートルは中団から運んだものの、長丁場の底で流れに置かれる。この春の三戦はいずれも人気を落とし、上位争いには届かなかった。積み重ねた年輪の分だけ、一線級の速さとの距離は正直だった。 それでも、夏の札幌で一瞬の火が点いた。2025年8月17日、第61回札幌記念。稍重の芝で、アラタは十三番人気――単勝は一三四倍まで沈んでいた。この日、手綱を取ったのは大野ではなく浜中俊。返し馬で状態の良さを感じ取った浜中は、洋芝への適性を見込んで一発に賭けた。「馬場の適性もあると思って、一発を狙っていました」[^1]。後方二番手から内へ潜り込み、直線は上がり最速の脚で伸びる。鼻差の三着争いを制したのはアラタだった。三連単は一三〇万円を超える波乱。八歳の伏兵が、大舞台で確かに脚を使ってみせた。 秋、みちのくへ還る。11月の福島記念は横山典弘とのコンビで四着。二〇二四年に頂を掴んだあの直線で、若い世代に混じって半歩まで迫った。因縁の福島は、老雄をまだ手放さなかった。

出典:中日スポーツ「【札幌記念】低評価13番人気覆す激走アラタ3着に食い込む 浜中俊「一発狙っていた」」2025年8月17日、https://www.chunichi.co.jp/article/1117379、閲覧日:2026年7月13日。

縦糸は切れない ― 大舞台へ、そして今も

手綱が離れても、縦糸は切れなかった。札幌で浜中が、福島で横山典弘が跨ったこの年、暮れの大一番でアラタの背に戻ってきたのは、やはり大野拓弥だった。 2025年12月28日、第70回有馬記念。八歳になったアラタが、グランプリの舞台に立った。現行の馬齢表記で八歳での有馬記念制覇は、いまだ例がない。枠順を引いた大野は、大外を免れたことに表情を緩めた。七枠十四番。最低人気に近い評価のなか、中山の二五〇〇メートルを大野とともに回り、結果は十五着。それでも、かつて条件戦に足踏みしていた馬が、一年の総決算に名を連ねる場所まで登ってきた事実は、消えない。長い坂は、ここまで続いていた。 明けて2026年、九歳。中京の金鯱賞は横山典弘とのコンビ、そして夏の函館記念では、また大野拓弥が手綱に戻った。かつて重賞の頂と善戦を刻んだ舞台へ、老雄は今も姿を見せる。九歳でなお中央の重賞に立ち続けること――それ自体が、長く現役を張ってきた馬の勲章だった。一頭と一人がゆっくり上ってきたこの坂に、まだ終わりの標識は立っていない。函館の直線を大野と駆けた一戦が、いまのところ最新のページである。

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