名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
HORSES

名馬録

この世代(生まれ年)

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アンモシエラのイメージビジュアル
アンモシエラAmmothyella
Ammothyella

アンモシエラ

通算成績18戦5勝

獲得賞金23,018万円

生年月日 2021.02.03(令和3年)毛色 栗毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アンモシエラの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
1 JpnⅠJBCレディスクラシック 船橋 ダ1800 7人気 横山武史 1:53.3 上り40.0映像
9 JpnⅡレディスプレリュード 大井 ダ1800 3人気 横山武史 1:55.2 上り40.6
5 JpnⅢスパーキングレディー 川崎 ダ1600 3人気 横山武史 1:42.2 上り40.2
3 JpnⅡエンプレス杯キヨフジ 川崎 ダ2100 3人気 横山武史 2:16.0 上り40.5
16 GIフェブラリーS 東京 ダ1600 14人気 吉田豊 1:38.4 上り38.5映像
2 JpnⅢクイーン賞 船橋 ダ1800 3人気 横山武史 1:52.6 上り37.8
1 JpnⅠJBCレディスクラシック 佐賀 ダ1860 4人気 横山武史 1:59.6 上り37.4映像
4 JpnⅢマリーンカップ 船橋 ダ1800 1人気 坂井瑠星 1:55.1 上り41.7
3 JpnⅠ東京ダービー 大井 ダ2000 3人気 坂井瑠星 2:07.7 上り39.3
2 JpnⅠ羽田盃 大井 ダ1800 4人気 横山武史 1:54.1 上り40.0
2 JpnⅡ京浜盃 大井 ダ1700 2人気 坂井瑠星 1:50.2 上り41.4
1 JpnⅢブルーバードC 船橋 ダ1800 2人気 坂井瑠星 1:55.9 上り40.7
15 GIホープフルS 中山 芝2000 14人気 藤田菜七子 2:02.4 上り38.0映像
1 もちの木賞 京都 ダ1800 5人気 坂井瑠星 1:53.0 上り39.1
1 2歳未勝利 京都 ダ1800 3人気 松山弘平 1:55.4 上り38.2
2 2歳未勝利 阪神 ダ1800 6人気 松山弘平 1:54.8 上り39.0
5 2歳未勝利 小倉 ダ1700 7人気 幸英明 1:47.6 上り39.9
6 2歳新馬 中京 ダ1400 2人気 角田大河 1:27.0 上り39.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アンモシエラの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
ブリックスアンドモルタルBricks and MortarGiant's CausewayStorm Cat
Mariah's Storm
Beyond the WavesOcean Crest
Excedent
サンドクイーンゴールドアリュールGold AllureサンデーサイレンスSunday Silence
ニキーヤNikiya
フィエラメンテタニノギムレットTanino Gimlet
フェアリードールFairy Doll
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの栗毛の牝馬。父ブリックスアンドモルタル、母サンドクイーン。

砂嵐という名 ― 名前と血

美しい砂嵐に、母の名を継がせた。アンモシエラ――ギリシャ語で砂の嵐を意味するこの名は、砂(アンモス)と嵐(テュエラ)から編まれた造語で、母サンドクイーン、すなわち「砂の女王」の名から呼び起こされたものだという。砂の女王の娘に、砂を巻き上げる嵐の名。まるでこの牝馬が、いつかダートの頂に立つことを、名づけた者が予感していたかのようだった。 2021年2月3日、北海道浦河の桑田牧場に生まれた栗毛の牝馬。父は、2019年を無敗で駆け抜けてアメリカの年度代表馬に選ばれたブリックスアンドモルタル。母の父は、日本のダートに王朝を築いたゴールドアリュール。芝の父と、砂の母系。二つの血が一頭の中でせめぎ合っていた。 母サンドクイーンの祖母は、名牝フェアリードール。その娘にはエリザベス女王杯を制したトゥザヴィクトリーがおり、さらにその子にトゥザグローリー、トゥザワールドと重賞馬が連なる。牝馬の格を代々受け継いできた一族である。ただ、この名門がまだ手にしていなかったものが一つだけあった――ダートのGI。その空白を、砂嵐の名を持つ牝馬が埋めることになる。所有は広尾レース、かつて名手として数々のGIを勝った松永幹夫が栗東で鍛えた。

芝からダートへ ― デビューと最初の一年

デビューは2023年7月1日、中京のダート1400メートル。角田大河を背に2番人気に推されたが、好位から伸びを欠いて6着。順風とはいかなかった。夏を越え、松山弘平と組んだ京都のダート1800メートルでようやく初勝利を挙げると、続くもちの木賞も坂井瑠星で連勝。砂の上で、少しずつ形になっていった。 だが陣営は、一度だけ芝を試している。2023年暮れのホープフルステークス。2歳牡馬たちが集う中山の芝2000メートルで、2番手から進めたものの直線で失速し、15着。父から受け継いだ芝の血は、この舞台では花開かなかった。答えははっきりしていた。この馬が走るべきは、砂だった。

牡馬たちの中で ― 南関東の春

2024年、舞台をダートの南関東に移す。年明けのブルーバードカップ(船橋)を坂井瑠星で制し、重賞に初めて名を刻んだ。京浜盃も2着、そしてこの年から新設された3歳のダート三冠――その一冠目、大井の羽田盃で初めてこの馬の手綱を握ったのが横山武史だった。結果は2着。あと一歩が続いた。 6月、東京ダービー。大井のダート2000メートルに、牝馬の身で、牡馬たちの中に立っていた。自分のペースで逃げてリズムを作り、直線でも食い下がって3着。世代の頂を、牝馬が牡馬相手に真っ向から争ったのだ。勝ち切れはしない。それでも、この馬が本当に強くなる場所がどこなのかは、陣営の目にはもう見えはじめていた。

佐賀の砂嵐 ― 二〇二四年JBCレディスクラシック

11月4日、佐賀。JBCレディスクラシック。3歳の身で、古馬の女王たちに挑む一戦だった。大外11番からダッシュを利かせてハナを奪うと、道中はマイペースで息を入れる。2周目の3~4コーナー、各馬が避ける内をあえて突いて後続を突き放し、直線を向いても脚色は鈍らない。4馬身差の圧勝。JpnIの初制覇だった。 作戦通りだった、前半に自分のペースで息を入れられたのが大きかった、逃げることしか考えていなかった――横山武史はそう振り返った。フェアリードールから続く名門が、長く手にできなかったダートのGI。それを、3歳の砂嵐が古馬をまとめて薙ぎ倒して掴み取った。

もう一花 ― 連覇

連覇への一年は、平坦ではなかった。明けて2025年、クイーン賞2着のあと、フェブラリーステークスで牡馬混合のGIに挑むも16着と大敗。エンプレス杯3着、スパーキングレディーカップ5着、レディスプレリュード9着。勝ち星は遠ざかり、女王の座は揺らいでいるように見えた。 そして11月3日、船橋。1年ぶりのJBCレディスクラシックに、アンモシエラは7番人気で戻ってきた。ゲートが開くと、いつものようにハナへ。直線に入っても後続を寄せ付けず、2馬身半を突き放して逃げ切った。連覇である。低迷を囁かれた馬が、最も大きな舞台でだけ、もう一度嵐になった。「もう一花咲かせてくれて、本当に馬にはもう頭が下がる思い」[^1]。横山武史の言葉に、飾りはなかった。

出典:東スポ競馬「【JBCレディスクラシック結果&コメント】アンモシエラが逃げ切り連覇 横山武史「本当にうれしい」」2025年11月3日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/64637、閲覧日:2026年7月16日。

浦河へ ― 砂の女王の娘

その逃げが、最後の走りになった。連覇のあと、左前脚に骨折が見つかる。全治9か月以上。2025年12月26日、競走馬としての登録は抹消された。18戦5勝。派手な連勝街道ではない。けれど、キャリアの最後の一戦が、二度目のJBC制覇だった。女王は、頂の上で走るのをやめた。 帰る場所は、生まれた浦河の桑田牧場。これからは繁殖牝馬として、次の一頭を育てる側にまわる。母サンドクイーン――砂の女王の娘に、砂嵐の名がつけられた。その嵐が、一族の悲願だったダートの頂に二度立ってから、生まれた牧場の草の上へ帰っていく。フェアリードールから受け継いだ血は、ここでまた、次の代へと渡される。

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