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オールブラッシュ
通算成績43戦8勝
獲得賞金2億5,567万円
生年月日 2012.03.07(平成24年)毛色 黒鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7 | 埼玉新聞栄冠賞 | 浦和 ダ1900 | 7人気 | 本田正重 | 2:02.8 | 上り41.5 | — | |
| 7 | 短夜賞 | 船橋 ダ1800 | 1人気 | 本田正重 | 1:54.1 | 上り40.0 | — | |
| 3 | 大井記念 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 本田正重 | 2:07.8 | 上り40.5 | — | |
| 13 | ブリリアントカップ | 大井 ダ1800 | 9人気 | 本田正重 | 1:56.5 | 上り38.7 | — | |
| 除 | 報知グランプリカップ | 船橋 ダ1800 | M.ミシ | — | — | |||
| 9 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 8人気 | 今野忠成 | 2:17.9 | 上り42.1 | — | |
| 1 | 報知オールスターカップ | 川崎 ダ2100 | 8人気 | 今野忠成 | 2:14.7 | 上り39.3 | — | |
| 8 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 6人気 | 吉原寛人 | 2:08.3 | 上り39.2 | — | |
| 7 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 7人気 | 藤井勘一郎 | 1:35.8 | 上り36.2 | — | |
| 9 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 9人気 | 田辺裕信 | 2:06.3 | 上り39.0 | — | |
| 4 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 4人気 | 田辺裕信 | 1:41.1 | 上り38.8 | — | |
| 3 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 3人気 | 田辺裕信 | 2:38.2 | 上り39.0 | — | |
| 3 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 田辺裕信 | 2:15.5 | 上り40.1 | — | |
| 1 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 4人気 | 田辺裕信 | 2:05.4 | 上り36.9 | — | |
| 10 | GIJBCクラシック | 京都 ダ1900 | 11人気 | C.デムーロ | 1:57.8 | 上り38.5 | — | |
| 5 | JpnⅠマイルチャンピオンシップ | 盛岡 ダ1600 | 4人気 | 田辺裕信 | 1:36.8 | 上り37.3 | — | |
| 9 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 8人気 | 田辺裕信 | 2:06.2 | 上り40.7 | — | |
| 2 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 6人気 | 田辺裕信 | 1:39.4 | 上り37.7 | — | |
| 11 | GIIIマーチS | 中山 ダ1800 | 12人気 | 石橋脩 | 1:53.2 | 上り37.9 | 映像 | |
| 5 | JpnⅡ名古屋グランプリ | 名古屋 ダ2500 | 2人気 | C.ルメール | 2:44.8 | 上り39.4 | — | |
| 3 | JpnⅡ浦和記念 | 浦和 ダ2000 | 1人気 | C.ルメール | 2:10.5 | 上り40.4 | — | |
| 6 | JpnⅠJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 5人気 | C.ルメール | 2:06.0 | 上り39.3 | 映像 | |
| 6 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 7人気 | C.ルメール | 2:06.1 | 上り39.3 | — | |
| 5 | JpnⅢ名古屋大賞典 | 名古屋 ダ1900 | 2人気 | C.ルメール | 2:04.8 | 上り42.0 | — | |
| 1 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 5人気 | C.ルメール | 2:14.6 | 上り38.2 | — | |
| 1 | 観月橋S | 京都 ダ1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:49.4 | 上り36.8 | — | |
| 1 | 3歳以上1000万下 | 京都 ダ1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:50.8 | 上り38.1 | — | |
| 2 | 鷹取特別 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 和田竜二 | 1:51.0 | 上り38.9 | — | |
| 1 | 4歳以上1000万下 | 京都 ダ1800 | 1人気 | 和田竜二 | 1:50.6 | 上り37.9 | — | |
| 2 | 米沢特別 | 福島 ダ1700 | 1人気 | 川須栄彦 | 1:46.0 | 上り37.6 | — | |
| 2 | 4歳以上1000万下 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | C.ルメール | 1:51.7 | 上り38.4 | — | |
| 4 | 4歳以上1000万下 | 阪神 ダ1800 | 1人気 | 岩田康誠 | 1:52.1 | 上り37.6 | — | |
| 2 | 4歳以上1000万下 | 京都 ダ1800 | 1人気 | 和田竜二 | 1:51.9 | 上り36.3 | — | |
| 3 | 大津特別 | 京都 ダ1800 | 5人気 | 浜中俊 | 1:50.5 | 上り36.2 | — | |
| 9 | GIIIレパードS | 新潟 ダ1800 | 8人気 | 蛯名正義 | 1:53.7 | 上り38.5 | — | |
| 1 | 3歳以上500万下 | 中京 ダ1800 | 4人気 | C.ルメール | 1:51.4 | 上り37.6 | — | |
| 3 | くすのき賞 | 小倉 ダ1700 | 4人気 | 藤岡康太 | 1:44.2 | 上り37.0 | — | |
| 3 | 3歳500万下 | 京都 ダ1800 | 10人気 | 藤岡康太 | 1:52.8 | 上り36.8 | — | |
| 8 | 飛梅賞 | 京都 ダ1400 | 10人気 | 小崎綾也 | 1:26.3 | 上り37.7 | — | |
| 7 | 寒椿賞 | 中京 ダ1400 | 12人気 | 小崎綾也 | 1:26.3 | 上り38.3 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 京都 ダ1400 | 6人気 | 小崎綾也 | 1:26.8 | 上り37.8 | — | |
| 7 | 2歳未勝利 | 京都 ダ1400 | 9人気 | 小崎綾也 | 1:26.9 | 上り37.7 | — | |
| 14 | 2歳未勝利 | 阪神 芝1800 | 13人気 | 小崎綾也 | 1:49.8 | 上り36.8 | — | |
| 11 | 2歳新馬 | 中京 芝1600 | 10人気 | 浜中俊 | 1:42.6 | 上り37.6 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ウォーエンブレムWar Emblem | Our Emblem | Mr. Prospector |
| Personal Ensign | ||
| Sweetest Lady | Lord at War | |
| Sweetest Roman | ||
| 母ブラッシングプリンセスBlushing Princess | Crafty Prospector | Mr. Prospector |
| Real Crafty Lady | ||
| Princess Laika | Blushing Groom | |
| Cool Mood |
旅程 — この馬の物語
2012年生まれの黒鹿毛の牡馬。父ウォーエンブレム、母ブラッシングプリンセス。
種の付かない父 ― 二〇一二年三月七日
2002年、ケンタッキーダービーとプリークネスステークスを続けて勝ったアメリカの二冠馬ウォーエンブレムは、その秋のケンタッキーのセリで社台グループに1700万ドル――当時のレートで約21億円――で落札され、日本へ渡った。サンデーサイレンスを失ったばかりの日本が、その次に置く血として迎えた馬である。 ところが繁殖の季節が来ると、この馬はほとんどの牝馬に興味を示さなかった。初年度に種付けできたのはわずか7頭。組まれたばかりのシンジケートは一年で解散する。釧路への転地、好みの牝馬で気を引く手順、ペンシルベニア大学の専門家による治療――手は尽くされ、69頭に付けた季節もあれば、一頭も付けられずに終わった年もあった。期待の大きさと、実際に残せた仔の数とが、最後まで噛み合わなかった。 2011年、ウォーエンブレムが種付けした牝馬は19頭。その中に、ブラッシングプリンセスという栗毛のアメリカ産牝馬がいる。二年前にも同じ父の仔(全姉リュクスエンブレム)を産んでいた牝馬だった。 翌2012年3月7日、北海道白老町。黒鹿毛の牡馬が生まれる。オールブラッシュ。名の由来は「皆が赤面する。他馬が降参するような馬になるように」。赤らむ、という言葉は母の側にある。母はブラッシングプリンセス、その母の父はブラッシンググルーム。さらに遡れば、3代母クールムードの子孫にはカナダ三冠のウィズアプルーヴァルとイズヴェスティア、ベルモントステークスのタッチゴールドが並ぶ。北米の大レースを勝ち続けてきた牝系の血が、白老の放牧地にいた。
芝に二度沈んで、砂で名を得る
2014年7月13日、中京の芝1600メートル。浜中俊を背にした新馬戦は10番人気の11着だった。9月、阪神の芝1800メートルで14着。芝で二度沈んだあと、陣営は砂へ向けた。 栗東・村山明厩舎。テスタマッタでジャパンダートダービーとフェブラリーステークスを、コパノリッキーとダノンレジェンドで幾つものダート大レースを獲ってきた、砂の厩舎である。 京都のダート1400メートルで7着。そして11月23日、同じ舞台で初勝利。鞍上は小崎綾也。その年の4月に初騎乗を迎えたばかりの、村山厩舎所属の一年生だった。初勝利から六週連続で勝ち、一年目に38勝を挙げたルーキーと、芝で行き場を失っていた黒鹿毛が、京都の砂で初めて先頭に立った。 三歳。1月の飛梅賞8着が、その小崎とのコンビの最後になる。彼は4月の落馬で左脚を折り、八か月を戦線から離れた。この馬に跨る日は、二度と来なかった。 藤岡康太で3着、3着。7月18日、中京のダート1800メートルを、クリストフ・ルメールを背に4番人気で圧勝し、2勝目を挙げる。夏の新潟、レパードステークスは9着。三歳の夏は、そこで終わった。
一番人気という重荷
2016年1月31日、京都の大津特別を5番人気で3着。ここから彼は、ずっと一番人気の馬になる。 2月、京都で2着。3月、阪神で4着。4月、阪神で2着。福島の米沢特別でも2着。和田竜二、岩田康誠、ルメール、川須栄彦――鞍上は替わっても、単勝で一番低いオッズだけは彼のものだった。5月14日、京都でようやく勝つ。和田竜二だった。 ところが、当時あった降級の制度で彼はもう一度同じクラスに戻され、6月の鷹取特別でまた2着に終わる。 一番人気で勝てない苦さを、この厩舎の主は身をもって知っていた。2001年2月18日、東京のフェブラリーステークス。一番人気に支持されたサンフォードシチーの鞍上にいたのは、騎手時代の村山明その人である。結果はノボトゥルーから0秒3差の4着。村山は2007年に鞍を降りて角居勝彦厩舎の調教助手となり、2008年に自分の厩舎を開き、2012年、テスタマッタで同じフェブラリーステークスを勝った。負けたレースの名を、十一年かけて勝ち鞍に書き換えた男である。 足踏みは秋に終わった。10月16日、京都のダート1800メートルをルメールで1着。11月12日、観月橋ステークスも同じ鞍上で勝ち切って準オープンを抜ける。連続8戦の一番人気を、3勝と4度の2着で締めくくった。
川崎、二月一日
準オープンを勝った馬が次に選んだのは、オープン特別でも中央の重賞でもなく、いきなりのJpnIだった。2017年2月1日、川崎競馬場、ダート2100メートル。単勝は5番人気。 ルメールはゲートを出るなり先手を取り、砂の先頭で息を入れた。番手にいたミツバとケイティブレイブが直線の入口で迫ったが、そこで逆に突き放す。後方から追い込んだサウンドトゥルーが2着まで来たときには、3馬身の差がついていた。2分14秒6。前走で1600万下を勝ったばかりの五歳馬が、その日、交流JpnIの馬になった。 その頃、父はもう日本にいない。2015年の種付けを最後に種牡馬を退き、ケンタッキー州ジョージタウンの功労馬牧場オールドフレンズで暮らしていた。翌年には、輸入検疫のための試験交配すら拒んだために去勢されている。日本に置いてきた数少ない仔の一頭が川崎の砂を先頭で走り切ったことを、その馬は知らない。
勝てない季節と、姪の戴冠
川崎記念のあと、勝ち鞍は一年九か月遠のいた。名古屋大賞典5着、帝王賞6着、大井のJBCクラシック6着、浦和記念は1番人気で3着、名古屋グランプリ5着。2018年、中山のマーチステークスは12番人気の11着。中央のダート重賞では、もう人気を集める馬ではなくなっていた。 5月、船橋のかしわ記念。田辺裕信を背に、ゴールドドリームから0秒2差の2着に踏ん張る。帝王賞9着、盛岡の南部杯5着。 11月4日、京都。JBCクラシックは二桁着順に沈んだ。ところが同じ日、同じ京都の砂で、JBCレディスクラシックを勝った牝馬がいる。アンジュデジール。母はティックルピンク――オールブラッシュの半姉である。叔父が敗れた同じ午後に、姪が戴冠した。ひとつの牝系から、同じ一日に、まるで違う結末が二つ出たことになる。 そして19日後、浦和記念。4番人気、鞍上は田辺裕信。グリムに0秒9差をつけて先頭でゴールした。JpnII。二つ目のタイトルだった。
南関東へ ― 八歳の一月
2019年は勝てなかった。川崎記念は2番人気で3着、船橋のダイオライト記念も3着。かしわ記念4着、帝王賞9着、南部杯7着、浦和記念8着。 10月16日、JRAが競走馬登録抹消を発表する。船橋へ移籍と伝えられたが、実際に彼が入ったのは大井・藤田輝信厩舎だった。新馬から五年あまり預かった村山明の手を離れ、七歳の秋、南関東の馬になる。 2020年1月3日、川崎、報知オールスターカップ。8番人気。鞍上は今野忠成。三年前にJpnIを勝ったのと同じ競馬場の、同じ2100メートルである。八歳になった彼は、また先頭でゴールした。2018年の浦和記念以来の勝利で、生涯8勝目だった。 2月の報知グランプリカップはミカエル・ミシェルとのコンビが組まれたが、除外となって走れていない。 3月11日、ケンタッキーで父が世を去った。21歳。オールドフレンズで余生を送ったまま、日本に残した仔がその二か月前に川崎で勝ったことを知らずに逝った。 4月、大井のブリリアントカップで13着。5月の大井記念では3着に入った。
青森の、赤らむ血
2020年10月21日、浦和の埼玉新聞栄冠賞7着。これが43戦目、最後の一戦になった。 年が明けて、連覇の懸かる報知オールスターカップに照準を合わせていたが、腰の疲れで回避。高齢で回復が遅くなっていたこともあり、そのまま現役を退いた。九歳。43戦8勝、賞金2億5567万円。 1月5日、所有する社台レースホースが引退を発表する。サラブレッドオークションに上場する案は健康状態と年齢を考えて見送られ、北海道千歳市の社台ファームで乗馬になる――そう伝えられた。ところが6日後の1月11日、青森県十和田市のスプリングファームで種牡馬入りすることが発表される。乗馬になるはずだった馬が、父の役を引き受けることになった。 そして、父によく似ていた。青森で彼を扱う荒谷栄一は、こう言っている――「実は、積極的ではないんです」[^1]。牝馬が少しでも動くと嫌気がさす。大柄な牝馬は苦手。試行錯誤の末に見つかった手順は、発情した牝馬の匂いを嗅がせてから合わせることだった。しかも効いたのは、スノーフラワーという一頭の芦毛の匂いだけだったという。 彼を新馬から預かった村山明は、2025年3月、五十三歳で厩舎を閉じた。一番人気で敗れた騎手が、一番人気で足踏みを続けた馬を五年あまり預かり、その馬に交流JpnIを獲らせて、栗東を去ったことになる。 21億円で海を渡った父が日本に残した仔は、期待の大きさに比べればあまりに少ない。だがその少ない一頭は川崎記念を勝ち、いま北の牧場で、また少ない仔を残している。彼の産駒は川崎や浦和、盛岡や水沢、笠松や金沢の条件戦を走っている。荒谷牧場生まれのスピードブラッシュという牡馬もいる。赤らむ血は、まだ絶えていない。
出典:スポーツニッポン「オールブラッシュ 父ほうふつの種付け」2022年8月14日配信、https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2022/08/14/kiji/20220813s00004049676000c.html 、閲覧日:2026年7月27日。
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