名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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名馬録

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アリスヴェリテのイメージビジュアル
アリスヴェリテAlice Verite
Alice Verite

アリスヴェリテ

通算成績26戦4勝

獲得賞金15,048万円

生年月日 2020.04.28(令和2年)毛色 鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アリスヴェリテの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
10 GIBCディスタフ デルマー ダ1800 10人気 フレイ 映像
8 GIIIクイーンS 札幌 芝1800 6人気 池添謙一 1:47.0 上り36.8映像
5 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 15人気 池添謙一 1:32.2 上り35.4映像
4 GIII福島牝馬S 福島 芝1800 9人気 三浦皇成 1:46.7 上り35.1映像
16 GIII小倉牝馬S 小倉 芝2000 4人気 柴田裕一郎 2:00.2 上り37.9映像
4 GIBCディスタフ デルマー ダ1800 5人気 フレイ 映像
10 GIII新潟記念 新潟 芝2000 5人気 柴田裕一郎 1:59.4 上り36.4映像
1 GIIIマーメイドS 京都 芝2000 4人気 永島まなみ 1:57.2 上り36.1
1 4歳以上2勝クラス 京都 芝2000 1人気 柴田裕一郎 1:57.8 上り37.2
2 四国新聞杯 阪神 芝2000 1人気 柴田裕一郎 2:02.0 上り35.2
1 4歳以上1勝クラス 小倉 芝2000 1人気 柴田裕一郎 2:01.7 上り37.1
2 4歳以上1勝クラス 小倉 芝2000 1人気 鮫島克駿 2:02.2 上り37.0
2 3歳以上1勝クラス 中京 芝2000 1人気 西塚洸二 1:58.8 上り35.6
2 3歳以上1勝クラス 福島 芝2000 2人気 角田大和 2:02.2 上り37.4
13 GII関西TVローズS 阪神 芝1800 13人気 藤岡康太 1:44.5 上り34.2映像
2 3歳以上1勝クラス 小倉 芝2000 1人気 岩田望来 2:01.1 上り35.7
3 筑紫特別 小倉 芝1800 2人気 岩田望来 1:46.3 上り36.0
3 カーネーションC 東京 芝1800 2人気 松山弘平 1:47.5 上り34.1
2 LスイートピーS 東京 芝1800 1人気 田辺裕信 1:47.7 上り33.9
3 君子蘭賞 阪神 芝1800 3人気 藤岡康太 1:47.5 上り34.5
8 GIIチューリップ賞 阪神 芝1600 10人気 坂井瑠星 1:34.3 上り34.1映像
4 菜の花賞 中山 芝1600 1人気 石橋脩 1:36.4 上り35.5
4 つわぶき賞 中京 芝1400 1人気 D.イーガン 1:20.9 上り33.9
3 GIIIアルテミスS 東京 芝1600 6人気 田辺裕信 1:33.9 上り33.9映像
2 OP野路菊S 中京 芝2000 5人気 川田将雅 2:00.5 上り34.1
1 2歳新馬 小倉 芝1800 3人気 川田将雅 1:50.6 上り35.2

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アリスヴェリテの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キズナKizunaディープインパクトDeep ImpactサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
キャットクイルCatequilStorm Cat
Pacific Princess
ルミエールヴェリテCozzeneCaro
Ride the Trails
Play SchoolHonor Grades
Pantufla
STORY

旅程 — この馬の物語

2020年生まれの鹿毛の牝馬。父キズナ、母ルミエールヴェリテ。主な勝ち鞍はマーメイドS。

「ヴェリテ」の血 ― 真実という名

アリスヴェリテ。「アリス」は高貴な少女を指す人名に、「ヴェリテ」はフランス語で真実を意味する。母はルミエールヴェリテ――光の真実。その全兄はキメラヴェリテ。母系を貫く「ヴェリテ=真実」の一語が、この一族の背骨だった。 父はキズナ、2013年の日本ダービー馬にしてディープインパクトの子。母ルミエールヴェリテはアメリカ生まれの芦毛で、母の父はコジーン。2020年4月28日、ノースヒルズに生まれた鹿毛の牝馬は、医師・加藤誠の勝負服をまとい、栗東・中竹和也厩舎へ入った。 全兄キメラヴェリテは、2019年の北海道2歳優駿を逃げ切った馬である。門別のダートを先頭で駆け抜けた、砂の重賞ウィナー。同じ中竹厩舎に、その弟妹として届いた一頭だった。 デビューは2022年7月3日、小倉の芝1800メートル。3番人気に推された新馬戦で、中団から直線で抜け出すと、大外を追い込むトーホウガレオンを1馬身抑えて勝ち上がる。鞍上は川田将雅。真実という名の牝馬の、最初の一勝だった。

勝ち切れない季節 ― 一番人気の重さ

素質は早くから覗いていた。デビュー後は野路菊ステークスで2着、続くアルテミスステークスでは6番人気で3着に食い込む。だが、勝利の二文字だけが遠かった。 2023年、クラシックの大舞台には届かない。チューリップ賞は8着、ローズステークスでは13番人気で13着と大きく沈む一戦もあった。その一方で、格の一枚下では堅実に走る。スイートピーステークスは1番人気で2着、カーネーションカップは3着。人気を背負っては、あと半歩が届かない。 一番人気に推されながら2着に敗れる――そんなレースが、いくつも積み重なっていった。力はある。だが勝ち切れない。長いトンネルの入り口に、この牝馬は立っていた。

柴田裕一の手綱 ― 一年八か月ぶりの白星

トンネルは、下級条件でこそ深かった。2023年の秋から冬、1勝クラスで2着、また2着。1番人気に応えられない日が続く。手綱は幾人もの騎手に託され、そのたびに惜敗が刻まれた。 流れが変わったのは、柴田裕一を鞍上に迎えてからだった。2024年3月2日、小倉の芝2000メートル。1番人気に応えて、ようやく1勝クラスを突破する。デビュー勝ちから、実に一年八か月ぶりの白星だった。 そこからは速かった。四国新聞杯こそ2着に惜敗したが、5月には京都の2勝クラスを危なげなく制する。派手な決め手ではなく、折り合いと立ち回りで前をうかがう器用さ。勝ち上がりに時を要した鹿毛は、着実に階段を上りはじめていた。

マーメイドステークス ― 逃げて、ありのままに

2024年6月16日、京都。芝2000メートルのマーメイドステークスで、アリスヴェリテは4番人気だった。ハンデは軽量の50キロ。鞍上は永島まなみ。 ゲートが開くと、迷いなくハナへ。道中は後続を大きく離す大逃げを打ち、直線に向いても脚色は衰えない。2着エーデルブルーメに2馬身の差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。重賞初制覇。「一番いい形の競馬をしたいなと思っていました」[^1]――永島は、思い描いた形をそのまま現実にしてみせた。 これが永島まなみにとってJRA重賞初勝利。藤田菜七子、今村聖奈に続く、日本人女性騎手として三人目の快挙だった。前へ、前へ。全兄が門別の砂で見せた逃げの血が、妹の脚にも流れていた。真実という名の牝馬は、隠しごとのない走りで、初めての栄冠を掴んだ。

出典:東スポ競馬「【マーメイドステークス結果&コメント】アリスヴェリテが逃げ切りV 永島まなみ「一番いい形の競馬をしたいなと思っていました」」2024年6月16日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/46253、閲覧日:2026年7月17日。

デルマーの砂 ― 全兄の血が応える

重賞馬となった夏、新潟記念は10着に終わる。芝の中距離では、ここが一つの天井にも見えた。だが陣営が選んだ次の舞台は、海の向こうの、しかも砂だった。 2024年11月、アメリカ・デルマー競馬場。ブリーダーズカップ・ディスタフ。芝を走ってきた牝馬にとって、ダートは初めての地面である。鞍上はフレイ。好位の外目を追走すると、直線は一番外からじりじりと伸び、地元の女王ソーピードアンナには及ばぬものの4着に食い込んだ。初ダート、初のアメリカで、堂々たる走りだった。 中竹和也は、アメリカのダートでも走れる証しになったと手応えを口にした。門別の砂を逃げ切った全兄キメラヴェリテ――その一族に眠っていたダートの適性が、遠いカリフォルニアの砂で目を覚ました一日だった。

二度目のデルマー ― 真実のままに

5歳になった2025年は、影の多い一年だった。小倉牝馬ステークスは16着、福島牝馬ステークスは4着。ヴィクトリアマイルでは15番人気の伏兵ながら5着に粘り、力の一端を示す。だが勝ち星までは、もう届かなかった。 そして秋、彼女はもう一度デルマーへ向かった。二度目のブリーダーズカップ・ディスタフ。今度は10着に沈み、この一戦を最後に現役を退く。26戦4勝。重賞は、逃げ切ったあのマーメイドステークスただ一つだった。 だが、この牝馬は海を渡り、二度も異国の砂を駆けた。芝の重賞を制し、ダートのGIでも通用することを示してみせた。ヴェリテ――真実。名の通り、隠しごとのない逃げで走り抜いた牝馬だった。役目を終えた鹿毛は、いま母となる日々のなかにいる。芝で、砂で、海を越えて示したものを、次の命へと手渡すために。

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