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アルナシーム
通算成績28戦7勝
獲得賞金2億527万円
生年月日 2019.04.14(令和元年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 6 | GII京都大賞典 | 京都 芝2400 | 12人気 | 藤岡佑介 | 2:24.3 | 上り34.8 | 映像 | |
| 11 | GII札幌記念 | 札幌 芝2000 | 9人気 | 藤岡佑介 | 2:02.6 | 上り36.7 | 映像 | |
| 6 | GIII函館記念 | 函館 芝2000 | 9人気 | 藤岡佑介 | 1:58.2 | 上り35.0 | 映像 | |
| 15 | GI大阪杯 | 阪神 芝2000 | 14人気 | 横山典弘 | 1:58.3 | 上り36.1 | 映像 | |
| 12 | GII中山記念 | 中山 芝1800 | 5人気 | 藤岡佑介 | 1:45.9 | 上り34.8 | 映像 | |
| 1 | GIII中山金杯 | 中山 芝2000 | 4人気 | 藤岡佑介 | 1:58.1 | 上り34.6 | 映像 | |
| 11 | GIマイルチャンピオンS | 京都 芝1600 | 12人気 | 藤岡佑介 | 1:32.9 | 上り34.2 | 映像 | |
| 6 | GII富士S | 東京 芝1600 | 11人気 | 横山典弘 | 1:32.6 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GIII中京記念 | 小倉 芝1800 | 5人気 | 横山典弘 | 1:47.2 | 上り36.4 | 映像 | |
| 5 | GIIIエプソムカップ | 東京 芝1800 | 4人気 | 横山典弘 | 1:45.3 | 上り34.6 | 映像 | |
| 2 | L都大路S | 京都 芝1800 | 3人気 | 横山典弘 | 1:45.0 | 上り33.2 | — | |
| 9 | GIIIダービー卿チャレンジトロフィー | 中山 芝1600 | 9人気 | 横山和生 | 1:33.9 | 上り33.8 | 映像 | |
| 4 | GIII小倉大賞典 | 小倉 芝1800 | 1人気 | 鮫島克駿 | 1:45.4 | 上り35.2 | 映像 | |
| 11 | GIII京都金杯 | 京都 芝1600 | 2人気 | 鮫島克駿 | 1:34.8 | 上り36.0 | 映像 | |
| 1 | LカシオペアS | 京都 芝1800 | 3人気 | 鮫島克駿 | 1:44.7 | 上り34.4 | — | |
| 8 | OPケフェウスS | 阪神 芝2000 | 3人気 | 坂井瑠星 | 1:58.4 | 上り37.4 | — | |
| 6 | GIII函館記念 | 函館 芝2000 | 6人気 | 鮫島克駿 | 2:01.9 | 上り36.5 | 映像 | |
| 1 | 垂水S | 阪神 芝1800 | 3人気 | 坂井瑠星 | 1:44.7 | 上り33.9 | — | |
| 4 | 心斎橋S | 阪神 芝1400 | 1人気 | 坂井瑠星 | 1:20.2 | 上り33.1 | — | |
| 10 | 武庫川S | 阪神 芝1600 | 1人気 | 鮫島克駿 | 1:35.2 | 上り34.4 | — | |
| 6 | 秋色S | 東京 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:32.4 | 上り33.7 | — | |
| 1 | 瀬戸内海特別 | 阪神 芝1600 | 1人気 | 福永祐一 | 1:32.5 | 上り33.4 | — | |
| 1 | 城崎特別 | 阪神 芝1800 | 1人気 | 福永祐一 | 1:46.2 | 上り33.8 | — | |
| 7 | GIIフジTVスプリングS | 中山 芝1800 | 4人気 | 福永祐一 | 1:49.2 | 上り35.3 | 映像 | |
| 2 | つばき賞 | 阪神 芝1800 | 3人気 | 福永祐一 | 1:49.8 | 上り32.9 | — | |
| 4 | GI朝日杯フューチュリティステークス | 阪神 芝1600 | 8人気 | 池添謙一 | 1:34.0 | 上り34.7 | 映像 | |
| 6 | GII東京スポーツ杯2歳S | 東京 芝1800 | 3人気 | 武豊 | 1:47.3 | 上り35.4 | 映像 | |
| 1 | 2歳新馬 | 函館 芝1800 | 2人気 | 武豊 | 1:50.1 | 上り35.4 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父モーリスMaurice | スクリーンヒーローScreen Hero | グラスワンダーGrass Wonder |
| ランニングヒロイン | ||
| メジロフランシス | カーネギーCarnegie | |
| メジロモントレー | ||
| 母ジュベルアリ | ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence |
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | ||
| ドバイマジェスティDubai Majesty | Essence of Dubai | |
| Great Majesty |
旅程 — この馬の物語
2019年生まれの鹿毛の牡馬。父モーリス、母ジュベルアリ。主な勝ち鞍は中京記念・日刊スポ賞中山金杯。
海風の名 ― 名と血
アルナシーム。アラビア語で「海風」を意味するその名は、母ジュベルアリから連想された。母の名もまた、ドバイの港湾都市ジュベルアリを負ったアラビア語である。砂漠の国の言葉を二代にわたって受け継いだこの一族は、しかし紛れもない日本の良血だった。 母ジュベルアリの父はディープインパクト、母は二〇一〇年にブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリントを制し、その年のアメリカ最優秀短距離牝馬に選ばれた女傑ドバイマジェスティ。そしてジュベルアリの全弟には、皐月賞と大阪杯を勝ったアルアイン、東京優駿とドバイシーマクラシックを制したシャフリヤールがいる。つまりアルナシームは、ダービー馬と皐月賞馬を叔父に持つ甥だった。父はマイル王モーリス。ノーザンファームに生まれ、サラブレッドクラブライオンの一頭となった鹿毛に、期待が寄せられないはずはなかった。
函館の夏 ― 武豊の見た素質
二〇二一年七月四日、函館の芝千八百メートル。二番人気に推された新馬戦で、鞍上には武豊がいた。良血の二歳馬は、この一戦を危なげなく勝ち上がる。 続く東京スポーツ杯二歳ステークスも武豊が手綱を取ったが、積極的に前で運んだ末に伸びを欠いて六着。暮れの朝日杯フューチュリティステークスは八番人気ながら池添謙一を背に四着と食い下がった。一線級のマイル戦で通用する素質は見せる。だが、勝ち切るには何かが足りない――良血の輪郭は、まだぼやけたままだった。
一番人気の重さ ― 勝てない好素材
三歳を迎えると、手綱は福永祐一に託された。城崎特別、瀬戸内海特別と、条件戦を一番人気で連勝する。力はある。しかし秋色ステークスでは一番人気を裏切って六着に沈み、翌年の武庫川ステークスもまた一番人気で十着。福永が騎手を退いて調教師へ転じたあとも、この馬が向き合う相手は、良血という自分自身の物差しだった。 垂水ステークス、カシオペアステークスと格の低い舞台では確かに勝つ。だが京都金杯十一着、小倉大賞典は一番人気で四着。オープンの壁は越えても、重賞という一枚上の扉の前で、決まって足踏みした。寄せられる重い期待を、勝ち星の数がなかなか埋められない。デビューから丸三年が近づいていた。
小倉の直線 ― 横山典弘、報われた良血
二〇二四年七月二十一日、中京記念。夏の小倉に舞台を移したこの一戦で、アルナシームは五番人気だった。鞍上は横山典弘。中団で脚をため、四コーナーで馬群の間を割って抜け出すと、内から食い下がる二番人気エピファニーを、クビ差だけ抑え込んだ。 二十戦目にして、初めての重賞。良血と呼ばれ続けた鹿毛が、デビューから三年をかけて、ようやくその名にふさわしい格を手にした瞬間だった。手綱を取った横山は、JRA最年長の重賞制覇記録を自ら更新するベテランである。派手な追い込みではない。繊細なこの馬のリズムを、乱さぬように運んだだけだ。「繊細な馬なので馬のリズムだけ気をつけました」[^1]。老練の騎手は、勝因をそう言い切った。
出典:東スポ競馬「【中京記念結果&コメント】アルナシームが重賞初制覇 横山典「繊細な馬なので馬のリズムだけ気をつけました」」2024年7月21日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/47421、閲覧日:2026年7月18日。
中山金杯 ― 受け継がれた見立て
年が明けた二〇二五年一月五日、中山金杯。ここで手綱を継いだのは藤岡佑介だった。藤岡には一つの見立てがあった。マイルでは流れが忙しい、この馬には二千メートルの方が向く――そしてその読みの背には、前の主戦だった横山典弘から伝えられた、中距離こそ合うのではないかという同じ見立てがあった。 五十八キロのハンデを背負い、四番人気。中団に控えたアルナシームは、直線で馬群を割って力強く伸び、後方から追い込むマイネルモーントを一馬身四分の一退けた。一番人気クリスマスパレードは四着に敗れている。「前走にはない手応えで4角を回ってくることができました」[^1]。藤岡はそう振り返った。二千メートルで掴んだ重賞二勝目。マイラーと見られていた鹿毛は、前の主戦が遺した理解を新しい主戦が引き継いだことで、中距離という新しい間合いに居場所を見つけた。
出典:東スポ競馬「【中山金杯結果&コメント】アルナシームが差し切り 藤岡佑介「前走にはない手応えで4角を回ってくることができました」」2025年1月5日配信、https://tospo-keiba.jp/breaking_news/53751、閲覧日:2026年7月18日。
海風、やむ ― 六歳の秋
重賞二勝目のあと、六歳のアルナシームはふたたび勝ち星から遠ざかる。中山記念十二着、大阪杯十五着。函館記念、札幌記念、京都大賞典と、掲示板の内と外を行き来する日々が続いた。それでも陣営は、暮れの有馬記念という大舞台を見据えていた。 滋賀・ノーザンファームしがらきで態勢を整えていた矢先、右前脚に種子骨靱帯炎を発症する。有馬記念は断念され、二〇二五年十一月、競走馬としての登録は抹消された。二十八戦七勝、重賞二勝。調教師の橋口慎介は、多くのファンに愛された馬だったと、その現役生活を惜しんだ。 ダービー馬と皐月賞馬を叔父に持ちながら、この馬が頂へ近づくには、人より長い時間が要った。良血の重さに急かされることなく、五歳と六歳で二つの重賞を掴んだ歩みは、遅れてきたぶんだけ確かだった。海風の名を負った鹿毛は、走ることをやめ、乗馬として新しい時間へ入っていく。函館の芝を勝ち上がったあの夏から、たしかに一本の道が続いている。
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