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アカイトリノムスメ
通算成績8戦4勝
獲得賞金2億2,268万円
生年月日 2018.04.16(平成30年)毛色 黒鹿毛性 牝
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 除 | GIIサンスポ杯阪神牝馬S | 阪神 芝1600 | 戸崎圭太 | — | 映像 | |||
| 7 | GIエリザベス女王杯 | 阪神 芝2200 | 2人気 | 戸崎圭太 | 2:12.6 | 上り36.7 | 映像 | |
| 1 | GI秋華賞 | 阪神 芝2000 | 4人気 | 戸崎圭太 | 2:01.2 | 上り35.9 | 映像 | |
| 2 | GI優駿牝馬 | 東京 芝2400 | 2人気 | C.ルメール | 2:24.6 | 上り34.4 | 映像 | |
| 4 | GI桜花賞 | 阪神 芝1600 | 4人気 | 横山武史 | 1:31.3 | 上り33.9 | 映像 | |
| 1 | GIIIデイリー杯クイーンカップ | 東京 芝1600 | 2人気 | 戸崎圭太 | 1:33.3 | 上り34.4 | 映像 | |
| 1 | 赤松賞 | 東京 芝1600 | 1人気 | 横山武史 | 1:34.5 | 上り33.9 | — | |
| 1 | 2歳未勝利 | 東京 芝1600 | 2人気 | 戸崎圭太 | 1:35.9 | 上り34.7 | — | |
| 7 | 2歳新馬 | 新潟 芝1600 | 1人気 | 戸崎圭太 | 1:36.8 | 上り34.3 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父ディープインパクトDeep Impact | サンデーサイレンスSunday Silence | Halo |
| Wishing Well | ||
| ウインドインハーヘアWind in Her Hair | Alzao | |
| Burghclere | ||
| 母アパパネApapane | キングカメハメハKing Kamehameha | Kingmambo |
| マンファスManfath | ||
| ソルティビッド | Salt Lake | |
| Piper Piper |
旅程 — この馬の物語
2018年生まれの黒鹿毛の牝馬。父ディープインパクト、母アパパネ。主な勝ち鞍は秋華賞・デイリー杯クイーンC。
赤い鳥の娘 ― 名前と血
名前が、そのまま血の告白だった。 2018年4月16日、安平のノーザンファームに黒鹿毛の牝馬が生まれる。父は2005年の三冠馬ディープインパクト、母は2010年に牝馬三冠を戴いたアパパネ。父も母も、世代の頂点を勝ち取った血である。 アパパネ――ハワイに棲む緋色の小鳥の名を、母は負っていた。その娘に金子真人ホールディングスが授けたのが、アカイトリノムスメ。赤い鳥の娘。名前がそのまま、あの三冠牝馬の血を引く一頭だと名乗っていた。 母アパパネを美浦の国枝栄が三冠へ導いてから、十年あまり。その同じ厩舎に、娘は預けられた。アパパネの産駒で、初めての牝馬でもある。兄のモクレレ、ジナンボー、ラインベックはいずれも牡かせん馬で、母の走りを牝馬として継ぐのは、この赤い鳥の娘が最初だった。手綱は主に戸崎圭太が執る。母の名に恥じぬ走りができるか――問いは、生まれたときからこの牝馬にかかっていた。
母の足跡をたどる ― デビューから重賞へ
最初の一戦は、母のようにはいかなかった。 2020年8月、新潟の芝1600メートル。単勝1番人気に推されながら、アカイトリノムスメは7着に沈む。だが二戦目の未勝利を戸崎圭太で勝ち上がると、続いて向かったのは東京の赤松賞――かつて母アパパネが2歳の秋に勝った、同じ一戦だった。横山武史を背に、娘もここを制する。母がたどった道を、娘が一つずつ踏み直していく。 明けて2021年、デイリー杯クイーンカップ。戸崎が手綱に戻り、アールドヴィーヴルをクビ差しのいで重賞初制覇。時計は1分33秒3。桜花賞への切符を、赤い鳥の娘は自らの脚で掴んだ。
春の二敗 ― 母が勝った二冠に届かず
母は、桜花賞もオークスも勝っていた。娘は、その二つに手が届かなかった。 主戦の戸崎がドバイ遠征の検疫で不在となり、桜花賞は横山武史が跨る。だが4番人気の評価どおり、無敗のソダシの前に4着。母が制した一冠目を、娘は落とした。 続く優駿牝馬は鞍上をC.ルメールに替え、2番人気で臨む。府中の長い直線、内から鋭く伸びたアカイトリノムスメは、しかし中団の外から抜け出したユーバーレーベンを捉えきれず、1馬身差の2着に終わる。ペースが遅く折り合いを欠いた、とルメールは振り返った。母が二歳女王から樫の女王まで駆け上がった春を、娘は二度、あと一歩で敗れて過ごした。悔しさだけが、秋への燃料になった。
秋華賞 ― 母娘制覇
京都競馬場が改修で使えず、秋華賞は創設26回目にして初めて阪神で行われた。 逃げるエイシンヒテン、その直後で単勝1.9倍の断然人気ソダシが正攻法に構える。アカイトリノムスメは好位の5、6番手、ソダシを射程に見る外目を折り合って進んだ。3コーナーを過ぎてペースが上がると進出を開始し、直線は渾身のスパート。残り200メートルでソダシを交わし、粘るエイシンヒテンも捉える。内から割ってきたローズステークス勝ちのアンドヴァラナウト、外から急追する紫苑ステークス勝ちのファインルージュ――左右からの追い比べを、赤い鳥の娘は競り勝った。 戸崎圭太にとって初めての秋華賞であり、母アパパネを勝たせた同じ一冠を、国枝栄はふたたび娘で手にした。母と娘がそろって同じ一冠を勝つのは史上初。しかも、同じ厩舎からの母娘制覇だった。名前が背負ってきた問いに、アカイトリノムスメはついに自分の走りで答えた。 ゴール後、戸崎は、この馬はまだ成長すると続けた。母が古馬になってヴィクトリアマイルを勝ったように、娘の時計もこれから、と。
エリザベス女王杯 ― 母が越えられなかった壁
母アパパネが、ただ一つ勝てなかった国内の牝馬GIがある。エリザベス女王杯。2010年も2011年も、母はここを3着までしか走れなかった。 三冠最終戦を勝った勢いのまま、アカイトリノムスメは2番人気で母の忘れ物を取りに向かう。だが阪神の2200メートルは前で運ぶ馬に楽をさせ、直線で娘の脚は伸びを欠いた。7着。母が届かなかった一冠は、娘の前でも扉を開かなかった。血は、勝ち鞍だけでなく、越えられなかった壁までよく似ていた。
羽を広げる番 ― 引退と血の継承
暮れを休養にあて、2022年春、アカイトリノムスメは阪神牝馬ステークスで復帰するはずだった。 ところが当日、馬場へ入場する途中でこの牝馬は外傷を負う。診断は右第三趾骨の骨折。出走はかなわず除外となり、5月、競走馬登録を抹消して繁殖牝馬となった。8戦4勝。母のような長い現役は、故障が許さなかった。 それでも、母から受け取ったものは消えない。アパパネが牝馬三冠でつかんだ一冠を、娘は自分の脚で勝ち取った。緋色の小鳥の血は、鳥の名を継ぐ弟バードウォッチャーやアマキヒへも流れ、一族は名を絶やさない。2024年、アカイトリノムスメは母となり、最初の仔を迎えた。赤い鳥の娘が、こんどは赤い鳥になる。羽を広げる番が、また巡ってきた。
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