名馬の記憶を、
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年表ICHINEN-ISSO — 2400m

BOKUJŌ-CHŌ — HOKKAIDO

牧場帖

一年ずつ、顔ぶれをたどる。引退した名馬たちの繋養・在籍と映像を綴る帳面。
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アドマイヤマツリのイメージビジュアル
アドマイヤマツリAdmire Matsuri
Admire Matsuri

アドマイヤマツリ

通算成績11戦5勝

獲得賞金152万円

生年月日 2021.02.06(令和3年)毛色 黒鹿毛

全成績

主要戦績(抜粋)・新しい順
アドマイヤマツリの成績一覧
年月日着順レースコース人気騎手タイム上り3F映像
7 GIIアイルランドT 東京 芝1800 2人気 武豊 1:46.2 上り33.7映像
7 GIヴィクトリアマイル 東京 芝1600 6人気 田辺裕信 1:32.4 上り34.8映像
1 GIII福島牝馬S 福島 芝1800 1人気 田辺裕信 1:46.2 上り34.6映像
1 スピカS 中山 芝1800 1人気 田辺裕信 1:46.7 上り35.4
2 初音S 東京 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:45.5 上り34.1
1 オリエンタル賞 東京 芝2000 3人気 戸崎圭太 1:59.4 上り33.8
1 3歳以上1勝クラス 東京 芝1800 2人気 戸崎圭太 1:46.4 上り33.1
1 3歳未勝利 東京 芝1800 1人気 戸崎圭太 1:48.0 上り33.5
2 3歳未勝利 中山 芝2000 1人気 川田将雅 2:01.5 上り35.6
2 3歳未勝利 東京 芝1800 7人気 戸崎圭太 1:46.5 上り34.3
7 2歳新馬 中山 芝2000 4人気 戸崎圭太 2:02.8 上り35.4

血統

金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ
アドマイヤマツリの血統表(左から親・祖父母・曽祖父母)
キタサンブラックKitasan BlackブラックタイドサンデーサイレンスSunday Silence
ウインドインハーヘアWind in Her Hair
シュガーハートサクラバクシンオーSakura Bakushin O
オトメゴコロ
アドマイヤナイトアドマイヤムーンAdmire MoonエンドスウィープEnd Sweep
マイケイティーズ
アドマイヤカグラスペシャルウィークSpecial Week
シーズライクリオShes Like Rio
STORY

旅程 — この馬の物語

2021年生まれの黒鹿毛の牝馬。父キタサンブラック、母アドマイヤナイト。主な勝ち鞍は福島牝馬S。

「マツリ」という名 ― 父から継いだ祭り

2021年2月6日、北海道のスマイルファームで、黒鹿毛の牝馬が生まれた。父はキタサンブラック、母はアドマイヤナイト。牧場のスタッフは、この仔をはやくから「マツリ」と呼んでいた。 父キタサンブラックの馬主は、演歌界の大御所・北島三郎。愛馬が勝つたび、東京競馬場のスタンドでは北島の代表曲『まつり』が歌い上げられ、何万もの観衆が手拍子で和した。キタサンブラックの産駒だから、祭り――牧場の呼び名には、父の記憶がそのまま宿っていた。生産したスマイルファームの中村広樹は、オーナーの近藤旬子が見に来たときも「僕らは『マツリです』と紹介していました」と振り返る[^1]。その幼名を近藤が気に入り、冠名アドマイヤに重ねて登録した。アドマイヤマツリ。名は、父から継いだものだった。 2023年12月16日、中山芝2000mの新馬戦。鞍上は戸崎圭太。4番人気に推されたが、後方から脚を伸ばしても前は捕まらず、ターコイズフリンジの7着に終わる。祭りの支度は、まだ始まったばかりだった。

出典:中日スポーツ「【村本浩平コラム】アドマイヤマツリ・北島三郎氏の代表曲が馬名の由来…ヴィクトリアマイルで『祭り』の活躍期待」2025年5月14日配信、https://www.chunichi.co.jp/article/1066297、閲覧日:2026年7月16日。

四戦目の初勝利 ― 戸崎圭太と登る

明けて2024年、アドマイヤマツリは二戦つづけて2着に敗れる。2月の東京・3歳未勝利は7番人気での好走、3月の中山は1番人気に推されての惜敗と、勝ち切れない日が続いた。 転機は6月8日、東京芝1800m。戸崎圭太を背に1番人気に応え、アイソーザライトとの叩き合いをハナ差で制して、四戦目でついに未勝利を脱した。ここから一変する。秋には1勝クラスを勝ち上がり、11月のオリエンタル賞は距離を2000mに延ばして3番人気での完勝。中団から鋭く伸びる差し脚が、勝ちを呼ぶ形になっていた。デビュー戦の7着から、戸崎が一戦ごとに階段を組み立てていた。

手綱が渡る ― 重賞の扉の前で

2025年の初音S。1番人気に支持されたが、アドマイヤマツリは戸崎圭太を背に、あと一歩届かず2着に敗れた。結果として、これが戸崎の最後の騎乗になった。デビューから初勝利、そしてオープンまで――この馬を育て上げた男の手綱は、重賞の一歩手前で離れることになる。 3月のスピカS、鞍上は田辺裕信に替わる。乗り替わりの経緯は語られていない。ただ田辺は、初騎乗の中山1800mを1番人気に応えて勝ち切り、次の舞台への手形をきっちり握らせた。作り上げた者と、頂で手綱を取る者。競馬にはしばしば、そういう受け渡しがある。

福島の祭り ― 福島牝馬S

2025年4月20日、福島芝1800m。福島牝馬ステークス、GIII。1番人気に推されたアドマイヤマツリは、道中を先団の後ろで折り合い、勝負どころの3・4コーナーで好位まで押し上げると、直線で堂々と抜け出した。2着に2馬身の差。危なげのない、格の違う勝ち方だった。唯一の重賞タイトルを、名の通りの「祭り」で掴んだ一日である。 鞍上の田辺裕信は、この勝利で福島競馬場の重賞を完全制覇した。父キタサンブラックの血を継ぐ牝馬が、その名の由縁――北島三郎の『まつり』――を、はじめてタイトルの形で証してみせた。

頂への挑戦、そして名の生まれた地へ

重賞馬となって迎えた5月のヴィクトリアマイル。初めてのGIの舞台で、アドマイヤマツリは2番手から積極的に運んだが、直線で余力を欠いて7着。マイルの一線級との差は、正直に出た。 秋、アイルランドトロフィーで手綱を取ったのは武豊だった。かつて父キタサンブラックの主戦を務め、幾多のGIをともに制した男である。好スタートからハナを主張して軽快に逃げたが、直線で後退して7着。父の背にあった手が、娘の一戦を引いていた。 それが、最後のレースになった。11月のエリザベス女王杯に登録しながら、追い切り後に右後肢の歩様が乱れて出走を回避。11月20日、四歳のアドマイヤマツリは競走馬登録を抹消され、繁殖牝馬となることが発表された。帰る先は、生まれ故郷のスマイルファーム。「マツリ」と呼ばれ、その名を授かった牧場である。 父から継いだ名を、今度は自分が次へ渡す番になった。祭りの提灯に灯がともるように、その血がまた走り出す日を、静かに待てばいい。

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