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アジュディミツオー
通算成績27戦10勝
獲得賞金5億9,640万円
生年月日 2001.06.02(平成13年)毛色 鹿毛性 牡
全成績
主要戦績(抜粋)・新しい順| 年月日 | 着順 | レース | コース | 人気 | 騎手 | タイム | 上り3F | 映像 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10 | JpnⅠ帝王賞 | 大井 ダ2000 | 6人気 | 石崎隆之 | 2:08.5 | 上り41.0 | — | |
| 8 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 7人気 | 三浦皇成 | 1:38.4 | 上り38.8 | — | |
| 2 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 2人気 | 内田博幸 | 1:39.7 | 上り39.0 | — | |
| 6 | JpnⅡダイオライト記念 | 船橋 ダ2400 | 5人気 | 佐藤裕太 | 2:37.2 | 上り41.9 | — | |
| 2 | JpnⅠかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 3人気 | 内田博幸 | 1:37.7 | 上り36.9 | — | |
| 14 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 7人気 | 内田博幸 | 1:36.4 | 上り37.3 | 映像 | |
| 2 | JpnⅠ川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 内田博幸 | 2:14.2 | 上り40.2 | — | |
| 5 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 1人気 | 内田博幸 | 2:04.6 | 上り38.6 | — | |
| 1 | GI帝王賞 | 大井 ダ2000 | 2人気 | 内田博幸 | 2:02.1 | 上り37.0 | — | |
| 1 | GIかしわ記念 | 船橋 ダ1600 | 1人気 | 内田博幸 | 1:38.6 | 上り38.0 | — | |
| 1 | マイルグランプリ | 大井 ダ1600 | 1人気 | 内田博幸 | 1:37.2 | 上り38.3 | — | |
| 7 | GIフェブラリーS | 東京 ダ1600 | 5人気 | 内田博幸 | 1:36.0 | 上り36.5 | 映像 | |
| 1 | GI川崎記念 | 川崎 ダ2100 | 2人気 | 内田博幸 | 2:12.8 | 上り40.4 | — | |
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 4人気 | 内田博幸 | 2:03.1 | 上り37.5 | — | |
| 10 | GIジャパンカップダート | 東京 ダ2100 | 4人気 | 内田博幸 | 2:10.5 | 上り39.0 | 映像 | |
| 4 | GIII東京中日S杯武蔵野S | 東京 ダ1600 | 5人気 | 内田博幸 | 1:35.9 | 上り37.4 | — | |
| 3 | GII日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 2人気 | 内田博幸 | 1:53.1 | 上り39.6 | — | |
| 6 | GIドバイワールドカップ | アラブ首長国連邦 ダ2000 | 内田博幸 | 2:04.7 | — | 映像 | ||
| 1 | GI東京大賞典 | 大井 ダ2000 | 3人気 | 内田博幸 | 2:02.6 | 上り37.2 | — | |
| 2 | GIJBCクラシック | 大井 ダ2000 | 6人気 | 内田博幸 | 2:02.6 | 上り37.0 | 映像 | |
| 2 | GII日本テレビ盃 | 船橋 ダ1800 | 4人気 | 内田博幸 | 1:49.8 | 上り36.0 | — | |
| 3 | 黒潮盃 | 大井 ダ1800 | 1人気 | 佐藤隆 | 1:53.6 | 上り39.3 | — | |
| 4 | GIジャパンダートダービー | 大井 ダ2000 | 1人気 | 佐藤隆 | 2:05.2 | 上り38.5 | — | |
| 1 | 東京ダービー | 大井 ダ2000 | 2人気 | 佐藤隆 | 2:05.2 | 上り39.2 | — | |
| 1 | 東京湾C | 船橋 ダ1800 | 3人気 | 佐藤隆 | 1:52.2 | 上り39.2 | — | |
| 1 | 3歳 アイウ | 船橋 ダ1500 | 1人気 | 佐藤隆 | 1:36.4 | 上り39.2 | — | |
| 1 | 特選 | 船橋 ダ1000 | 1人気 | 石崎隆之 | 1:00.9 | 上り37.7 | — |
血統
金色の名は 名馬ジャーニー に掲載 — その馬のページへ| 父アジュディケーティングAdjudicating | Danzig | Northern Dancer |
| Pas de Nom | ||
| Resolver | Reviewer | |
| Lovely Morning | ||
| 母オリミツキネン | ジャッジアンジェルーチJudge Angelucci | Honest Pleasure |
| Victorian Queen | ||
| ウサロマン | トンピオン | |
| ビートフラワー |
旅程 — この馬の物語
2001年生まれの鹿毛の牡馬。父アジュディケーティング、母オリミツキネン。主な勝ち鞍は東京大賞典・川崎記念・かしわ記念。
血統表の上で組まれた配合
船橋の川島正行は、自分で血統表を書き出してクロスを調べる調教師だった。北海道の牧場へ足を運んでは配合を勧め、生まれてきた仔を馬主に薦める。結果を出すには馬そのものの資質がいる、というのが理屈である。「やみくもに生産していても馬は走ってくれませんよ」[^1] 静内の藤川ファームに、オリミツキネンという栗毛の牝馬がいた。1994年生まれ。船橋の厩舎に入り、23戦して8勝を挙げてから繁殖に上がっている。派手な勝ち鞍はない。それでも三年、南関東の砂を走り切った母だった。 この母にアジュディケーティングを配せば、四代目と五代目にBold Ruler、五代目どうしにGrey Flightが重なる。川島は牧場にそう伝えた。爆発的に走る馬の血統表には、その辺りにクロスが出ていることが多い。それが彼の見立てだった。 2001年6月2日、その仔が静内で生まれる。鹿毛の牡馬。名は父の頭を取り、母の馬主だった織戸光男の名を継いで、アジュディミツオーになった。馬を持ったのは織戸眞男。厩舎は船橋の川島正行、担当の厩務員は藤川伸也である。 市場には出ていない。牧場と厩舎のあいだで完結した一頭だった。 2003年9月15日、船橋のダート1000メートル。7頭立ての新馬戦を1番人気で、1分00秒9で勝った。鞍上は石崎隆之。当時の南関東でいちばん前を走っていた騎手のひとりである。 そして、この馬は翌春まで走らなかった。
出典:JBISサーチ「『あの人に聞く!』JBIS-Search活用術 第4回 調教師 川島正行さん」、https://enjoy.jbis.or.jp/method/04 、閲覧日:2026年8月2日。
四連勝
2004年4月13日、船橋のダート1500メートル。七か月ぶりの一戦は佐藤隆に乗り替わり、1番人気に応えて、2着に1秒の差をつけた。5月12日の東京湾カップも勝つ。三戦三勝、どれも危なげがなかった。 6月3日、大井の東京ダービー。南関東の三歳が、この2000メートルに一年で一度だけ集まる日である。 1番人気はベルモントストームだった。五戦して五勝、そのすべてを四馬身以上の差で勝ってきた馬で、手綱は石崎隆之が取っていた。新馬戦でアジュディミツオーに乗っていた男が、この日は一番人気の側にいたことになる。 アジュディミツオーは2番人気。ゲートが開くと迷わず前へ出て、そのまま誰にも渡さなかった。2分5秒2。2着は的場文男のキョウエイプライドで、差は2馬身半。1番人気は4着に終わっている。 デビューから四連勝。三歳の南関東で、いちばん高いところに立った。
雪の東京大賞典
夏は続かなかった。7月8日のジャパンダートダービーは1番人気で4着。8月4日の黒潮盃も1番人気で3着。二度続けて、支持に応えられなかった。 9月23日、船橋の日本テレビ盃から鞍上が替わる。内田博幸、当時34歳。1989年に大井でデビューし、追える若手として名は知られていたが、的場文男や石崎隆之のいる南関東では長く二番手以下にいた騎手である。その2004年、彼は385勝を挙げて初めて南関東のリーディングを取った。順番がようやく回ってきた年に、この馬が背へ乗せたことになる。 不良馬場の日本テレビ盃は2着。11月3日のJBCクラシックは、アドマイヤドンに0秒2届かず2着だった。 12月29日、大井。東京大賞典の日は雪が降り、ダートは重馬場になっている。1番人気はジャパンカップダートを勝ってきたタイムパラドックス。2番人気はダービーグランプリを勝ったパーソナルラッシュ。アジュディミツオーは3番人気だった。 雪の中を先頭で行き、そのまま帰ってきた。2分2秒6、2着ユートピアまで3馬身。1番人気は4着、2番人気は9着だった。 南関東の所属馬がこのレースを勝つのは、1998年のアブクマポーロ以来六年ぶりだった。
砂漠へ行って、暮れに取り返す
2005年3月26日、ナド・アルシバ競馬場。ドバイワールドカップに地方競馬の所属馬が招かれたのは、これが初めてだった。騎手にとっても同じである。 12頭立ての6着。勝ったのはアメリカのロージズインメイだった。 帰国後は検疫などの事情で夏を棒に振り、9月の日本テレビ盃3着でようやく戻ってくる。10月29日の武蔵野ステークスは初めての東京競馬場だった。59キロを背負い、芝から発走してダートへ入る1600メートルになじめず4着。11月のジャパンカップダートでは走行中に蹄鉄が外れ、10着に沈んだ。 兄がドバイへ渡った年の夏、セレクトセールに一頭の当歳が上場されている。父も母も同じ、四つ下の全弟だった。5250万円の値がつく。兄のほうは市場を経ずに船橋へ来た馬である。弟は美浦の厩舎に入り、28戦して5勝。重賞の舞台には届かなかった。 12月29日、大井。二度目の東京大賞典に4番人気で出た。前の年より14キロ重い534キロ。それでもやることは変わらない。先頭に立ち、誰にも渡さない。2分3秒1、2着シーキングザダイヤに1馬身半。 東京大賞典を連覇した馬は、それまで一頭もいなかった。川島正行にとっても、調教師として初めての連覇である。 この年、内田博幸は465勝を挙げ、大井・川崎・船橋・浦和の四場すべてでリーディングを取っている。 そしてドバイの翌年、オリミツキネンにはロージズインメイが配された。2007年に生まれたその牝馬をベストフューチャーという。砂漠で先に行った馬の血が、静内の同じ母のところへ来たことになる。
南関東を、全部
2006年1月25日、川崎記念。稍重の2100メートルで、1番人気はシーキングザダイヤだった。逃げるアジュディミツオーへ直線で並びかけたが、クビだけ足りない。前年暮れの東京大賞典から、統一GIを二つ続けたことになる。 2月19日のフェブラリーステークスは、また芝の発走でつまずいた。後方からになって7着。勝ったのはカネヒキリである。 4月12日、大井のマイルグランプリ。不良馬場を1分37秒2で駆け、2着に5馬身をつけてコースレコードを書き換えた。 5月5日、船橋のかしわ記念。1番人気。出るなり先頭に立ち、流れを自分の手に握ったまま直線を向く。2着はブルーコンコルド、3着はサカラート。二月の東京で先着を許した二頭を、船橋のマイルでは置いていった。 これで川崎記念、かしわ記念、東京大賞典。南関東の古馬統一GIのうち三つが、この馬のものになった。残りはひとつだけである。
一騎打ち、二分二秒一
2006年6月28日、大井。晴れ、ダートは良。帝王賞である。 1番人気はカネヒキリだった。前年のJRA賞最優秀ダートホース。この相手とはそれまで三度走って、三度とも先に行かれている。武蔵野ステークス、ジャパンカップダート、フェブラリーステークス。どれも中央の競馬場だった。南関東で顔を合わせるのは、この日が初めてになる。 鞍上の武豊には連覇がかかっていた。内田博幸のほうは、このレースをまだ一度も勝っていない。 アジュディミツオーは2番人気。馬体は514キロで、かしわ記念のときから16キロ絞れていた。 ゲートが開く。先頭は譲らない。 向正面が過ぎる。三コーナーが過ぎる。 直線を向いた。カネヒキリが並びかけてくる。ここから先は、この二頭だけのレースになった。 この日は、そこから先が違った。並ばれてから、差が詰まらない。 先に板を過ぎたのは、ずっと先頭にいたほうである。間は一馬身。 2分2秒1。大井のダート2000メートルのコースレコードだった。三着のサイレントディールは、六馬身うしろにいる。
骨瘤と、渡っていった相棒
帝王賞のあと、骨瘤を発症した。秋のJBCクラシックには間に合わない。復帰は年末の東京大賞典になり、1番人気に推されながら先頭を奪えず5着。同じレースの三連覇はここで止まった。 それでもこの一年で、南関東の古馬統一GIは四つとも埋まっている。統一ダートGIの五勝目でもあった。それまでに五つ勝った馬はアドマイヤドンだけで、地方所属では初めてである。NARグランプリの年度代表馬には二年続けて選ばれた。内田博幸は年間524勝を挙げて佐々木竹見の505勝を塗り替え、川島正行は南関東で年間100勝に届いている。馬と騎手と調教師が、そろって頂点にいた一年である。 2007年の初戦は川崎記念。逃げたが、二周目の四コーナーから直線の入口にかけてヴァーミリアンにかわされ、6馬身離されて2着。2月のフェブラリーステークスは芝の発走で置かれて14着。中央では通算四回走り、一度も勝てないままだった。 5月2日、船橋のかしわ記念。連覇のかかった一戦もまた逃げたが、直線で内からブルーコンコルドに詰め寄られ、かわされて2着。ここから長い休みに入る。 2008年は3月5日のダイオライト記念に一度だけ出て6着。鞍上は川島厩舎の佐藤裕太だった。 その四日前、3月1日付で内田博幸はJRAの騎手になっている。地方での通算成績は17680戦3153勝。移籍初日の中山第1競走を勝ち、その年のうちに宝塚記念と菊花賞を獲った。 2009年3月26日、大井のマイルグランプリ。一年ぶりに戻ってきた馬の背に、中央の騎手になった内田がいた。逃げて、直線でロイヤルボスにかわされて2着。 5月5日のかしわ記念は三浦皇成が乗って8着。6月24日の帝王賞は石崎隆之に戻って10着だった。デビュー戦で手綱を取った男が、最後の一戦の鞍上になった。
ゼッケン2
2009年8月20日、調教中に左後肢の中筋を痛めた。関係者で話し合い、現役を退くことが決まる。 11月18日、船橋競馬場。引退式で背に載せられたゼッケンは「2」だった。三年半前、この同じ競馬場でかしわ記念を勝った日の番号である。手綱は内田博幸が取った。中央へ移って二年目のこの年、彼は146勝を挙げてJRAのリーディングジョッキーになり、翌春には東京優駿を勝つ。名前は、もう全国に届いていた。 中央では四回走って勝てず、砂漠でも勝てなかった。この馬が先頭で帰ってきた十のレースは、すべて船橋と大井と川崎で行われている。遠くまで出かけた先ではなく、生まれたときから決まっていた三つの競馬場の上でだけ、この鹿毛は日本でいちばん強いダート馬だった。2011年、大井を主催する組合がファン投票で二十五の名レースを選んでいる。一位はあの六月の帝王賞だった。遠征でも海外でもない、地元の二千メートルである。 血統表の四代目と五代目に重なりを見つけ、牧場にそう配合しろと伝えた男がいた。やみくもに生産していても馬は走らない、と彼は言った。その言葉どおりに生まれた鹿毛は、南関東の古馬GIを四つとも持ち帰っている。男のほうは2014年9月7日に亡くなった。 馬は2010年から種牡馬になり、産駒のオダツとティープリーズが地方の重賞を勝った。2016年には、生まれた牧場へ帰っている。 引退式の一周に、競う相手はいない。逃げなくていい走りを、この鹿毛はそのとき初めてした。
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